自治体・保険者の保健医療・介護福祉施策における継続的検証と計画のための統合的データ基盤構築とその活用に関する研究

文献情報

文献番号
200801022A
報告書区分
総括
研究課題名
自治体・保険者の保健医療・介護福祉施策における継続的検証と計画のための統合的データ基盤構築とその活用に関する研究
課題番号
H19-政策・一般-022
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 石崎 達郎(京都大学 医学研究科)
  • 関本 美穂(京都大学 医学研究科)
  • 林田 賢史(京都大学 医学研究科)
  • 廣瀬 昌博(島根大学医学部附属病院 病院医学教育センター)
  • 徳永 淳也(九州看護福祉大学 看護福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,899,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医療・健康関連政策において、データに基づく系統的な計画・管理を行う役割(Stewardship)は益々重要となっている。当研究は、国策・自治体・保険者レベルで保健・医療・介護に係わる関連データ基盤を系統的に構築しその活用方法を開発し、実態を解析することを目的とする。特に、地域の健康増進計画、医療計画、介護保険事業計画、医療費適正化計画などの評価と立案に資することを目指すものである。
研究方法
 健診、診療報酬、介護保険データを用い、自治体と大学の倫理等審査、第三者システム審査・認証をもって個人情報保護を含む情報セキュリティシステムを確立しデータ統合を行った。その上で、重要変数の関係性や時間推移について分析を行った。
結果と考察
1.健診結果と医療費について、国保データをもって健診後5年間の医療費を追跡し、健診の総合と検査毎の判定結果が悪いほど入院または外来医療費が高くなることを実証し、その関係の強さを定量した。
2.要介護状態区分の遷移については、介護保険サービス利用者の要介護状態区分の遷移とその期間を超短期まで詳細に把握し、変化の頻発する状態を同定した。
3.二次医療圏毎の医療費三要素と社会経済的因子の分析からは、一人当たり医療費には、病床数等の提供側因子以外に社会経済因子が影響すること、一日単価よりむしろ一人当たり日数に依存すること、また、物価指数や高齢者単身世帯割合が一日単価と関係しその関係は地域別で異なることなどが示唆された。
4.包括評価の導入前後の診療と資源消費との比較では概ね在院日数短縮と入院件数増加、一部で在院日数延長が観察された。薬剤や検査の資源消費はどの疾患でも減少した。
5.高齢者の在院日数の影響因子については、大腿骨頚部骨折患者の場合、年齢や身体機能など患者因子に加え、リハビリ早期開始や退院マネジメントに係る医療提供体制の充実度が在院日数の短縮に強く関連することが示唆された。
結論
 保健医療介護の経年的・統合的データの解析により、健診結果と将来医療費の関係や要介護度遷移の関連要因が示唆され、ケアとその費用の格差の要因が定量的に把握され、地域毎の医療資源消費には病床数のみならず社会経済因子やマネジメント体制が寄与すること、などが実データで定量的に示され、健康・医療関連計画の立案や評価に示唆に富む知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-06
更新日
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