IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究

文献情報

文献番号
202011072A
報告書区分
総括
研究課題名
IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究
課題番号
20FC1040
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
中村 誠司(九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 岡崎 和一(関西医科大学 香里病院 病院長)
  • 千葉 勉(関西電力病院 病院長)
  • 神澤 輝実(東京都立駒込病院 院長)
  • 正宗 淳(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 川 茂幸(松本歯科大学 附属病院内科)
  • 妹尾 浩(京都大学大学院 医学研究科)
  • 田中 篤(帝京大学 医学部)
  • 岩崎 栄典(慶應義塾大学 医学部)
  • 児玉 裕三(神戸大学大学院 医学研究科)
  • 井戸 章雄(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 仲瀬 裕志(札幌医科大学 医学部)
  • 菅野 敦(自治医科大学 医学部)
  • 高橋 裕樹(札幌医科大学 医学部)
  • 内田 一茂(高知大学 医学部)
  • 吉藤 元(京都大学大学院 医学研究科)
  • 坪井 洋人(筑波大学 医学医療系)
  • 田中 良哉(産業医科大学 医学部)
  • 正木 康史(金沢医科大学 医学部)
  • 高比良 雅之(金沢大学 附属病院)
  • 赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 川野 充弘(金沢大学 附属病院)
  • 梅原 久範(市立長浜病院 診療局)
  • 松井 祥子(富山大学 保健管理センター)
  • 半田 知宏(京都大学大学院 医学研究科)
  • 佐藤 康晴(岡山大学大学院 保健学研究科)
  • 佐藤 啓(愛知医科大学 医学部)
  • 能登原 憲司(倉敷中央病院 病理診断科)
  • 石川 秀樹(京都府立医科大学大学院 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
26,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 関連8領域における分科会により、各臓器疾患について検討し、必要に応じて全体班会議で取りまとめをすることにより、診断基準の確立、重症度分類・疾患活動性指標・寛解基準の新規策定、患者レジストリによる大規模かつ正確な情報収集、全国頻度調査による正確な患者数の把握、診療ガイドラインの作成、社会への啓発活動などを実施することを目的とする。
研究方法
1) 関連8領域における分科会により各臓器疾患別診断基準・治療指針を検証・改訂させる。
2)関連学会やAMED研究班(國土班)とも連携して、予後因子の抽出などを開始する。
3)実態調査を目的としたレジストリ制度を構築するとともに、症例登録数を増やす。
4)疾患の標準的治療法は未だ確立されていないことから、その確立のために、全国調査・重症度判定のための診断基準、重症度分類案、診療ガイドラインの作成と改善をめざす。
結果と考察
① IgG4関連疾患の包括的診断基準と患者レジストリについて
 包括的疾患名であるIgG4関連疾患に関する包括診断基準を改訂し、その改訂包括診断基準を論文化した。また、IgG4関連疾患患者レジストリの参加施設は35施設、登録患者数は384例となり(令和3年4月1日時点)、1年目の目標登録数である250例には順調に到達した。
② 自己免疫性膵炎について
 自己免疫性膵炎臨床診断基準2018の検証に関するアンケートをまとめた。さらに、AZAの自己免疫性膵炎に対する寛解維持効果の有用性・安全性を証明する非盲検ランダム化比較試験について、AMED 医薬品開発を目指す臨床研究・医師主導治験のプロトコル作成に関する研究【準備(ステップ1)】に応募した。
③ IgG4関連硬化性胆管炎について
 IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012の改訂を行って診断基準2020案を作成し、2019年に日本胆道学会で公聴会を行うとともに、2020年5月に日本胆道学会のホームページでパブリックコメントを募集した。臨床病態像の解析結果については論文化した。
④ IgG4関連涙腺・唾液腺炎について
 既存の診断基準を基に、エキスパートオピニオンに従って改訂診断基準を策定し、日本シェーグレン症候群学会において承認を得た。
 さらに、より侵襲性の少ないIgG4関連涙腺・唾液腺炎の診断方法の確立を目指し、「IgG4 関連涙腺・唾液腺炎の診断における顎下腺超音波検査の有用性に関する多施設共同研究」として多施設臨床研究を開始した。
⑤ IgG4関連腎臓病について
 IgG4関連腎臓病の診断基準の見直しのために多施設共同後方視的検討を行った。その研究結果から改訂した診断基準を「IgG4関連腎臓病診断基準2020」とし、論文化した。
⑥ IgG4関連呼吸器疾患について
 「サルコイドーシス診療の手引き2018」内の「鑑別疾患」の中にIgG4関連疾患の項を設け、サルコイドーシスとの鑑別を公表した。さらに、FDG-PETにおける集積パターンおよび血清C-C chemokine ligand (CCL) 1がサルコイドーシスとIgG4関連疾患の鑑別に有用であることを示した。
⑦ IgG4関連循環器疾患および動脈周囲炎・後腹膜線維症
 分科会の所属施設でIgG4関連動脈周囲炎/後腹膜線維症診断基準(2018年)の検証を行った。また、循環器分科会でのみ必要な患者レジストリの項目について検討を重ねるため、メール審議とウェビナーを通じて意見集約を行った。
⑧ IgG4関連神経・内分泌疾患について
 IgG4関連甲状腺疾患、IgG4関連脳下垂体疾患、IgG4関連肥厚性硬膜炎の診断基準案の作成を行った。IgG4関連甲状腺疾患については、検討結果を踏まえて論文化した。
⑨ IgG4関連眼疾患について
 IgG4関連眼疾患診断基準の見直しを行い、改訂案を策定し、関連学会の承認にむけた作業を開始した。さらに、重症度分類の既定の案を検証し、改訂案を作成した。

 今年度に得られた研究成果から、8領域の各分科会にて重症度分類、疾患活動性指標、寛解基準につき各領域についてすり合わせを行い、疾患別の診断基準の改訂や診療ガイドラインの作成を開始する予定である。
 また、今年度採択されたゲノム活用ファンドを活用し、京都大学ゲノム医学センターおよびAMED(國土班)と連携して、患者サンプルを収集し、患者レジストリの臨床データと結合して、IgG4関連疾患の予後因子解明を進める。さらに、難病情報センターとリンクしたホームページを作成し、社会への啓発を図る。
結論
 1年目における8領域の分科会活動と全体班会議による研究成果を報告した.
 8領域の分科会活動と2回の班会議による議論を経て、1年目における包括的研究および各分科会領域における研究の進捗状況は概ね予定通り達成されている。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011072Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
34,580,000円
(2)補助金確定額
34,580,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 17,672,385円
人件費・謝金 1,194,113円
旅費 0円
その他 7,743,558円
間接経費 7,980,000円
合計 34,590,056円

備考

備考
自己資金 10,056円

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2021-12-23