飲料水の水質リスク管理に関する統合的研究

文献情報

文献番号
200738034A
報告書区分
総括
研究課題名
飲料水の水質リスク管理に関する統合的研究
課題番号
H19-健危-一般-012
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
松井 佳彦(北海道大学大学院工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 禎彦(京都大学大学院工学研究科)
  • 遠藤 卓郎(国立感染症研究所寄生動物部)
  • 国包 章一(国立保険医療科学院水道工学部)
  • 西野 二郎(日本水道協会工務部水質課)
  • 江馬 眞(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター)
  • 長谷川 隆一(国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所総合評価研究室)
  • 伊藤 雅喜(国立保険医療科学院水道工学部)
  • 秋葉 道宏(国立保険医療科学院水道工学部)
  • 安藤 正典(武蔵野大学薬学部薬学研究所)
  • 相澤 貴子(横浜市水道局)
  • 西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所環境衛生化学部)
  • 松下 拓(北海道大学大学院工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
54,789,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
水道水質基準の逐次見直し等に資すべき化学物質や消毒副生成物,病原生物等を調査し,着目すべき項目に関してそれらの存在状況,監視,低減化技術,暴露評価とリスク評価に関する研究を行い,水道水質基準の逐次改正等に資する。
研究方法
原水や水道水質の状況,浄水技術について広範囲な調査研究を行うため,分担研究者13名の他に33水道事業体などから66名の研究協力者の参画を得て,実験施設のみならず浄水場などのフィールドにおける実態調査を行った。水質項目は多岐にわたるため,無機物質,一般有機物,微生物,消毒副生成物,農薬,水道水質管理,リスク評価の7課題群・研究分科会を構成し,相互に連携をとりながら並行的に研究を実施した。
結果と考察
カルシウム,マグネシウムなどの無機物質,THM,ハロ酢酸などの消毒副生成物の摂取量に対する水道水寄与率が必ずしもリスク評価で用いられているデフォルト値に近くないデータも得られ,継続調査が必要である。PFOSおよびPFOAなどの未規制物質や新たな消毒副生成物NDMAについて調査した結果,濃度が高いデータも得られた。PFOS,PFOAについては毒性情報も整理しつつあり,継続的に情報収集に努める。農薬についてはその酸化物や第2,3群に分類されているものでも高濃度で検出され,地域性を考慮した流域ごとの農薬使用量とプライオリティーリストを構築する必要が示された。微生物では,クリプトスポリジウム等の原虫の検出系として可溶性ケーキろ過による捕集装置の開発とRT-LAMP法による検出感度の向上を図ると共に,ノロウイルスの浄水処理性について実験を開始した。その他の凝集剤・活性炭に含まれる重金属類,希土類元素,TOC基準値設定の背景(TOCと消毒副生成物の関連等),カルシウム,pH,LIの関連,臭素酸,塩素酸など多数の水質項目について検討すると共に,Nitrobenzeneの毒性評価では,ベンチマークドース手法を用いて一般毒性及び生殖発生毒性を評価した。水道水質管理全般については,水安全計画や水道水源保護区域の設定など諸外国では日本に比べてより踏み込んだ規制的措置が取られていることが示された。
結論
水道原水の状況,水道水に含まれる物質の検出方法,浄水過程における低減化法,毒性情報,暴露量への寄与,水質管理体制など水道水質基準の基礎となる多数の知見が得られた。主要な知見は「結果と考察」のとおりである。

公開日・更新日

公開日
2008-04-22
更新日
-