文献情報
文献番号
200736013A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌かく乱化学物質とホルモン関連腫瘍に関する疫学研究
課題番号
H17-化学-一般-014
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
津金 昌一郎(国立がんセンターがん予防・検診研究センター 予防研究部)
研究分担者(所属機関)
- 加藤 貴彦(熊本大学大学院医学薬学研究部・環境生命科学講座)
- 坪野 吉孝(東北大学大学院法学研究科)
- 岩崎 基(国立がんセンターがん予防・検診研究センター 予防研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
53,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
有機塩素系化合物などの化学物質曝露が乳がん・前立腺がんなどのホルモン関連腫瘍の発生に関連するか否かを疫学研究で検討することを目的とする。
研究方法
既存の前向きコホート研究における乳がんと前立腺がんのコホート内症例対照研究、乳がんと前立腺がんの多施設症例対照研究、子宮内膜症の症例対照研究などの疫学研究により、有機塩素系化合物などの化学物質曝露の影響を検討する。また平成11年度から続けている疫学研究の文献的検討を行う。
結果と考察
乳がんのコホート内症例対照研究では、血漿中イソフラボンと乳がんリスクの関連を検討し、血漿中ゲニステイン濃度の高い女性において乳がんリスクの低下が示唆された。また前立腺がんのコホート内症例対照研究は、内因性ホルモンおよびイソフラボン類の分析を終え、有機塩素系農薬類とPCB類の分析を開始した。乳がんの症例対照研究は、有機塩素系農薬類とPCB類について乳がんリスクとの関連を検討したところ、いずれも血清中濃度の高い群における乳がんリスクの上昇は観察されなかった。またイソフラボン摂取と乳がんリスクの間には有意な負の関連が見られ、さらにエストロゲン受容体β、17β-hydroxysteroid dehydrogenase type Iおよびsex hormone-binding globulin遺伝子多型との間に交互作用を示唆する結果が得られた。前立腺がんの症例対照研究は平成20年2月時点で、前立腺がん症例341例、対照953例を収集した。子宮内膜症の症例対照研究では、尿中カドミウムおよび尿中フタル酸モノエステル類との関連を検討したが、いずれも統計学的に有意なリスク上昇は観察されなかった。疫学研究の文献的検討では、原著論文26件をレビューしたが、日本人を対象としたがんについての論文は存在せず、日本人における実証的検討の重要性が示唆された。
結論
有機塩素系化合物などの化学物質曝露とホルモン関連腫瘍の関連を疫学的手法により検討し、特に今年度は、乳がんのコホート内症例対照研究により血漿中イソフラボン濃度との間に負の関連を観察した。また乳がん症例対照研究では血清中有機塩素系農薬類およびPCB類曝露との関連、また子宮内膜症の症例対照研究では尿中カドミウムおよび尿中フタル酸モノエステル類との関連を検討したが、いずれもこれらの化学物質が関与しているという証拠は得られなかった。
公開日・更新日
公開日
2008-03-28
更新日
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