文献情報
文献番号
200736009A
報告書区分
総括
研究課題名
胎児期・新生児期化学物質暴露による新たな毒性評価手法の確立とその高度化に関する研究
課題番号
H17-化学-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 淳(国立大学法人東京農工大学大学院共生科学技術研究院動物生命科学部門)
研究分担者(所属機関)
- 鈴木 勉(星薬科大学 薬品毒性学教室)
- 手島玲子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
- 黒川昌彦(九州保健福祉大学 薬学部薬学科 生化学第二講座)
- 今井俊夫(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
- 広瀬明彦(国立医薬品食品衛生研究所 総合評価研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
22,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
難分解・高蓄積性化学物質に対応できる、げっ歯類での発達期暴露影響評価系の確立と、国際的調和に基づいた化学物質リスク評価法の確立を目的として、以下の研究を行った。
研究方法
甲状腺機能低下による発達期毒性が示唆される臭素化難燃剤を例とした影響評価系の確立を図り、19年度はTBBPAを中心に評価した。神経発達かく乱影響評価では、母動物暴露を受けた児ラットの成熟後のニューロン分布や白質構成分を形態計測した。また18年度の脳部位特異的なマイクロアレイ解析で得られた標的候補分子について、暴露終了時での甲状腺機能低下と白質低形成を示した難燃剤のDBDEやHBCDで免疫染色解析を行った。同じモデルで、神経機能・行動影響評価では中枢性薬物に対する反応性や脳のモノアミンの解析を行い、免疫機能影響評価ではリンパ球サブポピュレーションの割合等を解析した。感染影響評価ではRSウイルス・マウス感染モデルで肺の感染価やサイトカイン量を測定した。発がん性評価ではラットに幼若期暴露後発がん物質処置して、多臓器発がん性の検出を図った。耐容量等の設定に関する調査では、情報収集・検索データベースを作成し、本研究班の発達期暴露影響評価データのベンチマークドース解析を行った。
結果と考察
神経発達かく乱影響評価では、TBBPAによる成熟後の脳影響は認めなかったが、DBDEやHBCDで暴露終了時での免疫染色により発現変化を検出し得る皮質、白質の発達標的分子群を得た。神経機能・行動影響評価では、TBBPAで明らかな影響は認めなかった。免疫機能影響評価では、高濃度のTBBPAで成熟T細胞の胸腺から脾臓への遊走効率を低下させる可能性を見いだした。感染影響評価では、TBBPAは低用量より感染病態を悪化させ、IFN-γレベルが用量反応性の高い評価指標であることも判明した。発がん性評価では、HBCD、TBBPA、PTUを検討した結果、おしなべて甲状腺濾胞上皮の発がん感受性の低下する可能性が示された。耐容量等の設定に関する調査では、検索データベースを完成し、分担研究で検出した発達期暴露影響の中に低用量域(数ppm)にベンチマークドースを設定できるものが認められた。
結論
発達期暴露評価研究ではTBBPAを用いた評価系を確立し、主に免疫機能や感染への影響とその用量反応性を確認した。また評価事例の動向に関する情報収集・検索データベースを完成した。
公開日・更新日
公開日
2008-04-08
更新日
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