ヘモビジランスのための病院内輸血副作用監視体制に関する研究

文献情報

文献番号
200735067A
報告書区分
総括
研究課題名
ヘモビジランスのための病院内輸血副作用監視体制に関する研究
課題番号
H19-医薬-一般-030
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 康彦(山口大学 医学部附属病院輸血部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井 隆善(静岡赤十字血液センター)
  • 佐竹 正博(東京都西赤十字血液センター)
  • 下平 滋隆(信州大学 医学部附属病院輸血部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヘモビジランスの実現には、病院内で輸血副作用を確実に把握することが重要である。本研究は、輸血副作用調査を通じて、病院内での輸血副作用の原因検索方法の標準化を確立し、その成果を輸血の安全性向上に、フィードバックすることを目的とした。
研究方法
全国輸血会議副作用WGが行った1998年から2006年までの「全国大学病院輸血部」を対象とした輸血副作用結果の総合的な再解析を副作用WGと共同で実施した。
2004?2006年に輸血・細胞治療学会により実施されたABO不適合輸血調査結果の再解析を行った。2007年輸血関連総合アンケート調査を、輸血・細胞治療学会、輸血関連厚生労働省研究班と共に実施した。この調査では、輸血・細胞治療学会認定施設を中心とした定点観測が可能となるシステムの構築を行った。
結果と考察
全国大学病院輸血部会議副作用ワーキングとの2006年調査において、詳細な症例報告が得られた重篤な副作用は37例(重複例を含まず)であり、実輸血患者数84,880人(80施設推定)であった。一方、東京都調査を基にした、全国の実輸血患者数は1,059,000人であり、国内での重篤な輸血副作用の実患者数は年間約400人と推定された。重篤な呼吸困難例であるが、「急性肺障害」の先行によりTRALIの診断基準から除外される症例を8例認めた。これらの症例は、英国のヘモビジランスで報告された「不適切な輸血指示に基づく Overtransfusion」と同様にTransfusion-related mortalityに関与しながら、調査上、十分に把握できていない事例である。ABO不適合輸血に関する調査結果の再解析から、根本的な発生原因が、病院内の輸血医療体制の不備にあることを明らかにした。
研究成果に基づき、病院内の副作用監視体制の標準化のために「輸血副作用の原因検索リスト」、臨床医・看護師向け「輸血副作用説明スライド」を作成し、病院内の輸血医療体制の整備のために、「輸血療法の実施マニュアル」を作成した。
結論
本研究は、輸血副作用監視体制の改善だけでなく、輸血療法の実施指針等の改定に寄与するものであり、各都道府県単位で実施されている合同輸血療法委員会等を通じて広く普及することにより、輸血医療の安全性向上に寄与するものである。 

公開日・更新日

公開日
2008-03-25
更新日
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