がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラム策定のための研究

文献情報

文献番号
202008011A
報告書区分
総括
研究課題名
がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラム策定のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H30-がん対策-一般-010
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
辻 哲也(慶應義塾大学 医学部リハビリテーション医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 川手 信行(昭和大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
  • 酒井 良忠(神戸大学大学院医学系研究科 リハビリテーション機能回復学)
  • 幸田 剣(和歌山県立医科大学医学部リハビリテーション医学講座)
  • 岡村 仁(広島大学 大学院医系科学研究科)
  • 高倉 保幸(埼玉医科大学 保健医療学 理学療法学科)
  • 櫻井 卓郎(国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
  • 神田 亨(静岡県立静岡がんセンター リハビリテーション科)
  • 杉森 紀与(東京医科大学病院 リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
3,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者では治療の影響や病状の進行に伴い、日常生活に障害を来し著しく生活の質が低下することから、がん領域でのリハビリテーション(以下、リハビリ)診療の重要性が指摘されている。がんのリハビリ診療の均てん化を図るためには診療を提供する側の資質の向上が必要であることから、平成19年から厚労省委託事業として「がん患者に対するリハに関する研修事業」が始まり、平成22年からは「がん患者リハビリテーション料」の算定要件を満たす研修会(Cancer rehabilitation educational program for rehabilitation teams: CAREER)が開催されている。しかし、リハビリ科専門医が配置されている拠点病院はいまだ少なく、また、外来がん患者への対応は十分でない。従って、社会復帰の観点も踏まえ外来や地域の医療機関等と連携し、質の高いがんのリハビリ診療を実施していく必要がある。
そこで本研究では、1) がんのリハビリ診療の現状と課題、今後の取り組むべきことを明らかにすること、2)社会復帰、社会協働の観点を踏まえ、標準化された研修プログラムを作成すること、3)作成された研修プログラムの効果を検証することを目的とした。
研究方法
3年間の計画で、がんリハビリ診療や研修のあり方を検討し、それをもとに研修プログラムの開発を行い、開発した研修プログラムを実際に導入し、アンケート調査により、フィードバックを受け、研修プログラムを策定し、標準化された研修プログラムとして使用されることにより、がん患者がリハを受けられる体制を拠点病院等に普及させる。
令和2年度には、以下①~③の年次計画を立案した。
①がんのリハビリ診療や研修のあり方の検討
②がんのリハビリ研修(E-CAREER)e-learningシステムの開発・新たな研修プログラムの完成
③リンパ浮腫研修の教材作成、e-learningシステムの開発・研修プログラムの実施
結果と考察
令和2年度の研究成果を以下の①~③に示した。
①がんのリハビリ診療や研修のあり方の検討
研究分担者・協力者および、がんのリハビリ診療やリンパ浮腫診療に携わる有識者が参加し、2回のオンライン会議を開催した。拠点病院等におけるがんのリハビリ診療およびリンパ浮腫診療のあり方や研修のあり方に関して議論を行った。その検討内容をもとに、がんのリハビリ診療やリンパ浮腫診療のあり方に関する提言を完成させた。
②がんのリハビリ研修(E-CAREER)e-learningシステムの開発・新たな研修プログラムの完成
e-learningを含む新たなCAREER研修(E-CAREER)を令和2年8月~10月に実施した(e-learning視聴:令和2年8月17日~10月15日、オンライングループ研修:令和2年11月15日)。受講生を対象に、学習状況データを取得し、アンケート調査・学習効果確認のためのテストを実施し、研修内容の見直し、修正を行い完成させた。さらに、各地方でのがんリハ研修へE-CAREERを導入する準備のため、地方研修の企画者用の研修マニュアルを作成、オンライングループワーク研修のためのファシリテーター研修マニュアルを作成した。
③リンパ浮腫研修の教材作成、e-learningシステムの開発・研修プログラムの実施
動画制作(撮影・編集)を実施し、e-learningシステムを含む新たなリンパ浮腫研修を開発し、令和2年10月~11月に実施した(e-learning視聴:令和2年10月12日~11月12日)。受講生を対象にしたアンケート調査・テストの結果をふまえて研修内容の見直し、修正を行い完成させた。
第3期がん対策推進基本計画では、がんのリハビリ診療は重点課題とされ、がん医療におけるリハビリ診療の重要性は益々増している。本研究により、普及性の高いリハビリ研修プログラムの開発・実施を行い、各地域の拠点病院等でのがんのリハビリ診療の普及や均てん化を図ることは、国の施策と合致しており、様々な学術的・社会的・経済的なメリットを得ることができる。
結論
研究は交付申請時の計画どおり遅滞なく実施された。本研究では、がん診療やがんリハビリ関連の学協会、がん有識者(患者会代表等)と協力体制をとりつつ、1)がんリハビリの現状と課題、今後の取り組むべきことを明らかにすること、2)社会復帰・社会協働を踏まえた標準化された高い研修プログラムを作成すること、3)作成された研修プログラムの効果を検証することを目的とし、がんリハビリのあり方の提言の作成、研修プログラムの立案、学習目標の設定、e-learningシステムを含む研修プログラムの教材を作成し、研修プログラムを完成させた。来年度からは、全国のがんリハビリ研修での導入を目指す。

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202008011B
報告書区分
総合
研究課題名
がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラム策定のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H30-がん対策-一般-010
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
辻 哲也(慶應義塾大学 医学部リハビリテーション医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 川手 信行(昭和大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
  • 酒井 良忠(神戸大学大学院医学系研究科 リハビリテーション機能回復学)
  • 岡村 仁(広島大学 大学院医系科学研究科)
  • 栗原 美穂(厚生労働省 医政局 医療経営支援課)
  • 高倉 保幸(埼玉医科大学 保健医療学 理学療法学科)
  • 大庭 潤平(神戸学院大学総合リハビリテーション学部)
  • 島崎 寛将(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター リハビリテーション科)
  • 神田 亨(静岡県立静岡がんセンター リハビリテーション科)
  • 杉森 紀与(東京医科大学病院 リハビリテーションセンター)
  • 幸田 剣(和歌山県立医科大学医学部リハビリテーション医学講座)
  • 櫻井 卓郎(国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者では治療の影響や病状の進行に伴い、日常生活に障害を来し著しく生活の質が低下することから、がん領域でのリハビリテーション(以下、リハビリ)診療の重要性が指摘されている。がんのリハビリ診療の均てん化を図るためには診療を提供する側の資質の向上が必要であることから、平成19年から厚労省委託事業として「がん患者に対するリハに関する研修事業」が始まり、平成26年からは「がん患者リハビリテーション料」の算定要件を満たす研修会(Cancer rehabilitation educational program for rehabilitation teams: CAREER)が開催されている。しかし、リハビリ科専門医が配置されている拠点病院はいまだ少なく、また、外来がん患者への対応は十分でない。従って、社会復帰の観点も踏まえ外来や地域の医療機関等と連携し、質の高いがんのリハビリ診療を実施していく必要がある。
そこで本研究では、1) がんのリハビリ診療の現状と課題、今後の取り組むべきことを明らかにすること、2)社会復帰、社会協働の観点を踏まえ、標準化された研修プログラムを作成すること、3)作成された研修プログラムの効果を検証することを目的とした。
研究方法
3年間の計画で、がんリハビリ診療や研修のあり方を検討し、それをもとに研修プログラムの開発を行い、開発した研修プログラムを実際に導入し、アンケート調査により、フィードバックを受け、研修プログラムを策定し、標準化された研修プログラムとして使用されることにより、がん患者がリハを受けられる体制を拠点病院等に普及させる。研究の全体計画は、以下のとおりである。
・平成30年度:がんリハビリのあり方の検討、研修プログラムの立案、学習目標の設定
・令和1年度:研修プログラムの教材作成
・令和2年度:研修プログラムの試行・完成、効果の検証
結果と考察
平成30年度には、がんのリハビリ診療・リンパ浮腫診療のあり方の検討し、がんのリハビリ研修(CAREER)の新たなプログラム立案、学習目標設定を実施、年次後半は、動画制作を実施した。
令和元年度には、がんのリハビリ診療・リンパ浮腫診療のあり方の検討を引き続き行った。CAREERに関してはe-learningシステムを開発し、新たなプログラム(E-CAREER)のトライアル研修を実施した。リンパ浮腫研修に関しては、研修プログラム立案、学習目標設定を実施した。
 令和2年度には、がんのリハビリ診療・リンパ浮腫診療に関する提言を作成した。CAREERに関しては、2回目のトライアル研修を実施、アンケート調査・テストの結果を検証の上、研修内容を修正し完成させた。さらに、各地方でのがんのリハビリ研修へE-CAREERを導入する準備のため、企画者用の研修マニュアルを作成した。リンパ浮腫研修に関しては、動画制作を実施し、e-learningシステムを含む新たなプログラムのトライアル研修を実施、アンケート調査・テストの結果を検証の上、研修内容を修正し完成させた。
研究は交付申請時の計画どおり遅滞なく実施された。本研究の成果として、がんリハビリのあり方の提言の作成、研修プログラムの立案、学習目標の設定、研修プログラムの教材作成し、研修プログラムを完成させた。
第3期がん対策推進基本計画では、がんのリハビリ診療は重点課題とされ、がん医療におけるリハビリ診療の重要性は益々増している。本研究により、標準化されたリハビリ研修プログラムを開発し、各地域の拠点病院等でのがんのリハビリ診療の普及や均てん化を図ることは、国の施策の方向性と合致しており、様々な学術的・社会的・経済的なメリットを得ることができる。
結論
研究は交付申請時の計画どおり遅滞なく実施された。本研究では、がん診療やがんリハビリ関連の学協会、がん有識者(患者会代表等)と協力体制をとりつつ、1)がんリハビリの現状と課題、今後の取り組むべきことを明らかにすること、2)社会復帰・社会協働を踏まえた標準化された高い研修プログラムを作成すること、3)作成された研修プログラムの効果を検証することを目的とし、がんリハビリのあり方の提言の作成、研修プログラムの立案、学習目標の設定、e-learningシステムを含む研修プログラムの教材を作成し、研修プログラムを完成させた。来年度からは、全国のがんリハビリ研修での導入を目指す。
CAREER研修のように全国的に標準化された研修が展開されている国はなく、我が国の研修システムは世界最先端である。欧米のみならず、今後がんが重要な社会問題となっていくアジア諸国を先導する立場にあり、その役割は重要である。

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202008011C

収支報告書

文献番号
202008011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,992,000円
(2)補助金確定額
4,992,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 140,327円
人件費・謝金 983,168円
旅費 60,720円
その他 2,655,785円
間接経費 1,152,000円
合計 4,992,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-11-01
更新日
2021-11-17