思春期・若年成人(AYA)世代がん患者の包括的ケア提供体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
202008001A
報告書区分
総括
研究課題名
思春期・若年成人(AYA)世代がん患者の包括的ケア提供体制の構築に関する研究
課題番号
H30-がん対策-一般-001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
清水 千佳子(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター がん総合診療センター / 乳腺・腫瘍内科)
研究分担者(所属機関)
  • 堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 小澤 美和(聖路加国際病院 小児科)
  • 吉田 沙蘭(東北大学大学院 教育学研究科)
  • 高山 智子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供部)
  • 鈴木 直(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 前田 美穂(日本歯科大学生命歯学部)
  • 井口 晶裕(北海道大学 北海道大学病院 小児科)
  • 鈴木 達也(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院血液腫瘍科)
  • 清谷 知賀子(独立行政法人国立成育医療研究センター腫瘍科)
  • 石田 裕二(静岡県立静岡がんセンター 小児科)
  • 多田羅 竜平(大阪市立総合医療センター緩和医療科兼小児内科)
  • 河合 由紀(滋賀医科大学 医学部)
  • 山本 将平(東海大学医学部基盤診療学系先端医療科学)
  • 山本 一仁(愛知県がんセンター中央病院 臨床試験部/血液・細胞療法部)
  • 石田 也寸志(愛媛県立中央病院・小児科・小児医療センター長)
  • 徳永 えり子(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター乳腺科)
  • 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
  • 三善 陽子(大阪樟蔭女子大学・健康栄養学部)
  • 一戸 辰夫(広島大学・原爆放射線医科学研究所)
  • 石田 孝宣(東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座 腫瘍外科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
10,816,000円
研究者交替、所属機関変更
・所属機関異動 研究分担者 三善陽子 大阪大学大学院・医学系研究科 小児科学・准教授( ~令和2年3月31日) → 大阪樟蔭女子大学・健康栄養学部・教授(令和2年4月1日~) ・所属機関異動 研究分担者 山本将平 昭和大学・医学部・准教授( ~令和2年3月31日) →東海大学附属病院・基盤診療学系先端医療科学・准教授 (令和2年4月1日~) ・研究分担者追加(令和2年4月1日~) 研究分担者 石田孝宣 東北大学大学院・乳腺・内分泌外科学分野・教授

研究報告書(概要版)

研究目的
 AYA世代のがんは、患者数が少なく、疾患構成が多様であることから、医療機関や医療従事者において、診療や相談支援に関する知識や経験が蓄積されにくい。また、AYA世代に特有の悩みやニーズは多岐にわたり、個別性が高い。このような中、全国に遍在するAYA世代のがん患者や経験者(以下、「AYAがん患者」)に対して包括的ケアを提供する体制の整備が求められている。本研究は、教育プログラムを通して、地域のAYAの包括的支援の核となる「AYA支援チーム」のモデルを作成し、国内にAYA支援のネットワークを構築することを目的とする。
研究方法
 今年度は、昨年度に引き続きAYA支援チームのモデル作成を担当する分担研究施設において、それぞれモデルAYA支援チームとしての活動を展開し、がん診療連携拠点病院等を対象とした教育プログラムを開催するとともに、各種調査研究の結果をとりまとめ、班会議においてAYAがんの包括的ケア提供体制に関する政策提言案をとりまとめた。
結果と考察
 AYA支援チーム作成施設の活動状況・課題、各種調査研究の結果を3回(5月、8月、11月)の班会議で共有し、班員・協力者の議論をもとに政策提言案としてとりまとめた。がん診療連携拠点病院等の「AYA支援チーム」に求められる機能は「患者の捕捉」「ニーズアセスメント」「多職種連携/院外連携」に集約された(AYA支援モデル)。しかしながらモデル支援チーム作成施設においても、リアルタイムにAYA世代の患者を捕捉し、ニーズをアセスメントする、というAYA支援の根幹にかかわるシステムの構築に難渋する施設が見受けられた。政策提言の内容は、冊子How to create an AYA support teamにまとめ、公開した。
 希少で多様、かつ変化、成長するAYA世代のがん患者の医療・ケアのニーズに対応するためには、がん診療連携拠点病院等におけるケアデリバリーの工夫が求められる。持続性、戦略性のあるAYA世代のがん対策を動かしていく必要がある。
結論
 今年度は、3年間の研究活動の成果をとりまとめ、研究班としてAYAの包括的ケアの提供に向けての課題を整理し、政策提言として取りまとめた。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202008001B
報告書区分
総合
研究課題名
思春期・若年成人(AYA)世代がん患者の包括的ケア提供体制の構築に関する研究
課題番号
H30-がん対策-一般-001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
清水 千佳子(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター がん総合診療センター / 乳腺・腫瘍内科)
研究分担者(所属機関)
  • 井口 晶裕(北海道大学 北海道大学病院 小児科)
  • 一戸 辰夫(広島大学・原爆放射線医科学研究所)
  • 石田 孝宣(東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座 腫瘍外科学分野)
  • 石田 也寸志(愛媛県立中央病院・小児科・小児医療センター)
  • 石田 裕二(静岡県立静岡がんセンター 小児科)
  • 小澤 美和(聖路加国際病院 小児科)
  • 河合 由紀(滋賀医科大学 医学部)
  • 清谷 知賀子(独立行政法人国立成育医療研究センター腫瘍科)
  • 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
  • 鈴木 達也(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院血液腫瘍科)
  • 鈴木 直(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 高山 智子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供部)
  • 多田羅 竜平(大阪市立総合医療センター緩和医療科兼小児内科)
  • 徳永 えり子(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター乳腺科)
  • 堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 前田 美穂(日本歯科大学生命歯学部)
  • 三善 陽子(大阪樟蔭女子大学・健康栄養学部)
  • 山本 一仁(愛知県がんセンター中央病院 臨床試験部/血液・細胞療法部)
  • 山本 将平(東海大学医学部基盤診療学系先端医療科学)
  • 吉田 沙蘭(東北大学大学院 教育学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
・所属機関異動 研究分担者 三善陽子 大阪大学大学院・医学系研究科 小児科学・准教授( ~令和2年3月31日) → 大阪樟蔭女子大学・健康栄養学部・教授(令和2年4月1日~) ・所属機関異動 研究分担者 山本将平 昭和大学・医学部・准教授( ~令和2年3月31日) →東海大学附属病院・基盤診療学系先端医療科学・准教授 (令和2年4月1日~) ・研究分担者追加(平成31年4月1日~) 研究分担者 一戸辰夫 広島大学・原爆放射線医科学研究所・教授 ・研究分担者追加(令和2年4月1日~) 研究分担者 石田孝宣 東北大学大学院・乳腺・内分泌外科学分野・教授

研究報告書(概要版)

研究目的
 AYA世代のがんは、患者数が少なく、疾患構成が多様であることから、医療機関や医療従事者において、診療や相談支援に関する知識や経験が蓄積されにくい。また、AYA世代に特有の悩みやニーズは多岐にわたり、個別性が高い。このような中、全国に遍在するAYA世代のがん患者やサバイバー(以下、「AYAがん患者」)に対して包括的ケアを提供する体制の整備が求められている。先行する「総合的な思春期・若年成人世代のがん対策のあり方に関する研究」班(代表 堀部敬三)が実施した全国のがん診療連携拠点病院および小児がん拠点病院を対象に行った施設調査では、AYAがん患者の多数診療施設のほうが、AYAがん患者少数診療施設に比べ、がん薬物療法専門医や乳腺専門医、がん看護専門看護師などの人的リソースが充実していた。しかし、AYAがん患者を多数診療している施設であっても、小児血液がん専門医、精神腫瘍専門医、生殖医療専門医、チャイルド・ライフ・スペシャリストなど、AYA支援において重要なリソースは不足していた。しかしAYAがん患者の絶対数を考慮すると、全てのがん診療連携拠点病院等においてAYA対応が可能な専門部門を持つことは現実的でない。また、AYAがん患者の悩みは、就学、就労、経済面での悩みなど必ずしも医療機関内での相談支援で完結するものではなく、その支援は、教育機関や職場、ハローワークなど、医療以外の職域の理解と連携が必要となるものも多かった。このように、限られたリソースで、全国のAYAがん患者の包括的ケアを提供するためには、施設内のAYA支援を行う多職種チームを育成すると同時に、施設内で完結できないニーズに対応できるよう地域のリソースを相互利用するネットワークを形成するなど、ケアデリバリーの工夫が不可欠である。本研究班では、地域のAYAの包括的支援の核となる「AYA支援チーム」のモデルを提示するともに、包括的ケア提供体制を構築するうえでの課題を検討することを目的とした。
研究方法
本研究班では、がん診療連携拠点病院等の医療従事者を対象とした教育プログラムを通して、地域のAYAの包括的支援の核となる「AYA支援チーム」の実装を試みた。また、包括的ケアを提供する体制を構築するうえでの課題や、必要と思われる施策を検討するための各種調査研究を実施した。最終年度には、研究班にてこれらの結果にもとづき議論を行い、「拠点病院における支援体制」「診療科の連携/院外のリソースとの連携」「長期的な健康管理の体制」について課題を整理し、政策提言案としてまとめた。
結果と考察
先行研究の考察から、AYA包括的支援の課題を、①医療機関(がん診療連携拠点病院等)における支援体制の整備、②医療従事者間あるいは医療従事者と医療機関外のリソースとの協働の促進、③ステークホルダーである医療従事者と支援者の情報・経験共有の促進、④医療・社会の環境整備の4つに整理して、主に①と②に着目し、I.がん診療連携拠点病院における包括的ケア提供の実装を目指した教育プログラムと、II.包括的ケア提供体制を構築するうえでの課題や必要な施策を検討するための各種調査研究を実施した。
モデル支援チーム作成を担当した分担研究者の施設においては、施設内でAYA支援に携わる多職種チームを徐々に構築しつつ、地域の他の医療機関や行政、その他のリソースとの連携による地域ネットワークを立ち上げることができた。「AYA支援チーム」による支援が行き届くようにするため、チームに必要な機能は「患者の捕捉」「ニーズアセスメント」「多職種連携/院外連携」に集約された(AYA支援モデル)。
結論
研究班としてAYAの包括的ケアの提供体制構築に向けての課題を整理し、政策提言案として取りまとめた。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202008001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
がん診療連携拠点等におけるAYA支援の実態、相談支援センターにおけるAYA支援の実態、妊孕性温存等費用助成などの地域自治体の取り組みの実態、AYA世代がんのピアサポートの実態、非がん治療医・プライマリケア医のAYAがん患者の長期的健康管理に関する意識を明らかにした
臨床的観点からの成果
14のがん診療連携拠点病院等において、多職種連携と地域ネットワーキングの要となる「AYA支援チーム」のモデルを構築した。また、がん診療連携拠点病院等に対する「AYA支援チーム」養成を目的とした教育プログラムを実施した。
ガイドライン等の開発
本研究から得られた知見を政策提言案としてまとめた。
その他行政的観点からの成果
冊子"How-to-Create-an-AYA support team"を作成し、「AYA支援チーム」に求められる機能やチームづくりのポイント、モデル支援チームの活動状況等をがん診療連携拠点病院や国・地方自治体と共有した。
その他のインパクト
本研究の成果は、令和3年3月14-31日にオンライン開催されたAYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会の公開シンポジウムで公表した。研究班の活動は、朝日新聞、北海道新聞、オンコロなどで取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
41件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

収支報告書

文献番号
202008001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,060,000円
(2)補助金確定額
14,021,000円
差引額 [(1)-(2)]
39,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,349,725円
人件費・謝金 2,976,183円
旅費 3,162円
その他 5,448,737円
間接経費 3,244,000円
合計 14,021,807円

備考

備考
返金額は38,193円ですが1000円単位での返金となる為、返金が生じた分担研究者が807円を負担し39,000円を返金いたしました。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
2021-12-07