血液製剤の安全性確保のための技術開発と標準化及び血液製剤の精度管理法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200735034A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤の安全性確保のための技術開発と標準化及び血液製剤の精度管理法の開発に関する研究
課題番号
H18-医薬-一般-030
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
1,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液製剤の安全性確保を目的として、①ウイルス不活化法に関する最新の技術動向についての解明、②新規ウイルス不活化法の開発、③E型肝炎ウイルス(HEV)のウイルス検出法の標準化、検出感度の評価の為の参照品の作成とセロコンバージョンパネルの作成、及びこれらを用いた評価手法の開発を行う。
研究方法
1.ウイルス不活化法に関する文献や公開情報を研究対象とした。
2.強力な界面活性剤作用のあるペンタデカフルオロオクタン酸(PFOA)によるウイルス不活可能について各種モデルウイルスを用いて検討した。
3.HEVを健康なSPFブタに投与し、ブタ由来HEV陽性資料を調製し、標準品/参照品としての適格性の評価を行った。さらに、HEV検出の高感度化を目的として、PEI時期ビーズを用いたHEV濃縮法の適用について解析した。HEVの感染性を測定する手法として、PEI磁気ビーズを用いた強制感染系の開発を行った。
結果と考察
各国の血漿分画製剤のウイルス安全性に関する動向調査を行い、ウイルス不活化に関する動向を調査した。化学薬品処理、光増感剤と可視光や紫外線照射による処理など、多くの方法が検討されており、有望な結果も出てきている。それぞれ処理により、ウイルスゲノムやエンベロープの有無で効果が異なるが、少なくとも全てのウイルスが完全な不活化される条件は得られていない。
PFOAはエンベロープウイルス(HSV-1、VSV、Sindbis virus)について最大で6-7オーダーのウイルスクリアランスという有効な効果が認められた。一方、Poliovirusやブタパルボウイルスなどの非エンベロープウイルスに対しては不活化効果が認められなかった。PFOAの作用条件を検討したところ、酸性条件で最も強い不活化効果が認められた。
4種類のHEVサブタイプは、PEI磁気ビーズを用いることより5-20倍の濃縮が可能であることが分かった。PEI磁気ビーズを用いることにより細胞への強制感染が可能であることが示された。
結論
血液製剤の安全性確保の一環として、ウイルス不活化の最新の動向を明らかにした。PFOAのウイルス不活化剤としての有用性が示された。HEVの参照品パネル作成にブタ由来ウイルス陽性検体を用いることが可能と考えられた。HEV感染性評価にPEI磁気ビーズを用いる方法が有用であることが示された。

公開日・更新日

公開日
2008-11-13
更新日
-