乳幼児の身体発育及び健康度に関する調査実施手法及び評価に関する研究

文献情報

文献番号
202007002A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児の身体発育及び健康度に関する調査実施手法及び評価に関する研究
課題番号
H30-健やか-指定-001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 則子(十文字学園女子大学 教育人文学部)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学看護学部)
  • 盛一 享徳(国立成育医療研究センター  研究所 小児慢性特定疾病情報室)
  • 森崎 菜穂(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
  • 吉田 穂波(神奈川県立保健福祉大学  ヘルスイノベーション研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
次回乳幼児身体発育調査に向けて、調査実施のための課題や手法を検討し、我が国の乳幼児の身体発育や健康度を把握するための基礎資料を作成することを目的とする。また、我が国における乳幼児の身体発育や健康度ついて、国際的に示していくためのデータ作成も行う。
研究方法
以下の4つのテーマに取り組んだ。
(1)諸外国の身体発育に関する調査(身体発育曲線の作成含む)及び評価手法のレビュー調査、ナショナルデータの作成
(2)過去の調査手法を踏まえた我が国の乳幼児の身体発育及び健康度を把握するための調査手法の検討
(3)幼児健康度調査の実施方法に関する研究
(4)「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」の作成
結果と考察
(1)レビュー調査結果は、下記(4)作成の参考とした。わが国の低出生体重児の増加は2005年以降横ばいだった。20~49歳女性の貧血とやせの増加状況も同時期(2003年以降)に横ばい~改善となった。乳幼児の低栄養のリスクは、集団レベルでは低いものの、一定の割合は存在していることが確認された。日本の完全母乳栄養、および母乳を約1年間継続している児の割合はここ30年間に大幅に上昇を認めた。
(2)2010年乳幼児身体発育調査と同じ地区数で次回調査を行うと、対象者数は協力率70%を維持した場合で26%減少、協力率60%に低下した場合で36%減少することが見込まれた。現在のサンプリング方法によって、適切な割合で早産・低出生体重児のデータが取得できていることが示され、サンプリング方法を調整する必要性はないと思われた。GAMLSS法で整った平滑化曲線が得られるようになった。低出生体重児の身長は、全体として日齢700に近づくにつれて、低出生体重児の97パーセンタイル値が、一般健常児の50パーセンタイル値に近づいている様子が認められた。
(3)令和2年度に、コロナ禍における質問紙調査の問題点抽出、質問紙調査の代替方法の検討を行い、代替となる方法にはオンライン調査が考えられた。
(4)保健医療専門職と保護者が、身体発育曲線を活用して子どもの発育を正しく評価し、保護者を支援できるように、発育評価と支援法、保護者と一緒にみる発育曲線、保護者へのアドバイス、保育所等での発育曲線の活用に関してまとめた「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」を作成し、国立保健医療科学院ホームページ「乳幼児身体発育調査」に掲載した。
https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/hatsuiku
結論
(1)低出生体重児の割合、若年女性の貧血とやせの状況、完全母乳栄養等の長期的な推移を示した。
(2)次回乳幼児身体発育調査のためのサンプリング方法、統計解析方法等について整理した。
(3)第5回幼児健康度調査を実施した。詳細な集計結果等は、「令和3年度幼児健康度報告」として日本小児保健協会のWebサイト及び機関誌で公表する予定である。
(4)「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」を、国立保健医療科学院ホームページ「乳幼児身体発育調査」に掲載した。

公開日・更新日

公開日
2022-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202007002B
報告書区分
総合
研究課題名
乳幼児の身体発育及び健康度に関する調査実施手法及び評価に関する研究
課題番号
H30-健やか-指定-001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 則子(十文字学園女子大学 教育人文学部)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学看護学部)
  • 盛一 享徳(国立成育医療研究センター  研究所 小児慢性特定疾病情報室)
  • 森崎 菜穂(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
  • 吉田 穂波(神奈川県立保健福祉大学  ヘルスイノベーション研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
次回乳幼児身体発育調査に向けて、調査実施のための課題や手法を検討し、我が国の乳幼児の身体発育や健康度を把握するための基礎資料を作成することを目的とする。また、我が国における乳幼児の身体発育や健康度ついて、国際的に示していくためのデータ作成も行う。
研究方法
以下の4つのテーマに取り組んだ。
(1)諸外国の身体発育に関する調査(身体発育曲線の作成含む)及び評価手法のレビュー調査、ナショナルデータの作成
(2)過去の調査手法を踏まえた我が国の乳幼児の身体発育及び健康度を把握するための調査手法の検討
(3)幼児健康度調査の実施方法に関する研究
(4)「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」の作成
結果と考察
(1)レビュー調査結果は、下記(4)作成の参考とした。わが国の低出生体重児の増加は2005年以降横ばいだった。20~49歳女性の貧血とやせの増加状況も同時期(2003年以降)に横ばい~改善となった。乳幼児の低栄養のリスクは、集団レベルでは低いものの、一定の割合は存在していることが確認された。日本の完全母乳栄養、および母乳を約1年間継続している児の割合はここ30年間に大幅に上昇を認めた。
(2)2010年乳幼児身体発育調査と同じ地区数で次回調査を行うと、対象者数は協力率70%を維持した場合で26%減少、協力率60%に低下した場合で36%減少することが見込まれた。普及啓発のための一般育児雑誌企画では、平易な解説とともに身体発育曲線が乳幼児身体発育調査によって作成されていることを説明し、調査協力を呼びかける内容となった。現在のサンプリング方法によって、適切な割合で早産・低出生体重児のデータが取得できていることが示され、サンプリング方法を調整する必要性はないと思われた。GAMLSS法で整った平滑化曲線が得られるようになった。低出生体重児の身長は、全体として日齢700に近づくにつれて、低出生体重児の97パーセンタイル値が、一般健常児の50パーセンタイル値に近づいている様子が認められた。
(3)コロナ禍における質問紙調査の問題点抽出、質問紙調査の代替方法の検討を行い、代替となる方法にはオンライン調査が考えられた。
(4)保健医療専門職と保護者が、身体発育曲線を活用して子どもの発育を正しく評価し、保護者を支援できるように、発育評価と支援法、保護者と一緒にみる発育曲線、保護者へのアドバイス、保育所等での発育曲線の活用に関してまとめた「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」を作成し、国立保健医療科学院ホームページ「乳幼児身体発育調査」に掲載した。
https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/hatsuiku
結論
(1)諸外国の成長曲線作成のためのデータ収集方法と統計学的手法を整理した。また、わが国の低出生体重児の割合、若年女性の貧血とやせの状況、完全母乳栄養等の長期的な推移を示した。
(2)次回乳幼児身体発育調査のためのサンプリング方法、統計解析方法等について整理し、世界標準となりつつあるGAMLSS法で整った平滑化曲線が得られるようになった。低出生体重児の身長の成長曲線の特徴が明らかになった。
(3)第5回幼児健康度調査が初めてオンライン調査を取り入れ実施された。詳細な集計結果等は、「令和3年度幼児健康度報告」として日本小児保健協会のWebサイト及び機関誌で公表する予定である。
(4)「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」を国立保健医療科学院ホームページに掲載した。

公開日・更新日

公開日
2022-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2022-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202007002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
わが国の低出生体重児の割合、若年女性の貧血とやせの状況、完全母乳栄養等の長期的な推移を示した。次回乳幼児身体発育調査のためのサンプリング方法、統計解析方法等について整理し、世界標準となりつつあるGAMLSS法で整った平滑化曲線が得られるようになった。低出生体重児の身長の成長曲線の特徴が明らかになった。
臨床的観点からの成果
第5回幼児健康度調査をオンラインで実施した。第4回までの調査結果は乳幼児健診や保健指導、育児相談の指針に活用されており、今回調査も今後同様の活用が期待される。
ガイドライン等の開発
身体発育曲線を活用した保健指導・栄養指導について、保護者への指導ポイントを整理しわかりやすく解説した「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」を作成した。
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」を国立保健医療科学院ホームページに掲載した。
https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/hatsuiku/index.htm

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
保健医療専門職と保護者が、身体発育曲線を活用して子どもの発育を正しく評価し、 保護者を支援できる「乳幼児身体 発育曲線の活用・実践ガイド」を作成し、国立保健医療科学院ホームページに掲載した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yoshida H, Kato N, Yokoyama T.
Early full-term birth is an important factor for the increase in the proportion of low-birth-weight infants between 1980 and 2015 in Japan.
Journal of the National Institute of Public Health , 71(1) (77-86) , 77-86  (2022)
DOI:10.20683/jniph.71.1_77

公開日・更新日

公開日
2022-07-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
202007002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
9,990,000円
差引額 [(1)-(2)]
10,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,345,696円
人件費・謝金 2,830,635円
旅費 0円
その他 3,814,009円
間接経費 0円
合計 9,990,340円

備考

備考
研究費の効率的執行により少ない研究費で研究を遂行できたため返納が生じた。

公開日・更新日

公開日
2023-02-21
更新日
2023-03-15