文献情報
文献番号
202006032A
報告書区分
総括
研究課題名
感染症流行下における適切な乳幼児健康診査のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20CA2034
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
小枝 達也(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター こころの診療部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
27,457,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
COVID-19の流行に伴い緊急事態が発出され,集団健診延期等の措置を考慮せざるを得ない事態となった.これを踏まえ,本研究では乳幼児健康診査(以下,乳幼児健診)を個別またはオンラインで実施するにあたって,具体的な課題と対策を明らかにすることを目的とした.
研究方法
1.保護者アンケート調査
こどもと保護者を対象とした横断調査「コロナ ×こどもアンケート」により,集団健診に対する保護者の意向を調査した.
2.自治体へのアンケート調査
全国1,741自治体の乳幼児健診事業担当者を対象とし,緊急事態宣言を受けた乳幼児健診の対応状況ならびにオンライン保健指導等の実施状況を調べた.
3.オンライン健診の検討
3~4 か月,9~10 か月の乳児を対象とし,以下の3つの研究を実施した.
研究 1.乳児 健診の標準的診察項目の確定,
研究 2.乳児健診の 研修ビデオの作成,
研究 3.オンライン健診に関する検討
4.個別健診時の心理社会面の評価
個別健診において心理社会面の評価および保健指導を行うツールとして,保護者を対象とした質問紙と助言・指導から構成される「健やか子育てガイド」を作成し,その内容について検討した.また保護者と担当医より「健やか子育てガイド」を用いた個別健診に対するアンケート調査を実施した.
こどもと保護者を対象とした横断調査「コロナ ×こどもアンケート」により,集団健診に対する保護者の意向を調査した.
2.自治体へのアンケート調査
全国1,741自治体の乳幼児健診事業担当者を対象とし,緊急事態宣言を受けた乳幼児健診の対応状況ならびにオンライン保健指導等の実施状況を調べた.
3.オンライン健診の検討
3~4 か月,9~10 か月の乳児を対象とし,以下の3つの研究を実施した.
研究 1.乳児 健診の標準的診察項目の確定,
研究 2.乳児健診の 研修ビデオの作成,
研究 3.オンライン健診に関する検討
4.個別健診時の心理社会面の評価
個別健診において心理社会面の評価および保健指導を行うツールとして,保護者を対象とした質問紙と助言・指導から構成される「健やか子育てガイド」を作成し,その内容について検討した.また保護者と担当医より「健やか子育てガイド」を用いた個別健診に対するアンケート調査を実施した.
結果と考察
1.保護者アンケート調査(2379名の保護者が回答)
28.2%の保護者が感染対策を講じても集団健診は受けたくないと回答した.個別健診およびオンライン健診を希望する保護者はそれぞれ98.5%と82.5%であった.
2.自治体へのアンケート調査
1) 緊急事態宣言を受けた乳幼児健診の対応状況
① 3~4 か月児健診では,個別健診に変更(12.4%)や個別健診を継続(17.4%)と個別健診の実施は3割程度であった.
② 1歳6か月児健診と3歳児健診は,集団健診の延期がそれぞれ72.8%,75.0%であった.
③ 「新しい生活様式」における望ましい乳幼児健診のあり方は「感染予防に配慮した集団健診」が 9 割以上であった.
2) オンライン保健指導等の実施状況
① オンライン保健指導を実施したと回答した自治体は79市区町村であった.
② 実施内容は,保健師,栄養士などによる保健指導(47 市区町村),両親学級(42),離乳食指導(32),栄養士指導(32)の順に多かった.
③ 乳幼児健診にオンライン診察を取り入れている事例は把握できなかった.
3.オンライン健診の検討
1) 乳児健診の標準的診察項目の確定
乳幼児健康診査に関する疫学的・医療経済学的検討に関する研究(山崎嘉久ら)により報告されている3~4 か月児の診察項目を参照にして,9~10 か月児の標準的診察項目とスクリーニング対象の疾患を確定した(分担研究者山崎嘉久に依頼).
2) 乳児健診の研修ビデオの作成
3~4 か月児,9~10 か月児の診察の実際を録画,編集して研修ビデオを作成した.
3) オンライン健診に関する検討
a. オンライン健診は,対面での個別健診が困難な時の緊急避難的な対応である.そのため,疾病や養育上の問題の早期発見と介入の緊急度・重要度にあわせて診察項目を,緊急必須,必須,通常,診察不可欠の4 レベルに分類した.また,健診の判定を5段階に分類した.
b. アプリを使用した身長計測の検証
オンライン健診の実行性の検証は,9 組(4か月児 4 名,10か月児 5名)で行い,健診に要する時間は 1組20~30分であった.①身体計測は保護者に事前に説明した計測方法(身長計測アプリ)で実施し,身長の誤差は生じていたものの,成長曲線で良好な発育状況を確認できた.
4.個別健診時の心理社会面の評価
1歳 6 か月児健診では,700名のデータを解析した.5歳児健診では1269 名のデータを解析した.クロス集計の結果で,子どもの乱暴な行動と保護者のイライラ感や怒鳴るといった好ましくない行動,さらには援助希求とが有意に関係していた.また経済的困窮と保護者の怒鳴る行動や援助希求が関係していた.保護者へのアンケートでは 90%以上が子育て ガイドを用いた個別健診は役に立つという回答で,担当医へのアンケートでは90%以上が健やか子育てガイドの内容は適切であるという回答であった.
28.2%の保護者が感染対策を講じても集団健診は受けたくないと回答した.個別健診およびオンライン健診を希望する保護者はそれぞれ98.5%と82.5%であった.
2.自治体へのアンケート調査
1) 緊急事態宣言を受けた乳幼児健診の対応状況
① 3~4 か月児健診では,個別健診に変更(12.4%)や個別健診を継続(17.4%)と個別健診の実施は3割程度であった.
② 1歳6か月児健診と3歳児健診は,集団健診の延期がそれぞれ72.8%,75.0%であった.
③ 「新しい生活様式」における望ましい乳幼児健診のあり方は「感染予防に配慮した集団健診」が 9 割以上であった.
2) オンライン保健指導等の実施状況
① オンライン保健指導を実施したと回答した自治体は79市区町村であった.
② 実施内容は,保健師,栄養士などによる保健指導(47 市区町村),両親学級(42),離乳食指導(32),栄養士指導(32)の順に多かった.
③ 乳幼児健診にオンライン診察を取り入れている事例は把握できなかった.
3.オンライン健診の検討
1) 乳児健診の標準的診察項目の確定
乳幼児健康診査に関する疫学的・医療経済学的検討に関する研究(山崎嘉久ら)により報告されている3~4 か月児の診察項目を参照にして,9~10 か月児の標準的診察項目とスクリーニング対象の疾患を確定した(分担研究者山崎嘉久に依頼).
2) 乳児健診の研修ビデオの作成
3~4 か月児,9~10 か月児の診察の実際を録画,編集して研修ビデオを作成した.
3) オンライン健診に関する検討
a. オンライン健診は,対面での個別健診が困難な時の緊急避難的な対応である.そのため,疾病や養育上の問題の早期発見と介入の緊急度・重要度にあわせて診察項目を,緊急必須,必須,通常,診察不可欠の4 レベルに分類した.また,健診の判定を5段階に分類した.
b. アプリを使用した身長計測の検証
オンライン健診の実行性の検証は,9 組(4か月児 4 名,10か月児 5名)で行い,健診に要する時間は 1組20~30分であった.①身体計測は保護者に事前に説明した計測方法(身長計測アプリ)で実施し,身長の誤差は生じていたものの,成長曲線で良好な発育状況を確認できた.
4.個別健診時の心理社会面の評価
1歳 6 か月児健診では,700名のデータを解析した.5歳児健診では1269 名のデータを解析した.クロス集計の結果で,子どもの乱暴な行動と保護者のイライラ感や怒鳴るといった好ましくない行動,さらには援助希求とが有意に関係していた.また経済的困窮と保護者の怒鳴る行動や援助希求が関係していた.保護者へのアンケートでは 90%以上が子育て ガイドを用いた個別健診は役に立つという回答で,担当医へのアンケートでは90%以上が健やか子育てガイドの内容は適切であるという回答であった.
結論
感染症流行下においては,感染対策を講じていても集団健診を回避したいと考える保護者が一定の割合で存在した.そこで個別やオンラインでの健診の実施が選択肢の一つに加わるとよいと考えられた.
対策としてオンラインでの実施に向けたガイドライン作成に向けたフローチャートを作成した.個別健診での心理社会面を評価し,保健指導がより充実するための健やか子育てガイドを作成し,その有用性を確認した.
対策としてオンラインでの実施に向けたガイドライン作成に向けたフローチャートを作成した.個別健診での心理社会面を評価し,保健指導がより充実するための健やか子育てガイドを作成し,その有用性を確認した.
公開日・更新日
公開日
2021-07-13
更新日
-