口腔保健と全身のQOLの関係に関する総合研究

文献情報

文献番号
200732078A
報告書区分
総括
研究課題名
口腔保健と全身のQOLの関係に関する総合研究
課題番号
H19-医療-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
花田 信弘(国立保健医療科学院 口腔保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 秀夫(新潟大学大学院)
  • 才藤 栄一(藤田保健衛生大学)
  • 井上 修二(共立女子大学)
  • 小野 高裕(大阪大学大学院)
  • 泉福 英信(国立感染症研究所)
  • 若井 建志(名古屋大学大学院)
  • 石井 拓男(東京歯科大学)
  • 安藤 雄一(国立保健医療科学院)
  • 野村 義明(国立保健医療科学院 )
  • 林 謙治(国立保健医療科学院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
口腔保健が全身のQOLに影響を及ぼしている状況を科学的に評価するために合計9課題の研究班を組織して研究を行った。
研究方法
9課題の研究班の内訳は次のとおりである。「高齢者の追跡調査」、「歯科治療による高齢障害者のQOLの改善」、「歯周病と糖尿病-介入試験」、「咀嚼能力と循環器疾患発症との関連性」、「口腔日和見感染についての研究」、「歯科医師における歯と全身の健康、栄養との関連に関する縦断研究」
「咀嚼と肥満の関連性に関する研究」、「80歳福岡県地域住民におけるコホート研究」、「国民健康・栄養調査データを用いた口腔状態と栄養摂取・身体状況等との関連」。

結果と考察
「高齢者の追跡調査」では1)便秘傾向および肉類の摂取状況は歯の本数と関連。2)義歯の満足度はものを咬めるかどうかに関連。3)唾液の流量や性状は口腔内乾燥感,味覚異常,歯周病と関連。4)血清アルブミン,コレステロール,およびレズシチンは歯周病の発症/進行と関連5)体力は咬合状態と関連することが明らかになった。
「歯科治療による高齢障害者のQOLの改善」では、歯科治療による介入研究を実施し、歯科治療が高齢障害者のQOLおよびADL向上に影響を及ぼすことが示唆された。
「歯周病と糖尿病-介入試験」では、2型糖尿病歯周病患者に対する抗菌剤を併用した歯周病治療は、HbA1cを改善することが示唆された。
「咀嚼能力と循環器疾患発症との関連性」では、口腔健康における動脈硬化性疾患発症因子を探る研究をデザインした。
「口腔日和見感染についての研究」では、リンパ球中のNK細胞の割合やNK細胞中の活性化NK細胞の割合は、高齢者の口腔細菌叢の変化と体力に関係していた。
「歯科医師における歯と全身の健康、栄養との関連に関する縦断研究」では、
歯牙喪失予防が全身や口腔関連QOLの向上に重要であることが示唆された。
「咀嚼と肥満の関連性に関する研究」では、プログラムの有効性がローレル指数と咀嚼力判定ガムにより確認された。
「80歳福岡県地域住民におけるコホート研究」では、いろいろな食材を偏りなく食べることができる80歳の高齢者は咀嚼能力が低い高齢者よりも長寿であり、死亡のリスクが低いことが示唆された。
「国民健康・栄養調査データを用いた口腔状態と栄養摂取・身体状況等との関連」
では、口腔状態と食品・栄養摂取は密接な関連を有しており、多くの食品群・栄
養素の摂取量は、歯の喪失が進んだ群と咀嚼不調を訴えている群で少ないことが示された。

結論
口腔保健がさまざまな理由で全身のQOLに影響を及ぼしていることが示された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
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