EBM手法による診療ガイドラインの改善・評価と体系化推進を支援するソフトウェアの構築並びに実装に関する実験的研究

文献情報

文献番号
200732067A
報告書区分
総括
研究課題名
EBM手法による診療ガイドラインの改善・評価と体系化推進を支援するソフトウェアの構築並びに実装に関する実験的研究
課題番号
H18-医療-一般-043
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
朝倉 均(財団法人国際医学情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森實 敏夫(神奈川歯科大学内科学教室)
  • 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科)
  • 小野木 雄三(国際医療福祉大学放射線医学センター)
  • 山田 恒夫(財団法人医療情報システム開発センター)
  • 豊玉 速人(医学中央雑誌刊行会)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学薬学部)
  • 鈴木 博道(財団法人国際医学情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
より良質な診療ガイドライン(CPGーClinical Practice Guideline、以下「CPG」)開発の支援と、完成したCPGの普及に貢献するための、環境整備を実践することが目的であり、完成後のCPGの社会的な展開方策についてもシステム化と合わせて調査検討する。直接的な目的としては、これまでにプロトタイプは完成済みのCPG開発支援ソフトウェアを、CPG開発の場で改良活用を図り、結果として良質なCPG開発と標準化に貢献することである。間接的には、電子化CPG開発によって、電子カルテやクリニカルパスなどとの連携を試みること等を目的としている。
研究方法
ソフトウェアの改善必要箇所としては、省力化・標準化の方向性、コンセンサスディベロップメントの機能拡充、ガイドライン評価を踏まえた開発支援、のソフトウェア改良や開発と試行を行ってきている。同時に完成したCPGの電子化を試みることで、電子カルテやクリニカルパスへの連携可能性を追求し、可能な範囲で実験を行った。このためのトライアルには、既存CPGの記述内容を分析し加工することも含んでいた。
結果と考察
平成19年度には簡単なインタフェイスの変更と、エビデンス評価支援ソフトウェアの試作を行った。電子化診療ガイドラインのトライアルでは、ベースとなる診療ガイドラインから一度記述の書換編集をしないとならない、また、既存のかなりロジカルに記述が整理されているCPGであっても、約1/3は利用出来がたいことが明らかとなった。元々、CPGの評価基準に合致するものだけであってもその数は約60と限られており、その中からも全てを活用できないことになった。
結論
CPG開発を実際に行っている臨床医など、少なくともこれまでは電子化診療ガイドライン記述形式などは意識せずにきていることは確かであり、曖昧さを残した推奨となっている場合も多々あることは否定できない。今後ますます、CPG開発過程で完成したCPGがどの様な展開可能性を期待されているのか等を、これらCPG開発者にも伝えてゆくこと、そしてこの助けになる機能を、CPG開発支援ソフトウェアに組み込んで行くことも、我々としては進めて行く必要があろう。

公開日・更新日

公開日
2008-08-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200732067B
報告書区分
総合
研究課題名
EBM手法による診療ガイドラインの改善・評価と体系化推進を支援するソフトウェアの構築並びに実装に関する実験的研究
課題番号
H18-医療-一般-043
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
朝倉 均(財団法人国際医学情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森實 敏夫(神奈川歯科大学)
  • 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学薬学部)
  • 小野木 雄三(国際医療福祉大学放射線医学研究センター)
  • 山田 恒夫(財団法人医療情報システム開発センター)
  • 豊玉 速人(医学中央雑誌刊行会)
  • 鈴木 博道(財団法人国際医学情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
診療ガイドライン開発支援ソフトウェアの活用によるシステムの改良・評価、この後の診療ガイドライン開発を巡る課題の事前検討、これに基づく妥当なソリューションを提示し同時に普及活動も実施すること。そして、完成した診療ガイドラインの各種社会的展開方策への試行として電子カルテやクリニカルパスなどへの実装を検討し試みることである。
研究方法
診療ガイドライン開発支援ソフトウェアは、変形股関節症・腎がんなどの新規開発ガイドラインと、脳卒中・肝がんなどガイドライン改訂とで活用する過程で各種改良を行い、ガイドライン評価とこのアンケート集計のためのソフトウェア開発・試用を行った。ガイドライン開発とその方向性を明らかにするため、日本医療情報学会などとの共催によるシンポジウム「EBM (Evidence Based Medicine) 、そしてNBM (Narrative Based Medicine)」と「医療安全とEBM」を開催し、検討と研究成果発表とを実施した。
結果と考察
開発支援ソフトウェアの試用・活用・改良は予定通り実施、新規開発の診療ガイドラインであっても以前に比べて短期間で完成形に出来ることが実証的に裏付けられた。また、2回のシンポジウムでは、診療ガイドライン開発の実情や、エビデンスのみでは決して満足なものとならないこと、を明らかにし、完成後のガイドライン活用こそが、大切な課題であることが確認できた。実際に電子カルテやクリニカルパスへの実装については、ソフト上の対応のみならず、完成されたとされている診療ガイドラインであってもそのままでは実装しがたく、書換のステップを入れざるを得ないことが明らかとなり、実際にその作業の試みまでは行った。
結論
診療ガイドラインが外形的に形作られてもそれだけでは社会的共有財となるものでは無く、作成者以外の利用と評価があってこそのものである。診療ガイドラインやクリニカルパスなどへの実装にあたって、ソフトウェア対応のみならず、完成したガイドラインそのものの形態や記述について、更に改善されることが明確となった。我が国で開発された診療ガイドラインの中で外形的にも一般的作成手順や評価基準に答えられるものは60程度であったが、その中でも、記述が論理的でそのままでも電子カルテなど実装できる、もしくは若干の書換で可能となる、クリニカルクエスチョンは、限定されている。今後、ガイドライン開発段階からの対応を考える必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-11-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732067C