片頭痛に対する画期的治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200730042A
報告書区分
総括
研究課題名
片頭痛に対する画期的治療法の開発に関する研究
課題番号
H18-こころ-一般-020
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
坂井 文彦(北里大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 福内 靖男(足利赤十字病院)
  • 鈴木 則宏(慶應義塾大学医学部)
  • 中島 健二(鳥取大学医学部付属脳幹性疾患研究施設)
  • 平田 幸一(獨協医科大学)
  • 辻 省次(東京大学大学院医学系研究科)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院)
  • 福山 秀直(京都大学高次機能総合研究センター)
  • 寺山 靖夫(岩手医科大学)
  • 岩田 誠(東京女子医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、片頭痛の発作治療薬及び発作予防薬を開発することである。病態に作用する治療薬の開発には病態の解明が不可欠であるが、近年、片頭痛の病態の解明には飛躍的な進歩が見られる。家族性片麻痺性片頭痛では三種類の遺伝子異常が確認され、いずれも脳細胞イオンチャンネルに関連し、片頭痛がチャンネロパチーとして認識されるようになった。本研究では、より一般的な片頭痛、すなわち前兆のある片頭痛と、前兆のない片頭痛について発症のメカニズムを分子病態学的に解明し治療基盤を構築する。その上で、前兆を生ずると考えられるcortical spreading depression(CSD)のメカニズム、頭痛を生ずる頭蓋血管の拡張と炎症反応の病態、頭痛を増幅・蔓延させる因子を明らかにする。明らかとなった病態に対して最も有効と考えられる治療薬を探索し開発する。
研究方法
研究方法としては、①分子遺伝学的研究、②片頭痛の家族性因子の疫学調査、③臨床的な病態と治療法の研究、④動物実験モデルによる病態と治療薬の研究、⑤治療の評価法の開発、などである
結果と考察
第2年度の研究成果としては(1)片頭痛の病態解明を行い治療法を探索する研究、(2)治療薬評価法の研究、(3)現在の治療薬の再評価の研究が挙げられる。病態に関する研究成果としては①片頭痛発症のgeneratorとしてのオレキシンの役割の研究、②頭痛のメカニズムとしての頭蓋内静脈の役割の研究、③脳血流測定による片頭痛発症メカニズムの研究などが新知見である。その他、片頭痛の共存正の研究、多発硬化症における頭痛解析、MR磁化率強調画像を用いた薬剤の血管反応性定量評価法の研究が成果を挙げた。「多施設共同研究を基盤とする片頭痛の分子遺伝学的研究」は6施設の倫理委員会で承認され、データバンク方式で検体収集が開始された。本年度は200例近い患者サンプルが収集された。分子遺伝学的研究に対し、多くの倫理委員会から承認を得たことは、次年度からの検体収集および分析への進捗が期待できる。多大学での承認がより容易となり、オールジャパンの片頭痛データバンク構築と遺伝子研究が可能となる。

結論
3年計画の第2年度は、主として発作誘発因子、病態についての研究を行った。計画された研究が順調に進められた。その成果は最終年度にひきつがれるのに充分なものと考えられる。とくに分子遺伝学的研究のための検体収集が始まった。オールジャパンの片頭痛データバンク構築と遺伝子研究が可能となる。最終的には画期的治療薬の開発への道筋が得られることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-04-17
更新日
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