関節リウマチ・骨粗鬆症の重症化防止治療開発研究

文献情報

文献番号
200729007A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ・骨粗鬆症の重症化防止治療開発研究
課題番号
H17-免疫-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
越智 隆弘(国立大学法人大阪大学医学系研究科保健学科)
研究分担者(所属機関)
  • 西沢 良記(大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科))
  • 島岡 康則(行岡病院)
  • 宇月 美和(岩手医科大学医学部病理学第一講座)
  • 大和谷 厚(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 前田 朋子(塩野義製薬株式会社医薬開発研究本部創薬研究所)
  • 広畑 俊成(北里大学医学部膠原病・感染内科)
  • 山村 研一(熊本大学発生医学研究センター)
  • 田中 栄(東京大学大学院医学系研究科整形外科)
  • 前田 和久(大阪大学大学院医学系研究科内分泌代謝内科)
  • 長田 重一(京都大学大学院医学研究科分子生体統御・生化学)
  • 鈴木 隆二(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
96,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(以下 RAと略す)患者の重要な骨破壊機序として顕著な骨粗鬆症発症を見出し、その臨床実態と、特異なRA骨髄病態機序および、RA病因解明を進め、RA重症化予防から根治療法開発へと進めることが目的である。
研究方法
Ⅰ)RA・骨粗鬆症の治療疫学的研究; ① 薬物治療研究、② 脆弱骨再生研究、③ 予後診断薬開発研究、Ⅱ)RA重症化機序解明と治療法開発研究; 1) ナース様細胞病態解明:①滑膜細胞の由来、②ナース様細胞の病理・病態学的解析、③ナース様細胞分化機序解明、2) 破骨細胞病態解明研究;①RANKL非依存性破骨細胞特異的病態、②RANKL依存性破骨細胞のRA病態、③Adiponectinや、Osteopontineなどの作用による関節炎発生病態抑制研究、④DNaseⅡ遺伝子抑制による関節炎発症解明研究、Ⅲ)RA骨髄細胞からの新規病因遺伝子解明と完治治療薬開発研究。
結果と考察
Ⅰ)治療疫学的研究:ビスホスホン酸などの薬物治療、連通多孔体人工骨充填による骨再生治療の有用性が示され、RA患者血清中のC1q値により予後診断可能と示された。今後の多施設研究が求められる。Ⅱ)RA重症化機序解明と治療法開発研究:1) ナース様細胞(RA-NLC);①関節炎発症に伴い多数の骨髄細胞が関節腔へと移動し滑膜細胞を構成する細胞中に多くのナース細胞を認めた。② RA-NLCにより諸種の血液細胞を活性化してRA病態を作ることが判明した。未解明のRA病因、病態解明とともに、RA根治療法開発への大きな手がかりである。2) 破骨細胞病態解明研究:① RANKL非依存性のRA特異的破骨細胞が新たに発見され、Adiponectin, osteopontineなどは分化抑制効果をもち創薬の手がかりとなる。②従来既知のRANKL依存性破骨細胞はCX3CR1発現抑制により分化促進作用がキャンセルされ、創薬への手がかりとなる。Ⅲ)RA骨髄細胞からの病因遺伝子解明と治療法開発研究:AREG、LIGHT、Granulin、SHIPS-1、hu-sulf-1などに的を絞った。遺伝子改変マウスでの解析が完治治療薬鍵への鍵を握る。
結論
Ⅰ)RA・骨粗鬆症の予後診断から治療法確立まで達成できた。Ⅱ)RA骨髄病巣解明が進められ、治療法開発へ向かう。Ⅲ)RA骨髄細胞から見出したGranulin, SHPS-1、LIGHT、AREGともにRA発症に関連し、診断・根治療法開発研究を続けている。

公開日・更新日

公開日
2008-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200729007B
報告書区分
総合
研究課題名
関節リウマチ・骨粗鬆症の重症化防止治療開発研究
課題番号
H17-免疫-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
越智 隆弘(国立大学法人大阪大学医学系研究科保健学科)
研究分担者(所属機関)
  • 西沢 良記(大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学)
  • 島岡 康則(行岡病院)
  • 宇月 美和(岩手医科大学医学部病理学第一講座)
  • 大和谷 厚(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 前田 朋子(塩野義製薬株式会社医薬開発研究本部創薬研究所)
  • 広畑 俊成(北里大学医学部膠原病・感染内科)
  • 山村 研一(熊本大学発生医学研究センター)
  • 田中 栄(東京大学大学院医学系研究科整形外科)
  • 前田 和久(大阪大学大学院医学系研究科内分泌代謝内科)
  • 長田 重一(京都大学大学院医学研究科分子生体統御・生化学)
  • 鈴木 隆二(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(以下 RAと略す)患者の重要な骨破壊機序として顕著な骨粗鬆症発症を見出し、その臨床実態と、特異なRA骨髄病態機序および、RA病因解明を進め、RA重症化予防から根治療法開発へと進めることが目的である。更にRA診療現場の問題点解決にも視点をおいた。
研究方法
Ⅰ)RA・骨粗鬆症の治療疫学的研究; 1) 薬物治療研究、2) 脆弱骨再生研究、3) 予後診断薬開発研究、Ⅱ)RA重症化機序解明と治療法開発研究; 1) ナース様細胞病態解明:①滑膜細胞の由来、②ナース様細胞の病理・病態学的解析、③ナース様細胞分化機序解明、2) 破骨細胞病態解明研究;①RANKL非依存性破骨細胞特異的病態、②RANKL依存性破骨細胞のRA病態、③その他の関節炎発生病態抑制研究、Ⅲ)RA骨髄細胞からの新規病因遺伝子解明と完治治療薬開発研究、Ⅳ)リウマチ診療現場での問題点調査
結果と考察
Ⅰ)治療疫学的研究:ビスホスホン酸などの薬物治療、連通多孔体人工骨充填による骨再生治療の有用性が示され、また予後診断可能と示された。今後の多施設研究が求められる。Ⅱ)RA重症化機序解明と治療法開発研究:1) ナース様細胞(RA-NLC);①関節炎発症に伴い多数の骨髄細胞が関節腔へと移動し滑膜細胞を構成する。②骨髄および滑膜中に多くのRA-NLCを認めた。③RA-NLCにより諸血液細胞が賦活されRA病態ができることが示された。④RA病因、病態解明とRA根治療法開発へと前進できる。2) 破骨細胞病態解明研究:① RANKL非依存性のRA特異的破骨細胞が新たに発見され、治療標的となった。②従来既知のRANKL依存性破骨細胞はCX3CR1発現抑制により分化抑制が起き、創薬への手がかりとなる。Ⅲ)RA骨髄細胞からの病因候補遺伝子としてAREG、LIGHT、Granulin、SHIPS-1、hu-sulf-1などに的を絞った。遺伝子改変マウスでの解析が完治治療薬鍵への鍵を握る。Ⅳ)諸規模リウマチ診療現場での問題点調査報告書と関節リウマチ患者の自己管理の手引き書作成(平成17年)
結論
Ⅰ)RA・骨粗鬆症の予後診断から治療法確立まで達成できた。Ⅱ)RA骨髄病巣解明が進められ、治療法開発へ向かう。Ⅲ)RA骨髄細胞から見出したGranulin, SHPS-1、LIGHT、AREGともにRA発症に関連し、診断・根治療法開発研究を続けている。 Ⅳ)今後とも適時のリウマチ診療現場での問題点調査が求められる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200729007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)関節リウマチ(RA)の主病巣は関節腔内の滑膜と考えられてきたが、骨髄に主病巣があり、関節内の滑膜は二次病巣であることを示した。(2)骨髄および滑膜病巣を形成するナース様細胞による各種血球細胞の活性化により免疫機序、骨吸収機序が明示され、従来不明とされてきたRA病因、病態解明に近づいた。(3)RA特異的破骨細胞の発見も骨代謝として重要なものである。
臨床的観点からの成果
(1)従来臨床現場では認識されながら明確化されていなかったRA骨粗鬆症の診断法と治療法が明示された。(2)病因・病態的観点の新展開によりRA完治治療法開発への途がひらけた。(3)予後診断法確立により一人一人のRA患者の長期治療方針を確定可能となる。
ガイドライン等の開発
RA骨粗鬆症の診断、治療に関する本研究成果はRAの治療ガイドライン、そして骨粗鬆症ガイドラインの改訂時に組み込む方向で進めてゆく。
その他行政的観点からの成果
(1)諸規模リウマチ診療現場での問題点調査報告書(平成17年)は厚生労働施策を臨床現場に反映させるために重要な資料として地方自治体にも使われる。
(2)関節リウマチ患者の自己管理の手引き書(平成17年)は今後の厚生労働施策として患者自立支援を進めるうえで重要である。
その他のインパクト
当研究班の業績は、RAに関する新たな展開として欧米の論文に引用され、競合するようになっている。

発表件数

原著論文(和文)
9件
原著論文(英文等)
74件
その他論文(和文)
78件
その他論文(英文等)
74件
学会発表(国内学会)
145件
学会発表(国際学会等)
57件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Ochi T, Yoshikawa H, Toyosaki-Maeda T, et al
Nurse-like cells reside in the synovial tissue and bone marrow in rheumatoid arthritis.
Arthritis Research & Therapy , 9 , 201-206  (2007)
原著論文2
Hirohata S, Miura Y, Tomita T, Yoshikawa H, Ochi T, Chiorazzi N
Enhanced expression of mRNA for nuclear factor kB1 (p50) in CD34+ cells of the bone marrow in rheumatoid arthritis.
Arthritis Research & Therapy , 8 , 54-  (2006)
原著論文3
Hikita A, Tanaka S. et al
Negative Regulation of Osteoclastogenesis by Ectodomain Shedding of Receptor Activator of NF-κB Ligand.
J Biol. Chem , 281 (48) , 36846-36855  (2006)
原著論文4
Hikita A, Tanaka S. et al.
Identification of an alternatively spliced variant of CAPRI as a possible regulator of RANKL shedding.
J Biol Chem , 280 (50) , 41700-41706  (2005)
原著論文5
Yamada S, Inaba M, Nishizawa Y,et al.
Significance of intima-media thickness in femoral artery in the determination of calcaneus osteo-sono index but not of lumbar spine bone mass in healthy Japanese people.
Osteoporos Int. , 16 , 64-70  (2005)
原著論文6
Yamada S, Inaba M, Nishizawa Y, et al.
Associations between physical activity, peripheral atherosclerosis and bone status in healthy Japanese women.
Atherosclerosis , 188 , 196-202  (2006)
原著論文7
Tanaka K, Inaba M, Nishizawa Y,et al.
Paraarticular trabecular bone loss at the ultradistal radius and increased arterial stiffening in postmenopausal patients with rheumatoid arthritis.
J Rheumatol. , 33 , 652-658  (2006)
原著論文8
Inaba M, Tanaka K, Nishizawa Y, et al.
Independent association of increased trunk fat with increased arterial stiffening in postmenopausal patients with rheumatoid arthritis.
J Rheumatol. , 34 , 290-295  (2007)
原著論文9
Inaba M, Takahashi T, Nishizawa Y, et al.
Increased basal phosphorylation of mitogen-activated protein kinases and reduced responsiveness to inflammatory cytokines in neutrophils from patients with rheumatoid arthritis.
Clin Exp Rheumatol. , 26 , 52-60  (2008)
原著論文10
Yukioka M, Komatsuzaki Y, Nishizawa Y, et al.
Adrenocorticotropic hormone and dehydroepiandrosterone sulphate levels of rheumatoid arthritis patients treated with glucocorticoids
Mod Rheumatol. , 16 , 30-35  (2006)
原著論文11
Nakamura N, Shimaoka Y, Nojima H, et al.
Isolation and expression profiling of genes upregulated in bone marrow-derived mononuclear cells of rheumatoid arthritis patients
DNA Research , 13 , 169-183  (2006)
原著論文12
Yoshikawa, H., Myoui, A.
Bone tissue engineering with porous hydroxyapatite ceramics.
J Art Org. , 8 , 131-136  (2005)
原著論文13
Kunugiza, Y., Tomita, T., Tomita, N., Morishita, R., Yoshikawa, H.
Inhibitory effect of ribbon-type NFkB decoy olidodeoxynucleatides on osteoclast induction and activity in vitro and in vivo.
Arthritis Research & Therapy. (R103) , 8 , 103-  (2006)
原著論文14
Fukui N, Ikeda Y, Ohnuki T, et al.
Regional differences in chondrocyte metabolism in osteoarthritis: a detailed analysis by laser capture microdisseation.
Arthritis Rheum. , 58 (1) , 154-163  (2008)
原著論文15
Tanaka K, Mori T, Juji T, et al.
Production of 9interleukin-6 by nurse-like cells from rheumatoid arthritis patients after stimulation with monocytes.
Mod Rheumatol. , 15 (1) , 415-422  (2005)
原著論文16
Fukui N, Ikeda Y, Ohmuki T, et al.
Pro-inflammatory cytokine tumor necrosisfactor-alpha induces bone morphogenetic protein-2 in chondrocytes via mRNA stabilization and transcriptional up-regulation.
J Biol Chem. , 281 (37) , 27229-27241  (2006)
原著論文17
Tashiro T, Hiraoka S,Ikeda y, et al.
Effect of GDF-5 on ligment healing.
J Orthopo Res. , 24 (1) , 71-79  (2006)
原著論文18
Nakamura-Kikuoka S, Takahi K, Tsuboi H, et al.
Limited VH gene usage in B-cell clones established with nurse-like cells from patients with rheumatoid arthritis.
Rhematology(Oxford) , 45 (5) , 549-557  (2006)
原著論文19
Miki Y, Suzuki T, Hatori M, Igarashi K, Aisaki KI, Kanno J, Nakamura Y, Uzuki M, Sawai T, Sasano H
Effects of aromatase inhibitors on human osteoblast and osteoblast-like cells: A possible androgenic bone protective effects induced by exemestane.
Bone , 40 , 876-887  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-