防疫上緊急を要するウイルス性出血熱等に対する病原体診断法の確立及び予防・治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200726032A
報告書区分
総括
研究課題名
防疫上緊急を要するウイルス性出血熱等に対する病原体診断法の確立及び予防・治療法の開発に関する研究
課題番号
H19-新興-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
森川 茂(国立感染症研究所ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 甲斐 知惠子(東京大学医科学研究所感染症分野)
  • 高田 礼人(北海道大学人獣共通感染症共通感染症リサーチセンター)
  • 安田 二朗(科学警察研究所科学第一部)
  • 有川 二郎(北海道大学大学院医学研究科病原微生物学)
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 福士 秀悦(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 田口 文広(国立感染症研究所ウイルス第三部)
  • 遠藤 大二(酪農学園大学獣医放射線学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
70,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウイルス性出血熱、ニパウイルス脳炎、ハンタウイルス感染症、サル痘、重症急性呼吸器症候群、チクングニア熱等は、大流行の頻発や感染地域の拡大が見られ、我国への侵入が危惧される。これらの防疫上緊急な感染症の診断体制を確立し、予防・治療法の開発に繋がる基礎研究を行うことを目的とする。
研究方法
1)不活化ウイルス抗原、組換えウイルス蛋白、ウイルス様粒子抗原を用いた抗体、抗原検出法に関する研究、2)代替えウイルス中和抗体測定系に関する研究、3)対象ウイルスの遺伝子の検出法の改良及び、新型ウイルスおよび新興ウイルス発生時の迅速で高感度なウイルス遺伝子の増幅、同定法の開発に関する研究、3)ワクチン開発、治療薬の検討等の予防治療法の基礎研究を行う。
結果と考察
対象ウイルスのうち日本で取り扱えないレベル4のウイルスでは、組換えウイルス蛋白を各種作製した。フニン、チクングニアウイルスなどでは開発した抗体検出法を臨床検体を用いて評価した。代替え中和試験に応用可能なシュードタイプウイルスを作製した。抗原検出系に必要な高アビディティーな単クローン抗体、単特異抗体を各種作製した。遺伝子検出法の改良、開発とウイルスを用いた感度検定等を実施した。新型、新興ウイルスに対応可能な新たなアルゴリズムによるdegeneratedプライマー設計プログラムを開発した。これらにより診断法が一部確立された。また、遺伝子欠損ニパウイルスの作製、エボラの受動免疫効果、マールブルグウイルスの出芽機構と抑制法、SARS発症因子、劇症サル痘の解析を行い、予防・治療法につながる成果を得た。
結論
防疫上緊急を要するウイルス性出血熱等に対する病原体診断法の確立のため、対象ウイルスの遺伝子検出法、抗原検出法、抗体検出法の整備を進め、これまで未整備の診断法の確立、診断法確立に必要な蛋白や抗体の整備が進展した。新型ウイルスや新興ウイルスに対応可能な遺伝子検出法に関しても進展が見られた。また、いくつかのウイルスで予防法・治療法につながる成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
-