保健・医療サービス等における栄養ケアの基盤的研究

文献情報

文献番号
200722039A
報告書区分
総括
研究課題名
保健・医療サービス等における栄養ケアの基盤的研究
課題番号
H19-循環器等(生習)-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
須永 美幸(聖徳大学 人文学部人間栄養学科)
研究分担者(所属機関)
  • 杉山 みち子(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部栄養学科)
  • 堤 ちはる(日本子ども家庭総合研究所 母子保健研究部)
  • 市川 陽子(静岡県公立大学法人 食品栄養科学部栄養生命科学科)
  • 田中 久子(女子栄養大学 栄養学部実践栄養学科)
  • 森奥 登志江(椙山女学園大学 生活科学部管理栄養学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の予防重視型の保健・医療・福祉において栄養指導や栄養ケアを担う人材である管理栄養士の質及び量の確保が課題となっている。本研究は、保健・医療サ-ビスにおける栄養ケアの担い手である管理栄養士の教育養成及び生涯教育の体制、さらに望ましい栄養ケア体制について国内の現状及び諸外国における状況を把握するとともに、その具体的な課題や将来像を明らかにし、保健・医療サービスにおける質の高い栄養ケア提供のためのマンパワー確保等の基盤整備を行うことを目的とする。 
研究方法
諸外国の教育体制に関する実態調査は、インターネット等を通じて公表されている最新の既存資料及び文献等を収集し、その内容の分析を行った。地域保健サービスに関する研究は、厚生労働省による行政栄養士業務量調査を活用し、管理栄養士業務体制、内容及び業務時間等を解析した。
結果と考察
先進的な栄養ケア体制に取り組んでいる米国と英国は、栄養専門職の養成を栄養ケアの実務能力(competency)の育成を到達基準とした高度専門教育に位置づけ、計画的に養成プログラムを開発・推進し、高度化する市場ニーズに対応した実践活動の質の確保・向上を図るため、生涯教育が義務づけられていた。欧州域内でも教育改革と連動し、英国と同等の資格基準の統一が推進されていた。国際標準からみた実務能力の養成は、現規定による臨地実習では時間・質ともに不足しており、マネジメント能力の獲得には至らないため、米国や英国のようにクリニカルマネジメントに特化し、深化させた新たな高度栄養専門職の創設を検討することにより、将来の人材育成体制に寄与するものと考える。さらに、アウトカム評価を含めた評価システムを構築し、養成施設が主体的に教育の質の改善を図るとともに、資格取得者には生涯教育を義務づけ、一体となって実践活動の質の確保・向上に取り組むことが求められる。一方、地域保健サービスにおけるマンパワー整備のニーズを明らかにし、効果的な実施対策を示すことが求められている。
結論
米国、英国及び欧州各国、豪州では、栄養ケアの実務能力の育成を高度専門教育として計画的にプログラムを開発、推進している現状が明らかになった。保健・医療・福祉サービスの向上に寄与する管理栄養士の専門職としての人材育成、卒後教育、生涯教育を考えるうえで、国際的にも実務能力の到達基準を設け、学位取得を目的とした大学院教育(生涯教育を含む)の推進が求められる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
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