悪性リンパ腫に対する免疫化学療法の最適化による新たな標準的治療の確立

文献情報

文献番号
200721060A
報告書区分
総括
研究課題名
悪性リンパ腫に対する免疫化学療法の最適化による新たな標準的治療の確立
課題番号
H19-がん臨床-一般-020
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 知光(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 飛内 賢正(国立がんセンター中央病院)
  • 伊藤 国明(国立がんセンター東病院)
  • 柵木 信男(埼玉県立がんセンター)
  • 谷脇 雅史(京都府立医科大学)
  • 鈴木 孝世(滋賀県立成人病センター)
  • 石澤 賢一(東北大学医学部)
  • 木下 朝博(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 大間知 謙(東海大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
24,495,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的はB細胞リンパ腫に対する免疫化学療法の最適化と図り、治癒率およびQOLの高い標準的治療を確立することにある。予定するランダム化比較試験はJCOGの多施設共同研究としてJCOGデータセンターの協力のもとに科学的ならびに倫理的に適正な方法で行う。
研究方法
び漫性大細胞型B細胞リンパ腫(Diffuse large B-cell Lymphoma, DLBCL)に対する標準的治療であるリツキシマブとCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)療法の併用において、CHOP療法開始からリツキシマブを週1回連続8回投与する方法(RW+CHOP療法群)が現在の標準的投与法である8コースのCHOP療法の各コースにリツキシマブを計8回投与する方法(R-CHOP療法群)と比較して、有用性が上回るかどうかを検証するためのランダム化第II/III相試験(JCOG0601)を計画した。第II相部分の主要エンドポイントは完全奏効(CR)割合、第III相部分の主要エンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とした。第II相から第III相部分への移行の可否は、JCOGデータセンターによる中間解析に基づいて、JCOG効果・安全性評価委員会による評価と判断に従う。予定登録例数は第II相部分がB群で68例、第III相部分が各群180例で計360例と設定した。登録期間5年、追跡期間3年で総研究期間は8年とした。なお、効果判定規準は2007年に改訂された国際ワークショップ規準(International Workshop Criteria, IWC)Pに準拠してPET/CTを導入することとした。
結果と考察
臨床試験実施計画書は2007年10月18日にJCOG臨床試験審査委員会の承認を受け、同年12月4日に登録を開始した。2008年3月1日現在、IRB承認は37施設、症例登録数は5例である。現在までに重篤な有害事象の報告はない。本研究によってR-CHOP療法におけるリツキシマブの併用を治療開始早期に集中させて治療強度を高めることが生存率の向上をもたらすことを証明できれば、国際的にも高い医学的貢献が期待できる。また、高額医薬品であるリツキシマブの有効利用にもつながり、国民福祉に貢献できる。
結論
本研究では事業開始年度内に新規臨床試験を開始できた。臨床試験は予定通り進行しており、現在までは重篤な有害事象の報告はなく、被験者の安全は確保されている。中間解析を視野に、モニタリング作業、病理中央診断、効果中央判定作業を進め、質の高い臨床試験実施に努める。

公開日・更新日

公開日
2008-05-27
更新日
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