全国規模の多施設共同ランダム化比較試験と背景因子分析に基づく早産予防ガイドラインの作成

文献情報

文献番号
200719023A
報告書区分
総括
研究課題名
全国規模の多施設共同ランダム化比較試験と背景因子分析に基づく早産予防ガイドラインの作成
課題番号
H19-子ども-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岡井 崇(昭和大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 滋(富山大学 大学院医学薬学研究部)
  • 岩下 光利(杏林大学 医学部)
  • 杉本 充弘(日本赤十字社医療センター 産婦人科)
  • 上妻 志郎(東京大学 医学部)
  • 名取 道也(国立成育医療センター )
  • 中林 正雄(恩賜財団愛育病院 産婦人科)
  • 宇賀 直樹(東邦大学 医学部)
  • 仁志田 博司(東京女子医科大学 医学部)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院 医療情報ネットワーク研究センター)
  • 金山 尚裕(浜松医科大学 医学部)
  • 山本 樹生(日本大学 医学部)
  • 竹下 俊行(日本医科大学 女性診療科)
  • 井坂 惠一(東京医科大学 医学部)
  • 朝倉 啓文(日本医科大学武蔵小杉病院 女性診療科)
  • 田中 政信(東邦大学 医学部)
  • 吉田 幸洋(順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院 産婦人科)
  • 松田 義雄(東京女子医科大学 医学部)
  • 篠塚 憲男(日本赤十字社医療センター 第二産科)
  • 田中 忠夫(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 田中 守(慶應義塾大学 医学部)
  • 友岡 康弘(東京理科大学)
  • 中井 章人(日本医科大学附属多摩永山病院 女性診療科)
  • 下屋 浩一郎(川崎医科大学 産婦人科)
  • 松原 茂樹(自治医科大学 医学部)
  • 渡辺 博(獨協医科大学 医学部)
  • 小林 浩(奈良県立医科大学 医学部)
  • 高倉 賢二(京都大学 医学部)
  • 苛原 稔(徳島大学大学院 女性医学)
  • 星合 昊(近畿大学 医学部)
  • 竹田 省(順天堂大学 医学部)
  • 荻野 満春(国立国際医療センター)
  • 谷口 晴記(三重県立総合医療センター)
  • 伊藤 昌春(愛媛大学 医学部)
  • 瀧本 秀美(国立保健医療科学院)
  • 北川 道弘(国立成育医療センター 周産期診療部)
  • 水上 尚典(北海道大学 医学部)
  • 嘉村 敏治(久留米大学 医学部)
  • 明城 光三(仙台医療センター 産婦人科)
  • 谷口 義実(東京医科歯科大学 産婦人科)
  • 中田 好則(京都府第一赤十字病院 産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本で可能なスクリーニング法として、経腟超音波法による頸管長の計測を全症例で行い、不顕性感染のチェックに基づいて妊婦管理を行うことで実際に早産を減少させ得るか否か、また、頸管長の短縮例に頸管縫縮術が有効か不顕性感染陽性例にUTIが有効かを多施設共同のランダム化比較試験で検証することである。同時に、日本人女性の生活様態の変化、すなわち妊婦の就業率の上昇や過度のダイエットなどが背景因子として関わっているか否かを調査する。
研究方法
妊娠16週未満に受診した妊婦に、研究の趣旨を説明し参加を促す。その後、別紙の基準を満たす全ての妊婦を対象とする。方法:Study Groupではすべての症例に、妊娠16週0日-26週6日までの妊婦検診で毎回経腟超音波による頸管長計測を行う。入院後、頸管粘液中エラスターゼ値や細菌性腟症の存在などにより不顕性感染の有無によってまず2群に分け、不顕性感染のある群をさらにUTI治療群と生食治療群の2群に分ける。不顕性感染の無い群は、A-Cの3群に振り分ける。A群:頸管縫縮術(マクドナルド式)施行。B群:頸管縫縮術(シロッカー式) 施行。C群:安静療法群(頸管縫縮術非施行群)。症例の登録・・tには全てコンピューター化によるランダマイゼイションを行う。全ての症例で切迫早産の徴候が出現した時は、Rescue armに入ることとし、プロトコールに定めた取り扱い方針で管理する。
結果と考察
研究計画の詳細なプロトコールの作成、RCTの開始に向けての倫理委員会への提出資料並びに患者へのインフォームドコンセントの内容検討などの準備をすすめ、研究開始のための準備を整え、今年度症例登録が始まった。対象症例の蓄積も徐々に増えてきている状況である。
また、全国の産婦人科医師を対象として早産に関する学術的な知識の向上と交流を目的として「日本早産予防研究会第一回学術集会」を開催した。
結論
本研究は製薬会社に頼らない医師主導の本格的臨床試験であり、研究実施に至る前に様々な課題を克服する必要があった。今年度は研究開始のための準備を整え、今年度後半に漸く実質的な症例の蓄積が始まった。各施設において倫理委員会を既に通過させ研究は開始している。今年度の成果としては、周産期領域では日本で初めての医師主導の他施設共同臨床研究を開始することができた。今後は症例の蓄積と中間解析に重点を置く予定である。
今後、研究参加施設を全国レベルとして、症例の増加を図り、早い段階で有意義な成果を出したい。監査を随時行い、さらには高度なデータマネジメントを行い、質の高いエビデンスに基づいたガイドラインの作成を目指す。

公開日・更新日

公開日
2008-10-09
更新日
-