超音波を用いた非侵襲膝関節軟骨3次元定量診断装置の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200718058A
報告書区分
総括
研究課題名
超音波を用いた非侵襲膝関節軟骨3次元定量診断装置の開発に関する研究
課題番号
H19-長寿-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中村 耕三(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科)
研究分担者(所属機関)
  • 大西 五三男(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科 )
  • 星 和人(東京大学医学部附属病院 ティッシュエンジニアリング部)
  • 土肥 健純(東京大学 情報理工学系研究科)
  • 中島 義和(東京大学 大学院工学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目標は、外来診療の現場で変形性関節症の重傷度を非侵襲的に定量診断を行うことができる関節軟骨用超音波診断装置および軟骨下骨の3次元評価を行うことができる硬組織用超音波診断装置を開発することである。本年度は、そのもととなる基礎研究および機器の仕様決定のためのデータ収集を行った。
研究方法
基礎研究として、超音波を用いたヒト関節軟骨の音速値の測定および関節軟骨の変性による音速値への影響を検討した。また、超音波B-modeを用いて関節軟骨を水槽内で撮像し画像から関節軟骨厚を音速による補正を行い算出、実測した関節軟骨厚との相関を検討した。三次元の評価法としては、超音波B-mode画像を用いて関節軟骨を撮像し三次元モデルを作成、軟骨厚および軟骨の体積を計測した。高解像度CTを用いて同様に軟骨三次元モデルを作成し、軟骨厚・体積を算出し、それらを比較検討した。機器開発の面では、超音波検査法では、対象物が超音波送信波にできるだけ垂直であればあるほど、また超音波プローブの焦点距離に近ければ近いほどより良好な画像が得られる、といった特徴があるため、ヒト大腿骨内側顆部の矢状断面における関節軟骨の曲率半径、また、超音波プローブの関節軟骨に対する至適角度・位置を測定・検討した。
結果と考察
関節軟骨の変性度が重度なほど、音速が低下する傾向にあることが示された。ただし、音速低下は有意なものではなく、実際の軟骨形態定量評価においては、一定の音速値を用いることが可能であることが示唆された。B-modeを用いた関節軟骨厚・体積は、二次元評価では実測値と、三次元評価では高解像度CTと有意な相関を示し、これらの手法による関節軟骨形態計測が有用であると考えられた。ヒト大腿骨内側顆部の曲率半径は男女共にほぼ30mm-40mmであり、超音波プローブの関節軟骨に対する傾斜至適許容範囲・焦点からの深達方向への距離のずれの至適許容範囲は、それぞれ、0°-20°、±0mm-20mmであった。
結論
適切な音速値を用いたB-mode画像を使用した関節軟骨の形態定量値はin vivoにおいて精度が高いことが示された。臨床応用のためには、機器の仕様の最適化が必要であると考えられるが、今回の結果を踏まえ機器開発を進めていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-11-17
更新日
-