大規模コホートの観察研究に基づく生活機能低下スクリーニング質問表の開発

文献情報

文献番号
200718028A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模コホートの観察研究に基づく生活機能低下スクリーニング質問表の開発
課題番号
H18-長寿-一般-018
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
高田 和子(独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 小長谷 陽子(認知症介護研究・研修センター 大府センター)
  • 田中 喜代次(国立大学法人 筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 吉田 祐子((財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
介護予防事業においては、今後、収集されるデータ等に基づいて、介護予防の対象者の適切な抽出や適切な予防事業の提供のためへの改善が繰り返し行われるべきであり、それを意図したデータの収集が必須である。より詳細にスクリーニングが行われれば、個別に生活機能ごとの低下の予測や確率も提示でき、予防のための介入も適切に実施できると推測される。海外においては、多数の高齢者のコホート研究による生活機能低下のリスクに関連する研究が数多くされているが、日本人を対象とした研究は限られている。
研究方法
2年目の本年度は、①1市のコホートデータを基にした生活機能低下のナチュラルコースの検討と自立度低下に関連する要因の検討、②生活機能低下リスクのスクリーニング項目案の断面的評価、③認知機能の簡易評価法を用いた地域在住高齢者の認知機能調査を実施した。
結果と考察
地域在住高齢者の自立度変化の検討からは、自立度の変化に初期の疾病の有無や期間中の新規発症の影響が大きいこと、疾病発症や自立度の低下が、体重の維持、タンパク質を含む食品の摂取、運動習慣の継続などにより予防できる可能性が示された。本研究班で作成した生活機能低下リスクのスクリーニング項目のうち、体力・身体機能に関する項目が体力測定やSF-36 の結果と相関が高いこと、リスクのスクリーニング項目のうち下肢筋力が老年症候群と関連することが示された。認知機能の評価においてはTICS-Jの得点が地域在住高齢者において、ほぼ正規分布し、年齢や教育歴との関連が明らかになった。生活機能低下に関するナチュラルコースを把握することや生活機能低下に関連する要因を明らかにしていくことは、今後、介護予防事業などの評価や、あらたな対策を策定するための資料となる。また、本研究班で作成した生活機能低下リスクのスクリーニング項目は、予防対策が取りやすいよう意図したものであり、今後、個別の予防対策を策定する際に参考になるものである。また認知機能の簡易評価法の開発により、多数の高齢者を対象に早期から認知機能の低下のリスクを把握することが可能になること、認知機能低下に関連する要因等の研究をすすめることが可能になる。
結論
以上の結果は、自立度や認知機能低下のリスクを早期にチェックし、適切な予防策がとれるようになるための資料となるものである。次年度、さらに他のコホートのデータを収集し、解析することで生活機能低下のナチュラルコースや関連する要因を詳しく検討するとともに、本研究班で作成した生活機能低下のスクリーニング項目については縦断的な評価をすること、認知機能低下に関連する要因を検討することを予定している。

公開日・更新日

公開日
2008-07-24
更新日
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