分散型ナノ植え込み機器を活用した慢性心不全患者の統合的デバイス治療の開発

文献情報

文献番号
200712035A
報告書区分
総括
研究課題名
分散型ナノ植え込み機器を活用した慢性心不全患者の統合的デバイス治療の開発
課題番号
H19-ナノ-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
杉町 勝(国立循環器病センター研究所先進医工学センター循環動態機能部)
研究分担者(所属機関)
  • 高木 洋(国立循環器病センター研究所先進医工学センター循環動態機能部)
  • 稲垣 正司(国立循環器病センター研究所先進医工学センター循環動態機能部)
  • 宍戸 稔聡(国立循環器病センター研究所先進医工学センター循環動態機能部)
  • 河野 隆二(横浜国立大学大学院・工学大学院・知的構造の創生部門)
  • 西澤 松彦(東北大学大学院・工学研究科・バイオロボティクス専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
44,846,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性の重症疾患の治療では生体への植え込み機器が重要な役割を果たす。機器をナノ機器化することによってさらに侵襲性を低下させることができる。そこでナノ植え込み機器を開発し、植え込み除細動器は除細動機能のみを行い、不整脈検知、心室再同期ペーシング、迷走神経刺激、モニタリングなどはカテーテル植え込み可能なナノ植え込み装置が機能を分担する、慢性心不全の統合的デバイス治療を開発する。
研究方法
1)基盤技術:ビタミンK3/ジアフォラーゼ/グルコースデヒドロゲナーゼ固定アノードを用いた体内グルコース燃料電池に、ビリルビンオキシダーゼ固定カソードを併用した。超広帯域(UWB)無線の体内伝搬様式(吸収・伝搬)を動物実験により明らかにし測距の精度を検討した。
2)ナノペースメーカ試作・付加機能:開発環境ボード上での試作を行い、ペーシングレート、電圧、パルス幅を設定した。またLSI内蔵アンプによる心電図の測定について検討した。ナノペースメーカによる致死的不整脈センシングのために、局所電位波形の相関を利用した不整脈検出法を検討した。心電図から得られた呼吸曲線から周期性呼吸を定量化する複素復調解析法を検討した。
3)ナノ神経刺激素子付加機能:ナノ神経刺激素子を体表刺激点の刺激に用いる低侵襲治療を検討した。
4)ナノ素子の低侵襲装着:内視鏡によるナノ素子の胸腔内装着を検討した。
結果と考察
1)基盤技術:体内グルコース燃料電池により実用的なレベルの電力が確実に得られた。電池の安定性向上が課題であり、今後無線による外部給電や他の発電についても検討する。超広帯域(UWB)無線による測距は十分な精度ではなかった。
2)ナノペースメーカ試作・付加機能:試作において刺激条件の設定が自由にできた。LSI内蔵アンプの同相信号除去比が不十分であり心電図センシングには小型計装アンプの併用が必要であった。致死的不整脈センシングに局所電位波形の相関が有用であった。複素復調解析法によって周期性呼吸が定量化できた。
3)ナノ神経刺激素子付加機能:足三里の刺激により動物の交感神経活動を抑制を定量的に制御可能であった。
4)ナノ素子の低侵襲装着:内視鏡では心室後面の装着は困難であった。
結論
本研究のナノ機器は治療原理や治療機器の自律動作の開発に応じで進化させる必要があり、微小化したままで実現できれば疾患の治療体系を変えるものである。今後あらゆる疾患に応用できる可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2008-06-26
更新日
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