カルシウム恒常性破綻のナノイメージングに関する研究

文献情報

文献番号
200712030A
報告書区分
総括
研究課題名
カルシウム恒常性破綻のナノイメージングに関する研究
課題番号
H19-ナノ-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
尾藤 晴彦(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 菊地 和也(大阪大学 大学院工学研究科)
  • 北 潔(東京大学 大学院医学系研究科 )
  • 奥野 浩行(東京大学 大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
32,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
カルシウム(Ca2+)恒常性と細胞内Ca2+動態の破綻は、生活習慣病・脳高次機能障害や骨粗鬆症など多くの病態において示唆される。本研究では、Ca2+恒常性破綻のナノイメージングを可能にする融合的学際的研究を実施し、疾病時に起こると考えられるCa2+シグナリングの様々なレベルでの破綻を疾患動物モデルにおいて計測する基盤技術を開発し、新たな光工学的技術開発に向けた産学連携の基礎を築く。
研究方法
平成19年度においては、新規カルシウムセンサープローブや認知活動依存的プローブの作出と個体動物への導入、新規オルガネラ局在化シグナルの同定、ならびに新規MRIプローブ技術の開発に取り組んだ。特に、カルシウムセンサーの設計については、予備的検討に基づき、1)Ca2+感受性領域を、カルモデュリン、トロポニン、ホスホジエステラーゼなどのCa2+感受性蛋白の中から選択し、2)Ca2+依存的蛋白構造変化を長波長領域のGFP蛍光変異体間のFRETを指標とし、さらに3)もっともシグナル/ノイズ比の高いセンサー分子をアッセイ・スクリーニングするなどして最適化を実施した。
結果と考察
これまで、生きた個体の疾患動物モデルにおいて、病態時のCa2+ 動態異常が計測されたことは稀である。これは、これまで開発されてきたCa2+指示薬のほとんどが培養細胞にて有効な特性を有していたからである。そこで、生きた個体でのCa2+測定を可能にするため、レッドシフトのカルシウムセンサープローブやカルシウムの下流で活性化される遺伝子発現誘導のリポーター遺伝子などを作出した。これらの有用性を今後、ウィルスベクターや遺伝子改変マウスにて確認する。さらに、この技術の有用性を高めるたけ、細胞内オルガネラ局在ナノセンサーの開発や細胞内Ca2+シグナル活性化をMRIにより検出する新規技術に関する研究も実施した。
結論
本研究で開発された、あるいは開発中の種々のカルシウムセンサープローブは、病態モデルにおけるCa2+ナノドメイン測定に極めて有効な示唆を与えるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-