PETを用いた多施設共同臨床試験によるアルツハイマー病の超早期診断法の確立と普及

文献情報

文献番号
200712023A
報告書区分
総括
研究課題名
PETを用いた多施設共同臨床試験によるアルツハイマー病の超早期診断法の確立と普及
課題番号
H18-ナノ-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
谷内 一彦(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科機能薬理学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 岡村信行(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科機能薬理学分野)
  • 工藤幸司(国立大学法人東北大学 先進医工学研究機構)
  • 青木 康(住友重機械工業株式会社)
  • 伊藤健吾(国立長寿医療センター研究所 長寿脳科学研究部)
  • 石渡喜一(東京都老人総合研究所)
  • 岩田 錬(国立大学法人東北大学 サイクロトロンRIセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
30,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アルツハイマー病(AD)の神経病理学的研究によると、ADに特徴的な脳病理所見とされる老人斑の脳内蓄積は、臨床症状の出現よりも数十年先行する。本研究は、東北大学、国立長寿医療センター、東京都老人総合研究所による多施設共同臨床試験により、東北大学研究グループが今まで開発してきたbenzoxazole誘導体であるアミロイド標識薬剤[11C]BF-227とその関連[18F]標識化合物FACT(Fluorinated Amyloid Imaging Compound of Tohoku University)を用いてPET臨床研究を多施設共同にて行い、アミロイドAβ蛋白の非侵襲的分子イメージング測定法を確立し普及させることを目的とする。
研究方法
1.[11C]BF-227を用いた東北大学、東京都老人総合研究所、国立長寿医療センターの共同臨床試験
2.アミロイドイメージング用新規[18F]FACTの前臨床試験
3.超小型[18F] FACT自動標識合成装置の実用化と東京都老人総合研究所、国立長寿医療センターへの導入による多施設共同臨床試験の実施準備
4.東北大学における[18F]FACTの探索的臨床試験の開始
結果と考察
東北大学56例、東京都老人総合研究所12例、国立長寿医療センター18例の計86名の検査を行った。MCIの一部、AD、DLBで高い集積があり、アミロイド蓄積を非侵襲的に計測できた。競合プローブである[11C]PIBと[11C]BF-227の比較臨床試験を実施した。PIBとBF227ではアルツハイマー病における集積分布がやや異なり、親和性が高いアミロイドβのconformationが異なると推測された。また [18F]FACTの探索的臨床試験を開始した。健康老年健常者とアルツハイマー病では画像が異なり、[18F]FACTは有望なF-18標識体であることが明らかになった。超小型[18F] FACT自動標識合成装置を試作し、東京都老人総合研究所と国立長寿医療センター2箇所への導入し、[18F] FACTの多施設共同臨床試験の実施準備を行った。
結論
Benzoxazole誘導体プローブ[11C]BF-227と[18F]FACTを用いたアルツハイマー病の超早期診断法の確立と普及に格段の進歩があった。

公開日・更新日

公開日
2008-06-11
更新日
-