MRIと核医学手法の正確な重ね合わせに基づく癌の新しい分子イメージング診断法

文献情報

文献番号
200712010A
報告書区分
総括
研究課題名
MRIと核医学手法の正確な重ね合わせに基づく癌の新しい分子イメージング診断法
課題番号
H17-ナノ-一般-015
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(国立循環器病センター研究所先進医工学センター放射線医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 博司(国立循環器病センター研究所先進医工学センター先進診断機器開発室)
  • 林 拓也(国立循環器病センター研究所先進医工学センター放射線医学部 )
  • 渡部 浩司(国立循環器病センター研究所先進医工学センター放射線医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,731,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
MRI撮像装置における体動補正を実現することで解像度と感度を飛躍的に向上させると共にPETやSPECTにおけるRI診断薬剤の消化器粘膜巣の空間的広がりを詳細にイメージングするシステムを導入することで、悪性腫瘍の原発巣の超早期発見を実現する。これまでに間発してきた赤外線ステレオカメラによる重ね合わせシステムを、実験動物モデルで評価することを目的とする。また、より精度の高い一体型MRI-γカメラのフィジビリティスタディを行う。またピンホールSPECTのさらなる高分解能化のためのポストプロセッシング技術の検討を行う。
研究方法
PET/SPECT画像とMRI画像の重ね合わせは、赤外線を非検体に照射し、非検体に固定した赤外線反射器からの反射をステレオCCD赤外線カメラにて立体的なガントリーに対する位置情報として計算する。座標変換アルゴリズムの評価のため、数値モデルシミュレーションを行い、誤差の大きさを統計解析する。磁場内での動作が可能な半導体γ線センサーを開発し評価する。ピンホールSPECTにおいて、トランケーションのあるデータに対する定量性を検討し、ラット心筋撮像に評価する。
結果と考察
数値モデルによるシミュレーションの結果、角度に対する誤差は平均0.3度、最大1.4度、平行移動成分に対する誤差は平均1.5mm、最大7.9mmであった。角度、位置とも特定の方向成分の偏りは少なかった。また頚部モデルブタによるPET-MRIにおいて、FDG集積部がMRIにおける狭窄部位と一致した。CdTe素子を間隔1.4mmで配置したγ線検出モジュールを開発した。ラット頚部のMRI撮像と表皮に固定した57Co密封点線源をγカメラでプロジェクション像を撮像し、重ね合わせシステムとして機能しうることを実証した。ピンホールSPECTにおける従来リコンストラクション法はカウント値を14-23%過大評価されたが、提案したTC-3DOSEM法によりこのエラーが2-3%に改善できた。
結論
PET/SPECT-MRI画像位置合わせを実現するため、赤外線ステレオカメラを用いた重ね合わせシステムの評価を行った。数値モデル、小動物、中動物モデルにおいて疾患部位の位置も検証され、今後の臨床応用に期待が持てるシステムであることが実証できた。一体型MRI-γカメラシステムを開発した。ピンホールSPECTによる高分解能化を進め、ラットモデルで検証した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200712010B
報告書区分
総合
研究課題名
MRIと核医学手法の正確な重ね合わせに基づく癌の新しい分子イメージング診断法
課題番号
H17-ナノ-一般-015
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(国立循環器病センター研究所先進医工学センター放射線医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 博司(国立循環器病センター研究所先進医工学センター先進診断機器開発室)
  • 林 拓也(国立循環器病センター研究所先進医工学センター放射線医学部 )
  • 渡部 浩司(国立循環器病センター研究所先進医工学センター放射線医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
体動補正により解像度と感度を向上させたMRIと、高分解能のPETやSPECTにおける新規RI診断薬剤の集積を正確に重ね合わせることにより、悪性腫瘍の原発巣の早期発見を実現する。MRIにおいては、体動補償型の撮像装置/撮像方法を導入することで、消化器領域の癌に対する検出感度と特異度を飛躍的に向上させる。分子挙動を反映した機能画像と、コントラスト分解能の高い形態組織学的画像を、有機的に融合することによって臨床的意義の高いイメージを提供するシステムを構築する。
研究方法
赤外線反射をステレオCCDカメラにて捕らえ、座標変換マトリクスを算出し、PET/SPECT-MRIの画像位置に乗することにより重ね合わせを行う。数値シミュレーション、実験動物がんモデルにおいて、重ね合わせ精度の基礎検証を行う。PARP阻害薬である6-(4-[11C]Methoxy-phenyl)-3,4-dihydro-2H-[1,4]diazepino-[6,7,1-hi]indol-1-one ([11C]MDDI)のPET薬剤としての標識合成方法を検討し、実験動物がんモデルにおいてその集積を確認する。
食道部に最適化したコイルやシーケンスを開発し、MRIにおける体動補正、分解能などの評価を行う。SPECTをピンホール、再構成技術によって高分解能化を行う。
結果と考察
ピンホールSPECT装置を開発し、解像度100μmを達成し、標識薬剤の小動物における定量的評価が行える基盤が整った。新規コイル、シーケンス群の開発により、食道部の高分解能化に成功し、筋層と粘膜層の分離に成功した。ステレオカメラによる重ね合わせ技術により、数mmの精度で重ね合わせることができることを実証した。C6グリーマ細胞株を頚部に増殖させたラットのPET-MRI総合評価により、腫瘍部の有意な[11C]MDDIの集積を確認した。
結論
PET/SPECT-MRI画像位置合わせを実現するため、赤外線ステレオカメラを用いた重ね合わせシステムの開発、評価を行い、数値モデル、小動物、中動物モデルにおいてその有効性が検証された。MRI、PET/SPECTのそれぞれの高解像度化、[11C]MDDIによるがん集積の確認、一体型MRI-γカメラシステム開発等の成果をあいまって、モダリティ融合によるがん診断研究の基礎を築いた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200712010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
赤外線ステレオカメラを応用することにより、医療画像を融合する技術を開発し、実験動物によりその有効性を検証した。
臨床的観点からの成果
PET,SPECT,MRIは臨床上全く異なる診断価値を持っている。情報を組み合わせることにより、その診断価値、信頼性は向上するが、情報量が膨大となってしまうだけでなく、位置情報に関して正しく取り扱うことができない。本研究においてその融合法をひとつの方法論として実験動物において実証し、臨床応用のための基礎データとして活用可能である。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
PET/SPECTは放射線管理区域,MRIは強磁場管理区域で管理や操作者、法規が異なっている。本研究はこれらモダリティをそのままの状態で活用できる方法論であり、時間のかかる法規、行政管理の問題を含まない。
その他のインパクト
PET/SPECT,MRIといった高額医療設備を置き換えることなく、そのまま生かして融合する技術を開発したことは、その経済的効果が大きいと考えられる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
19件
その他論文(和文)
19件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
72件
学会発表(国際学会等)
20件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hidehiro Iida, Stefan Eberl,Kyeong-Min Kim, et al
Absolute quantitation of myocardial blood flow with 201Tl and dynamic SPECT in canine: optimisation and validation of kinetic modelling
Eur J Nucl Med Mol Imaging , 18  (2007)
原著論文2
Sato H, Enmi J, Teramoto N, et al
Comparison of Gd-DTPA-induced signal enhancements in rat brain C6 glioma among different pulse sequences in 3-Tesla magnetic resonance imaging
Acta Radiol , 49 (2) , 172-179  (2008)
原著論文3
Munehisa Shimamura, MD, PhD; Naoyuki Sato, MD, PhD; Masataka Sata,et al
Delayed Postischemic Treatment With Fluvastatin Improved Cognitive Impairment After Stroke in Rats
Stroke , 38 (12) , 3251-3258  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-