関節リウマチ関連遺伝子の同定とその機能解析、相互関連の研究

文献情報

文献番号
200707007A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ関連遺伝子の同定とその機能解析、相互関連の研究
課題番号
H17-ゲノム-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 和彦(東京女子医科大学東医療センター整形外科)
  • 岩倉 洋一郎(東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター)
  • 山田  亮(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター ゲノム機能解析分野)
  • 高地 雄太(理化学研究所遺伝子多型研究センター関節リウマチ関連遺伝子研究チーム)
  • 沢田 哲治(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 川畑 仁人(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 神田 浩子(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 藤尾 圭志(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)は原因不明の多発関節炎を主体とした全身性疾患であり、遺伝的影響が強く示唆されている。遺伝的要因ではHLA-DRの解析が進んでいるが、これは全遺伝要因の約1/3程度を説明するだけであり、それ以外の複数の遺伝要因が関与していることが示唆されている。これらの遺伝要因の解明がRAの病態や新しい治療法の開発につながると期待されている。
我々はRA関連遺伝子としてPADI4, SLC22A4,RUNX1, FCRL3などを同定し報告した。しかし、これまでの研究はRAに関係する遺伝子の重要性を明らかにしただけであり、どうしてRAの病態と関係があるのか、複数の関連遺伝子間に相互作用があるのか、これらの遺伝子多型の組み合わせでRAの疾病としてタイプが異なるのか、治療薬に対する反応に違いがあるのか、などについては不明のままである。そこで本研究では、それぞれの遺伝子の機能を詳細に探索し、その機能に関連する分子群とその遺伝子多型を明らかにすることを目的とした。
研究方法
同定したRA関連遺伝子機能解析をノックアウトマウスや細胞生物学的手法を用いて解析した。
結果と考察
ライブラリーを用いたPADI4がシトルリン化する蛋白を同定では、細胞外蛋白のI型コラーゲン、核内の転写因子であるeIF4G1など複数の蛋白を同定した。PADI4のノックアウトマウスはほぼB6へのバッククロスが完成した。
FCRL3については、細胞内ドメインは、B細胞受容体(BCR)とコライゲートした場合、主としてITIMとして働きBCRシグナルを抑制することで、Caイオンの流入を抑制やアポトーシスを抑制していることが判明した。
ヒトFCRL3と相同の分子はマウスのFcrl5と考えられることから、この遺伝子のトランスジェニックマウスとノックアウトマウスを作成した。
結論
患者個人と社会に重大な影響を与えているRAの疾患感受性遺伝子として、ゲノムワイドの一塩基多型(SNP)関連解析で進めた複数の遺伝子について遺伝子の機能を詳細に分析した。RAの病因の検索、新しい治療法の開発、オーダーメイド医療を推進するために重要と考えられる。さらに患者情報との対比、遺伝子同士の相互作用などを検討するためのサンプル収集も進めた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200707007B
報告書区分
総合
研究課題名
関節リウマチ関連遺伝子の同定とその機能解析、相互関連の研究
課題番号
H17-ゲノム-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 和彦(東京女子医科大学東医療センター整形外科)
  • 岩倉 洋一郎(東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター)
  • 山田 亮(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター ゲノム機能解析分野)
  • 高地 雄太(理化学研究所遺伝子多型研究センター関節リウマチ関連遺伝子研究チーム)
  • 沢田 哲治(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 川畑 仁人(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 神田 浩子(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 藤尾 圭志(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)は原因不明の多発関節炎を主体とした全身性疾患であり、遺伝的影響が強く示唆されている。遺伝要因は疾患に一義的に関与していることから、遺伝要因の解明はRAの病態や新しい治療法の開発につながる。我々はRA関連遺伝子としてPADI4, SLC22A4,RUNX1, FCRL3などを同定し報告した。しかし、これまでの研究はRAに関係する疾患関連遺伝子としての同定が主であった。そこで本研究では、それぞれの遺伝子の機能を詳細に探索し、その機能に関連する分子群とその遺伝子多型を明らかにすることを目的とした。さらに発症から経過が十分に把握できている症例のDNAサンプルを収集することを含めて、RAの疾患としてのタイプ分け、治療薬との反応など、ゲノム情報を今後のRA診療に直結させるシステムを構築することを目標として研究を進めた。
研究方法
同定したRA関連遺伝子機能解析をノックアウトマウスや細胞生物学的手法を用いて解析した。また、RA発症より10年以上経過したRA患者群を対象に、検査データ、X線検査による骨破壊の程度の評価、治療反応性などの臨床データとともにDNAサンプルの収集に着手した。
結果と考察
現在、関節リウマチに最も特異性の高い自己抗体である抗シトルリン化蛋白抗体に関与するPADI4について研究を進めた。RAでは複数のシトルリン化された自己抗原が免疫応答の標的になっていることが明らかとなった。PADI4のノックアウトマウスを完成させた。
FCRL3については、自己反応性B細胞のネガティブな選択に重要な働きを担っている可能性を見出した。ヒトFCRL3と相同の分子はマウスのFcrl5と考えられることから、この遺伝子のトランスジェニックマウスとノックアウトマウスを作成した。
DNAサンプルの充実、種々の患者の情報とともにリウマトイド因子、抗CCP抗体、HLA-DRのタイピングについて情報の充実を進めている。現在、RAのサンプルは2000以上となっている。
結論
患者個人と社会に重大な影響を与えているRAの疾患感受性遺伝子として、ゲノムワイドの一塩基多型(SNP)関連解析で進めた複数の遺伝子について遺伝子の機能を詳細に分析した。RAの病因の検索、新しい治療法の開発、テーラーメイド医療を推進するために重要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200707007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
関節リウマチ(RA)は原因不明の多発関節炎を主体とした全身性疾患であり、遺伝要因の解明は病態の理解や新しい治療法、テーラーメードの開発につながる。我々が既にRA関連遺伝子として報告したPADI4, SLC22A4, FCRL3などについて、それぞれの遺伝子の機能を詳細に探索した。さらにRAの疾患としてのタイプ分け、治療薬との反応など、ゲノム情報を今後のRA診療に直結させるシステムを構築することを目標として研究を進めた。
臨床的観点からの成果
現在、関節リウマチに最も特異性の高い自己抗体である抗シトルリン化蛋白抗体に関与するPADI4について研究を進め、RAでは複数のシトルリン化された自己抗原が免疫応答の標的になっていることを明らかとした。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
特になし。
その他のインパクト
もっともインパクトの高い臨床医学誌である米国のN Engl J Med誌に、RAのゲノムについてEditorialsとして執筆するよう依頼された(N Engl J Med 357:1250, 2007)。

発表件数

原著論文(和文)
24件
原著論文(英文等)
50件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
推定
学会発表(国際学会等)
3件
推定
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Fujio K, Okamura T, Okamoto A, Yamamoto K
T cell receptor and anti-inflammatory gene modulated T cells as therapy for auto immune diseases.
Expert Rev Clin Immunol.  (2007)
原著論文2
Yamaguchi Y, Fujio K, Shoda H, et al.
Interleukin-17B and interleukin-17C are associated with TNF-alpha production and contribute to the exacerbation of inflammatory arthritis.
J Immunol. , 179 , 7128-7136  (2007)
原著論文3
Fujio K, Okamura T, Okamoto A, Yamamoto K.
T cell receptor gene therapy for autoimmune diseases.
Ann N Y Acad Sci. , 10 , 222-232  (2007)
原著論文4
Fujio K, Okamoto A, Araki Y, et al.
Gene therapy of arthritis with TCR isolated from the inflamed paw.
J Immunol. , 117 , 8140-8147  (2006)
原著論文5
Shoda H, Fujio K, Yamaguchi Y, et al.
Interactions between IL-32 and tumor necrosis factor alpha contribute to the exacerbation of immune-inflammatory diseases.
Arthritis Res Ther. , 8 , 166-  (2006)
原著論文6
Yu R, Fujio K, Tahara H, et al.
Clonal dynamics of tumor-infiltrating lymphocytes. 
Eur J Immunol. , 35 , 1754-1763  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-