脱細胞化生体組織による再生医療技術の臨床応用

文献情報

文献番号
200706028A
報告書区分
総括
研究課題名
脱細胞化生体組織による再生医療技術の臨床応用
課題番号
H19-再生-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岸田 晶夫(国立大学法人東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 藤里 俊哉(大阪工業大学工学部)
  • 山岡 哲二(国立循環器病センター研究所先進医工学センター生体工学部)
  • 北村 惣一郎(国立循環器病センター)
  • 湊谷 謙司(国立循環器病センター心臓血管外科)
  • 白数 昭雄(ニプロ株式会社総合研究所)
  • 小林 尚俊(独立行政法人物質・材料研究機構生体材料センター)
  • 佐々木 秀次(東京都立広尾病院、国立大学法人東京医科歯科大学眼科)
  • 木村 剛(国立大学法人東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療等研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人工角膜や人工血管の開発が十分でないため、角膜や心臓弁などの組織移植は治療に欠かせない技術となっている。しかしながら、臓器移植と同様に提供数が少ないことが問題である。この問題を解決するため、動物組織を用いた異種組織移植の開発が各国で試みられている。本研究では、脱細胞化を実現する新しい技術である超高圧印加法を用い、近い将来に臨床応用が期待できる循環器系組織(血管、心臓弁)および角膜組織に対象を絞り、有効性・安全性の評価とともに製品化のための基礎研究を含めた検討を行う。
研究方法
 超高圧印加法を用いた脱細胞化技術により、脱細胞化心臓弁および血管を調製する。臨床応用を想定し、脱細胞化組織の強度、物理特性、および品質安定性を担保する方法について検討する。ミニブタ置換移植実験にて基材の有効性を確認する。長期移植を行い、内膜肥厚、石灰化などについて組織学的に摘出組織を評価する。小口径血管への応用を想定し、ヘパリン等の機能性分子の複合化について検討する。角膜実質部の脱細胞化プロトコールの確立を図り、透明性を確保できる条件を探索する。脱細胞化角膜上での角膜上皮細胞および内皮細胞の培養について検討を開始する。
結果と考察
臨床応用を想定した脱細胞化組織の強度、物理特性、および品質安定性を担保する方法について検討し、新しい条件を見いだした。大動脈の長期移植を行い、内膜肥厚、石灰化などについて組織学的に摘出組織を評価し結果、本技術の有効性が確認できた。小口径血管への応用を想定したヘパリンの複合化は、困難であり、引き続き検討する。角膜実質部の脱細胞化プロトコールを確立した。脱細胞化ブタ角膜をウサギ眼に部分移植したところ、炎症反応もほとんどなく、2週間で透明化し、その後6ヶ月間、透明性を維持していた。
結論
本年度は、循環器系組織については、開存性だけでなく、石灰化や内膜肥厚を抑制する手法について検討し、また静脈系組織についての長期の移植実験について検討した。動脈系組織における内膜肥厚および石灰化を抑制する手法については目処がつき、動物への移植実験を行って長期の成績を追跡する予定である。静脈系組織については長期埋め込み試験に於いて良好な成績が得られたため、臨床研究に進むための安全性・安定性などの評価に移行しつつある。角膜組織については、長期の埋め込み試験を継続するとともに、角膜上皮、実質、内皮の再生について検討を行う。

公開日・更新日

公開日
2008-07-08
更新日
-