介護者の確保育成策に関する国際比較研究

文献情報

文献番号
200701032A
報告書区分
総括
研究課題名
介護者の確保育成策に関する国際比較研究
課題番号
H19-政策-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
松本 勝明(一橋大学 経済研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 笹谷 春美(北海道教育大学 教育学部)
  • 宮崎 理枝(大月市立大月短期大学 経済科)
  • 森川 美絵(国立保健医療科学院 福祉サービス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,609,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、介護者の確保育成策の国際的な動向・状況について、「介護供給の類型に応じた体系的な国際比較」、「利用者視点に立脚した介護の質の確保」、「介護者の労働環境と生活ニーズとのマッチング」、という視点から分析し、日本の政策形成に有用な情報・示唆を得ることを目的としている。
研究方法
 介護供給類型及び事例国(ドイツ、フィンランド、イタリア及びアメリカ)を設定するとともに、体系的横断比較を行うため、全事例共通の調査項目(99項目)を設定した。これに基づき、現地調査による資料・情報収集、専門家のヒアリング調査、意見交換などを行い、事例国における介護の確保に関する公私関係、家族介護者支援策、介護従事者の確保育成策などを把握した。
結果と考察
 公的制度の役割が補完的なドイツ、残余的なアメリカだけでなく、公的責任による介護サービスの普遍的保障を理念とするフィンランドでも、家族介護者支援のため、介護手当などの制度が設けられている。家族主義の理念が強いイタリアでは、公的制度は現金給付に重点があり、そのことが移民労働者による介護労働の普及につながっている。介護従事者の確保・定着に関して、ドイツでは、労働条件改善策のひとつとして、介護保険サイドからも給与水準の改善を目的とした方策が講じられようとしている。また、アメリカでは、連邦政府による大規模な補助金が措置されるとともに、民間団体による取組みも行われている。介護専門職の養成に関しては、介護専門職に求められる専門性の範囲の拡大などに対応して、老人介護士と看護師の共通基礎教育の検討(ドイツ)、介護及び看護の基礎的技能を有する新たな資格制度の導入(フィンランド)などが行われている。また、イタリアでは、専門職の養成とあわせて、移民労働者による介護の質を高めるための教育システムもみられる。
 以上を踏まえ、家族介護の支援及び質の確保のための方策、給与水準の改善を含む介護従事者の労働条件の改善策、介護専門職に求められる専門性の拡大に対応した養成教育のあり方などについて、わが国への示唆を得る観点から検討を深める必要があると考えられる。
結論
来年度の研究においては、事例国の比較検討を行うことを通じて、論点を絞り込むとともに、事例国について更に掘り下げた調査検討を行う。その上で、各国の事例及び比較検討が日本に示唆する点を整理し、わが国の政策に対する提言を取りまとめる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
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