文献情報
文献番号
200637022A
報告書区分
総括
研究課題名
依存性薬物および未規制薬物による神経毒性と精神病の発現機序に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-医薬-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
鍋島 俊隆(名古屋大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 曽良 一郎(東北大学大学院・医学系研究科)
- 伊豫 雅臣(千葉大学・医学部)
- 池田 和隆(東京都精神医学総合研究所)
- 西川 徹(東京医科歯科大学・医学部)
- 谷内 一彦(東北大学大学院・医学系研究科)
- 山田 清文(金沢大学大学院・自然科学研究科)
- 野田 幸裕(名城大学薬学部)
- 山本 経之(長崎国際大学薬学部)
- 舩田 正彦(国立精神・神経センター)
- 金子 周司(京都大学大学院・生命科学研究科)
- 糸川 昌成(東京都精神医学総合研究所)
- 氏家 寛(岡山大学大学院・医歯薬学総合研究科)
- 岩村 樹憲(岐阜薬科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成18年度は平成16年度からの未規制薬物および規制薬物であるmethamphetamine (MAP)や3,4-methylenedioxy methamphetamine(MDMA)及び5-MeO-DIPTなどの薬物依存および精神行動障害の分子機序に関する研究に加え新たな未規制薬物のスクリーニングを確立することを目的とした。
研究方法
基礎研究は鍋島俊隆(名古屋大学)が7名の分担研究者を、臨床研究は曽良一郎(東北大学)が6名の分担研究者を率いて研究を行った
結果と考察
基礎研究では新たに新規規制薬物のmCPP関連化合物の合成とその細胞毒性についての研究が進められた。これまでのMAP、MDMAや5-MeO-DIPTの依存および神経毒性に関する動物モデルでの行動、生化学および分子生物学的な研究を統合し、MAPやMDMAによる依存、情動性・認知障害等の分子機序としてセロトニン、ドパミン、ヒスタミン、グルタミン酸系を介する細胞内シグナルやカンナビノイドシステムの関与が見出された。MAP嗜好性が抗うつ薬やミノサイクリンにより減弱されることを見出し、臨床現場での有効性について検証中である。MDMAによる依存・認知障害等、精神障害の分子機序を調べる培養細胞を用いた実験系も確立された。新規規制薬物のメチロンはMDMAと同等の中枢興奮作用を有し、ドパミン作動性神経系が関与していることが明らかになった。臨床研究では標準化したASI(Addiction Severity Index)日本語版とSRRS(Stimulant Relapse Risk Scale)普及を図り有用性を明らかにした。都内の複数の医療機関で実態調査を行ったが、未規制薬物症例は1例もなかった。覚醒剤精神病患者においてグルタミン酸カスケードに関与する遺伝子がリスクファクターとなる可能性が見出された。覚醒剤精神病には探索眼球運動、思考障害、幻覚の数値変動が認められた。
結論
以上のような基礎研究に加え、覚醒剤、MDMAおよび未規制薬物の精神病患者や乱用者対象の実態調査、依存重症度の評価方法普及、神経画像や遺伝子解析等の臨床的研究から、依存や精神毒性の発生機序や精神病の発症脆弱性を基礎と臨床の観点から解析することができた。
公開日・更新日
公開日
2007-04-17
更新日
-