歯科衛生士教育における臨地実習指導の在り方とその到達目標に関する研究

文献情報

文献番号
200634128A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科衛生士教育における臨地実習指導の在り方とその到達目標に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-049
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中垣 晴男(愛知学院大学 歯学部・口腔衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松井 恭平(千葉県立衛生短期大学)
  • 松田 裕子(鶴見大学 短期大学部)
  • 櫻井 美和(太陽歯科衛生士専門学校)
  • 犬飼 順子(愛知学院大学 短期大学部)
  • 田村 清美(名古屋歯科衛生士専門学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科衛生士養成年限が3年に延長する歯科衛生士学校養成所指定規則の一部改正が行われ、それぞれの養成機関でその対応を行っている。本研究では歯科衛生士教育の重要な位置づけである臨床・臨地実習の実施状況について国内外で質問調査を行い、日本の歯科衛生士教育の目標および臨床・臨地実習の到達目標について検討した。
研究方法
①日本の臨床・臨地実習実施状況調査は全国歯科衛生士教育協議会加盟機関140校を対象として質問票を郵送し、回答を集計・分析した。②海外の臨床実習実施状況調査はアメリカ(ペンシルバニア州、ワシントン州)、カナダ、イギリス、デンマーク、スウェーデン、タイ、韓国のすべての歯科衛生士養成機関に質問票を送り、回答を集計・分析した。
結果と考察
①臨床実習は最終学年に行われ、実習の場は歯科診療所が多く、内容は歯科診療補助が主体であった。また修業単位の理解は不十分で、実習の満足度は低く、養成機関と施設との連携、到達・行動目標の設定、教育を行う歯科衛生士・歯科医師の研修が必要だった。②臨地実習の単位認識が明確でなく、施設の確保は施設によって難易度があり、確保の容易な施設での実習が多かった。したがって、実習環境の整備として施設の確保と実習内容、単位数再認識が必要であった。③外国の臨床実習は調査国すべてで行われており、内容は歯科予防処置、歯科保健指導が主体であった。実習施設は大学病院や養成機関が設置する診療所が多く、日本と比べ臨床実習の満足度は高かった。④臨床、臨地実習毎に習熟レベルの評価ができる「到達レベル表」を作成し、望ましい修得レベルを設定した。また歯科衛生士教育における目標とする歯科衛生士として8項目を設定した。
結論
臨床・臨地実習の在り方と到達目標は、次のように結論された。1)日本における歯科衛生士教育の目標とする歯科衛生士は、①歯科衛生に関する臨床技術能力にすぐれている②歯科衛生士保健指導・健康づくり支援能力にすぐれている③コミュニケーション能力がある④管理マネージメント能力がある⑤歯科および歯科以外の医療職種とチームワークをとることができる⑥公衆歯科衛生的能力・素養がある⑦歯科衛生に関する研究能力がある⑧歯科衛生士の仕事について高い倫理観・責任感を持ち、判断や行動ができることである。2)臨床・臨地実習の到達目標は、習熟レベル別に到達レベル表で設定したレベル以上修得することが望ましい。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634128C

成果

専門的・学術的観点からの成果
日本および海外の歯科衛生士養成機関の実態調査を行い、歯科衛生士教育の重要な位置づけである臨床・臨地実習の実体を把握することができた。なかでも臨床・臨地実習はその実習時期、実習内容、実習施設、学生評価等に養成機関によってばらつきが大きいことが把握できた。また、海外調査により世界における日本の歯科衛生士教育の現状を把握することができた。
臨床的観点からの成果
本研究は歯科医療チームの一員として臨床の現場に出る歯科衛生士の教育として、臨床・臨地実習の在り方とその到達目標を設定することで、歯科衛生士養成機関卒業後の歯科衛生士の臨床・臨地実習での習熟度が向上し歯科医療現場に多大な影響を与えると思われる。
ガイドライン等の開発
臨床・臨地実習の在り方と到達目標は1)「日本の歯科衛生士教育の目標とする歯科衛生士」として8項目を設定し、2)臨床実習・臨地実習の到達目標の習熟レベルチェックできる「臨床実習の到達レベル表」および「臨地実習到達レベル表」を作成した。この表を用いて現在の臨床実習・臨地実習レベルの到達目標を習熟レベル2もしくは3以上修得することを到達目標とすることが望ましいと設定した。
その他行政的観点からの成果
平成16年、養成年限を2年から3年に延長するという歯科衛生士養成所指定規則の一部改正が行われ、翌年より施行された。したがって、多くの歯科衛生士養成機関ではその対応をしているのが現状である。この時期に全国歯科養成機関に臨床・臨地実習の実態調査を行い、外国の歯科衛生士の臨床教育現状調査を行い、3年以上における日本における歯科衛生士教育の目標および臨床実習と臨地実習の到達目標を設定したことは意義深い。
その他のインパクト
国の歯科衛生士養成機関に本研究結果を送付した。日本歯科評論773, vol.67(3), 171-176, 2007
日本歯科評論774, vol.67(4), 157-162, 2007、日本歯科評論775, vol.67(5), 2007, 印刷中で本研究結果が紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
4件
日本歯科評論773,67(3),171-6, 2007 同774,67(4),157-62, 2007 同775,67(5),157-62,2007 同780,67(10),151-7,2007
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
第2回日本歯科衛生士学会,2007. 第26回日本歯科医学教育学会総会・学術大会,2007. 第56回日本口腔衛生学会総会、シンポジウム、2007. 第56回日本口腔衛生学会総会、2007.
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-