特定機能病院の医療安全対策に資する標準クリニカル・インディケータの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200634003A
報告書区分
総括
研究課題名
特定機能病院の医療安全対策に資する標準クリニカル・インディケータの開発に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
永井 良三(東京大学大学院医学系研究科東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大江 和彦(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
  • 大西 真(東京大学医学部 医療評価・安全・研修部)
  • 林 同文(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 興梠 貴英(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 柏野 聡彦(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 村井 佐知子(東京大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療の安全と信頼を高めることは厚生労働行政の最重要課題である。近年、医療活動の質の改善向上のため、臨床評価指標の開発・運用の必要性に関する認識が高まっているが、指標の検討はまだ十分ではなく、その研究・開発は喫緊に対応すべき課題となっている。
本研究は,特定機能病院の医療活動の質の改善向上に資する臨床評価指標を研究・開発し,継続した調査・分析を通じてその改良を行い、データに関する諸環境整備について検討することを目的として実施した。
研究方法
平成18年度は,(1)全国の国公私立大学における第2回目調査の実施・データ精査、(2)収集した平成15年度・平成17年度のデータを用いた統計的分析(患者満足度・職員満足度を中心に、平成17年度データの分析/平成15年度データとの比較/国公立・私立の比較/他の臨床指標との関係の検討)、(3)DPCデータからの臨床指標自動抽出システムの開発・評価、(4)循環器領域に係るDPCデータからの臨床指標抽出ルールの精査、を行った。
結果と考察
第2回調査では67病院(国立44病院、公立4病院、私立19病院)からデータを収集した。
分析の結果、入院患者の満足割合(4点+5点)の平均は88.9%、外来患者は76.5%だった。在院日数中央値と入院患者満足度、外来患者満足度との相関分析から、在院日数は入院医療の質の評価指標であり、外来医療の質の評価指標とはならないことが示唆された。平成15年度と平成17年度との満足度の比較から、大学病院の独立行政法人化は、入院医療に大きな変化を与えることなく遂行されたことが示唆された。
DPC様式1・様式5からのデータ抽出システムについては、事務担当者による評価の結果、その有効性が確認された。循環器領域の指標抽出ルールの検討の結果、一定水準のデータ抽出は可能だが、手技・手術の範囲の定義や病名の定義の困難性、Kコードの不安定性などの課題が指摘された。
結論
本研究は、特定機能病院の医療の質の評価に資する全国初の標準的な臨床指標を開発し、調査結果を元に大学病院の医療の質を評価・解析した。分析の結果、日本の大学病院を取り巻く環境が浮き彫りにされるとともに、指標の有効性が確認された。
今後,指標の継続的な運用により、特定機能病院の医療の実態の可視化,各医療機関の安全対策の充実,国民にとっての医療の安全確保と医療への信頼向上等の効果が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200634003B
報告書区分
総合
研究課題名
特定機能病院の医療安全対策に資する標準クリニカル・インディケータの開発に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
永井 良三(東京大学大学院医学系研究科東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大江 和彦(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
  • 大西 真(東京大学医学部医療評価・安全・研修部)
  • 林 同文(東京大学大学院医学系研究科)
  • 興梠 貴英(東京大学大学院医学系研究科)
  • 柏野 聡彦(東京大学大学院医学系研究科)
  • 村井 佐知子(東京大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療の安全と信頼を向上は厚生労働行政の最重要課題である。近年、医療活動の質の改善向上のため、臨床評価指標の開発・運用の必要性に係る認識が高まっているが、指標の検討はまだ十分ではなく、その研究・開発は喫緊に対応すべき課題となっている。
本研究は,特定機能病院の医療活動の質の改善向上に資する臨床評価指標を研究・開発し,継続した調査・分析とその改良、データに係る諸環境整備の検討を目的として実施した。
研究方法
本研究では、(1)特定機能病院の医療の質評価に資する全国初の標準的な臨床指標の開発・精査、(2)全国の大学病院の平成15・17年度のデータ収集、(2)平成15・17年度データの比較、国公立・私立の比較、他の臨床指標との関係の検討、等の観点による大学病院の医療の質・安全に係る分析、(3)臨床指標と電子カルテとの連携に係る基礎的検討、(5)臨床指標データ提出システム、DPCデータからの臨床指標自動抽出システムの開発、を行った。
結果と考察
平成16年度は約400項目、平成17-18年度は約2,000項目の臨床指標を開発した。第1回目の調査で56病院、第2回調査で67病院から臨床指標データを収集した。分析により,日本における大学病院の位置づけを地域基幹病院,先進医療をリードする病院という観点から明らかにした。大学病院の運営状況を,患者構成,職員数,在院日数・病床稼働率等の観点から明らかにした。大学病院に対する高い患者満足度・改善要望,職員満足度を明らかにした。平成15年度と平成17年度の患者満足度の比較の結果、大学病院の独立行政法人化は入院医療に大きな変化を与えることなく遂行されたことが示唆された。
臨床指標収集の効率化のために開発した臨床指標データ提出システム、DPCデータからの臨床指標自動抽出システムの有効性を確認した。
結論
患者満足度、職員満足度を中心に、独立行政法人化の影響などの分析を行った結果、国立大学病院の独立行政法人化が患者満足度を変化させるほどの影響は読み取れなかった。
本研究で開発した、DPC様式1および様式5からの臨床指標データ抽出システムの有効性を確認した。データ収集担当者にとってのデータ収集・入力、提出、管理の手間を軽減することが期待される。継続的な調査の実施にあたっては、こうした調査環境の整備が果たす役割は大きいと考えられる。
今後,指標の継続的な運用により、特定機能病院の医療の実態の可視化,各医療機関の安全対策の充実,国民にとっての医療の安全確保と医療への信頼向上等の効果が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634003C