パーキンソン病ブレインリゾースの構築

文献情報

文献番号
200632049A
報告書区分
総括
研究課題名
パーキンソン病ブレインリゾースの構築
課題番号
H17-こころ-一般-028
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
村山 繁雄(財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団、東京都老人総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 金丸和富(東京都老人医療センター・神経内科)
  • 徳丸阿耶(東京都老人医療センター・放射線科)
  • 石井賢二(財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団、東京都老人総合研究所 附属診療所)
  • 齊藤祐子(東京都老人医療センター・剖検病理科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
12,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
英国パーキンソン病(PD)患者協会ブレインバンクに匹敵するような、多数剖検例に基づく、臨床・画像・病理所見の集積資源を国内に構築し、PD研究に貢献することが、本研究斑の目的である。
研究方法
研究計画の2年目で、PD、認知症を伴うPD(PDD)、レヴィー小体型認知症(DLB)、Lewy小体を伴う進行性自律神経不全症(PAF)を統括し、人口に膾炙したPDの病名を用いることにした。高齢者ブレインバンク例のPD病変を、老化に伴う連続性変化の観点で、我々のLewy小体ステージ分類で網羅的に解析、1995年以来のDNA保存約1700例の検討を完了、ゲノム神経病理研究資源として整備した(齊藤)。また、協力研究施設の既往剖検例のリゾース化を継続した(村山)。髄液バイオマーカーとして、生前5HIAA、HVA値と剖検所見との対比を行った(金丸)。また蓄積剖検例を用い、MRIの中脳被蓋計測値の検討を継続した(徳丸)。また、Dopamine transporter(CFT)PETと、MIBG心筋シンチグラフィーの相関をみた(石井)。
結果と考察
PDの危険因子として分離されたアルファシヌクレイン遺伝子多型で、遺伝子発現が亢進していることを示すことが出来た(Hum Mol Gen 2007)。また、副腎がPDの末梢自律神経病理に有用であることを明らかにした(J Neuropath Exp Neurol in press)。リゾースネットワーク化は、本年度は国立国際医療センター、亀田総合病院の既往剖検例をリゾース化(村山)できた(第48回日本神経病理学会、2007、東京、報告予定)。髄液5HIAA、HVAについて、特異度・感度共に80%以上であり、有用であることが明らかとなった(第49回日本老年医学会、2007、報告予定)。中脳被蓋計測に関して、進行性核上性麻痺(PSP)は皮質基底核変性症(CBD)と完全に重なるが、正常と完全に分離すること、PDは正常より有意差を持って萎縮するが、正常、PSPと一部重なることが明らかとなった(第48回日本神経学会、2007、三重、報告予定)。MIBG心筋シンチとCFT-PETについて、PDD/DLBでは特異度・感度がほぼ一致することが明らかとなった。
結論
本班研究により、今年度もPD診療に有用な多くの新知見を明らかにしつつ、資源蓄積を行うことが出来た。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-