気管支喘息難治・重症化の病因・病態の解明に関する研究

文献情報

文献番号
200631024A
報告書区分
総括
研究課題名
気管支喘息難治・重症化の病因・病態の解明に関する研究
課題番号
H18-免疫-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
森 晶夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 清(独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター)
  • 庄司 俊輔(独立行政法人国立病院機構福岡病院)
  • 相澤 久道(久留米大学医学部第一内科)
  • 柳原 行義(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 永井 博弌(岐阜薬科大学)
  • 藤澤 隆夫(独立行政法人国立病院機構三重病院)
  • 烏帽子田 彰(広島大学公衆衛生学講座)
  • 大田 健(帝京大学医学部内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性喘息では、発症時から通常の喘息とは異なるステロイド抵抗性を呈することが明らかになった。その解決に向けて、難治・重症化に結びつく生物学的要因を解明し、ピンポイントに分子標的に作用する新規薬物を開発することが不可欠である。
研究方法
T細胞レベルのステロイド抵抗性につき、costimulatory signalの1つOX40L-OX40の役割をノックアウトマウスを用いて解析した。培養気管支平滑筋細胞、好酸球の遊走、活性化を解析した。マウス喘息モデルで、growth factor抗体、イオンチャンネルー粘液産生系の役割、リモデリング形成解析を行った。早期診断に向け、重症度別に臨床指標を登録し、炎症指標、器質化指標の観点からの分類と、喘息、アレルギーの難治、重症化に関連する遺伝子多型の検出を試みた。
結果と考察
重症喘息を特徴づけるT細胞レベルのステロイド抵抗性には、costimulatory signalが関与すること、非アトピー機序の気道閉塞メカニズムの解明は新規喘息治療薬、診断法開発のターゲットとして期待されること、ヒト好塩基球は免疫・アレルギー反応の調節作用も担っている可能性があること、気管支平滑筋細胞は肺線維芽細胞の産生するフィブロネクチンの作用で遊走すること、B7-H2シグナルは平滑筋細胞の過形成に関与すること、難治性喘息では好中球と好酸球の複合した炎症が存在し、その相互作用によりステロイド不応性の炎症を形成する可能性があること、CLCA阻害薬は気管支喘息に対する新しい治療薬として有望であること、ダニ抗原の気管内反復投与によるアジュバントフリーのリモデリング解析モデルでは、喘息の重症化と関連する病態形成にはIL-13が特に重要であること、喘息難治化にEGFRシグナルが関与していること、CCL26の遺伝子多型T2563Cは喘息難治化と関連すること、を明らかにし、臨床的に意義のある難治性喘息の新規定を、肺機能や画像、副腎機能などの各種指標を基に作成した。
結論
本研究班によって抗原レベル、免疫細胞レベル、好酸球レベル、リモデリング、遺伝子多型の諸要因が解析された結果、喘息難治化に関与する細胞、分子の制御異常を同定できた。われわれの得た新知見は、ステロイド感受性回復、リモデリング回復による難治性喘息根治療法開発へ向けた突破口として、また新規診断法として大いに期待できる。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
-