リアルタイムモニター飛散数と現状の治療によるQOLの関連性の評価研究と花粉症根治療法の開発

文献情報

文献番号
200631009A
報告書区分
総括
研究課題名
リアルタイムモニター飛散数と現状の治療によるQOLの関連性の評価研究と花粉症根治療法の開発
課題番号
H17-免疫-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 公裕(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
研究分担者(所属機関)
  • 久保 伸夫(関西医科大学 男山病院 耳鼻咽喉科)
  • 後藤 穣(日本医科大学 千葉北総病院 耳鼻咽喉科)
  • 岡野 光博(岡山大学 大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 藤枝 重治(福井大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 岡本 美孝(千葉大学大学院 医学研究院 耳鼻咽喉科頭頸部腫瘍科)
  • 盛川 宏(獨協医科大学 耳鼻咽喉科気管食道科)
  • 増山 敬祐(山梨大学大学院 医学工学総合研究部 耳鼻咽喉科)
  • 湯田 厚司(三重大学医学部 耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
スギ花粉症に対し、国民に多くの情報が必要である。リアルタイムモニター(KH3000)をうまく活用するためには、その飛散花粉量と患者のQOLや各種の治療に対する満足度の評価が必要である。新しい治療法の検討では舌下免疫療法(SLIT)の臨床試験を引き続き研究する。またその効果を検証する基礎的研究と評価方法などの臨床的研究を行った。花粉症症状抑制のための新しい分子の基礎的研究も成果を上げたい。
研究方法
KH3000の評価研究としてスギ、ヒノキ落下飛散花粉数との相関や変動因子をみた。2004年から半年のSLITのプラセボ対照二重盲険比較試験(RCT)を行った。さらに2005年の10月より新規に2年間のSLITを全国200症例のRCTを開始した。初年度の2006年は第3者レビューと三重大学でのオープン試験、獨協医大でのゼラチン錠SLITでの検討を行った。また手術療法の評価を行った。丸山ワクチンの免疫療法の可能性、CRTH2の基礎的研究を動物実験でまた鼻粘膜線維芽細胞株でのBLySの発現でIgE抗体産生につき検証した。
結果と考察
KH3000は落下飛散花粉数と花粉少量年以外は相関するが、降雪、黄砂により影響を受け、補正式が必要だった。QOLは直接相関しなかった。舌下SLITでは2005年大量飛散年の季節後半で有意に症状と重症度で軽く推移した。2005年のSLITのRCTは有効性を示せたが、2年間のRCTでレビューの結果では花粉数が少ないため症状が軽く、有効性は示せなかった。オープン試験はより良好であった。ゼラチン錠SLIT3シーズン治療継続群は,鼻症状、重症度が有意に低かった。またヒスタミン遊離率、リンパ球増殖能が抑制されていた。炭酸ガスレーザー手術は鼻噴霧用ステロイド薬とQOLの差はなかった。丸山ワクチン(アンサ20)投与時期が感作中では効果がなく、感作成立後のアンサ20の投与の検討を始めている。CRTH2ノックアウトマウスでは、症状の抑制、抗体産生の抑制、好酸球数の低下、IL-4およびIL-5産生の抑制がみられた。またBLySはIgEクラススイッチを有意に増強し、促進因子として働いていた。
結論
KH3000は種々の影響により変動があり、QOL向上のためにも正しい補正が必要である。我々の検討でも副作用の少ないSLITは花粉少量年での有効性評価は難しく、2年目の効果発現や効果発現機序の検討が必要である。手術療法が評価された。感作と同時のアジュバントの投与ではTh2反応を抑制できなかった。基礎研究ではCRTH2の抑制やBLyS中和の治療可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
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