結核菌に関する研究

文献情報

文献番号
200628041A
報告書区分
総括
研究課題名
結核菌に関する研究
課題番号
H18-新興-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 誠也(財団法人結核予防会結核研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 山岸 文雄(国立病院機構千葉東病院)
  • 前田 伸司(財団法人結核予防会結核研究所抗酸菌リファレンスセンター)
  • 切替 照雄(国立国際医療センター研究所感染・熱帯病研究部)
  • 御手洗 聡(財団法人結核予防会結核研究所抗酸菌リファレンスセンター)
  • 森 亨(国立感染症研究所ハンセン病研究センター)
  • 坂谷 光則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 高松 勇(地方独立行政法人大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬剤耐性結核の発生状況を把握し、効果的・効率的な予防・診断・治療の方法を確立し、行政サービスとして普及する方法を検討する。
研究方法
7人の分担研究者が(1)薬剤耐性の実態調査、(2)薬剤耐性の分子疫学的研究、(3)薬剤耐性の診断技術の開発、(4)菌検査の精度管理と定点監視体制の確立、(5)耐性結核予防のための保健所・主治医連携システム、患者支援システムの策定、(6)耐性結核の診療システムの確立、(7)小児結核の予防方策及び診療システムの確立、について研究を実施した。
結果と考察
(1)我が国の多剤耐性菌中、XDR-TBが30.9%存在することを確認した。(2) 多剤耐性結核菌の遺伝子変異に関して、RFPでは4ヶ所の変異を調べることで、95.8%検出可能であったが、INH耐性は約47%、EMB耐性は遺伝子型と薬剤感受性が一致しない例が多数観察された。(3) ダイレクトシークエンス法を用いて、変異と薬剤耐性の関連を検証し,ラインプローブ法によるPZA耐性に関する迅速診断法を開発した。(4) 人工喀痰は4℃で6ヶ月保存可能であった。薬剤感受性検査の精度は定点観測体制を確立するには良好な施設数が不十分であった。 (5) 地域別の患者治療関連指標は1998年以降改善していた。治療成績に関してはコホート情報の精度が地域によって大きく異なり、全国的な分析を行うには信頼性が低かった。服薬看護支援システムの入力やワークショップを通して、確実な服薬のための患者支援技術が向上していた。(6)多剤耐性結核菌患者の分子疫学的解析から、感染発病が予想以上に多く、強毒株、流行株が存在することが示唆された。患者宿主要因のSNPs解析、T細胞免疫機能を解析し、NRAMP1のSNPパターンに違いが認められる結果を得た。ヒト血清中及びTリンパ球培養上清中のgranulysinのELISA診断法を開発した。多剤耐性結核菌のマクロファージ機能調節ではTLR4の認識からエスケープする可能性を明らかにした。通常の薬剤感受性結果より、耐性遺伝子検査検討の方が、臨床的な経過とよく相関していた症例を経験した。(7) ①コッホ現象の症例検討結果より直後型、二峰性型、コッホ現象もどき、の3型に分類した。②小児結核の減少は近年8-11%程度と全年齢より有意に大きい。小児結核を全年齢との比較で米国と検討すると、日本の方が低く、BCG政策の違いの可能性が考えられた。③小児結核患者のQFTの感度76.7%、特異度86.4%であった。
結論
研究班の初年度として、目的の達成に向けた成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2007-05-28
更新日
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