障害者の自律移動支援における情報技術利用方法に関する調査研究

文献情報

文献番号
200626032A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者の自律移動支援における情報技術利用方法に関する調査研究
課題番号
H18-障害-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中山 剛(国立身体障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
各機関にて障害者の移動を支援するプロジェクトが実施され、インフラの整備が行われつつある。本研究ではこれまで支援対象者にはあまり含まれていなかった障害者を対象とした調査を行い、情報技術や社会情報インフラの有効な利用方法について明らかにすることが目的である。加えて、視覚障害者に対する歩行訓練の専門家の観点から情報技術や社会情報インフラの有効な利用方法の検討も併せて行う。
研究方法
平成18年度では高次脳機能障害者、知的障害者や発達障害者の関係者、視覚障害者に対する歩行訓練の専門家へのヒアリング調査を行った。また、歩行訓練の専門家による各プロジェクトへ体験参加も合わせて行った。
結果と考察
ヒアリング調査から様々な意見が寄せられた。以下に一部を挙げる。
・行き先と逆方向のバスに乗ってしまう(高次脳機能障害者)
・乗る電車を教えてもらえたら助かる(高次脳機能障害者)
・初めて行く建物内に行ったとき1階に何があり2階に何があるかを教えてくれると助かる(高次脳機能障害者)
・道を聞くことができない(知的障害者や発達障害者の関係者)
・どの電車に乗ればいいか分からず来た電車に乗ろうとする(知的障害者や発達障害者の関係者)
・近年、高次脳機能障害のある方々からの問い合わせが増えている(歩行訓練の専門家)
・空間認知の難しい方の場合には無理をして道を覚えるのではなく、簡単に操作できて誘導してくれるものがあれば便利だと思う(歩行訓練の専門家)
 以上、移動時の問題点と社会情報インフラに対する期待が伺える。
 一方、歩行訓練の専門家による各プロジェクトへ体験参加では、「60cmの誘導用の幅の実験では自分の位置を維持しながら移動していくことはほとんどストレスなく快適であった」「誘導音による誘導法に高い評価(安心感)が得られた」など、社会情報インフラの積極的な利用に関して肯定的な意見も得られた。その一方、30cmの点字ブロック上を双方向から歩いてきた視覚障害者が衝突する危険性や音声情報に意識が集中し、コミュニケータが提供する以外の情報に意識が行かなくなる危険性など、幾つか危険性の指摘もあった。
結論
高次脳機能障害者や知的障害者や発達障害者の中にも移動時に様々な問題を抱えている方々がいることが明らかとなった。歩行訓練の専門家からは、社会情報インフラの積極的な利用に関して肯定的な意見も得られた一方で、幾つか危険性に関する指摘も得られた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-05
更新日
-