心血管疾患のハイリスク患者スクリーニングのための新たな診断システムの構築とその臨床応用

文献情報

文献番号
200624036A
報告書区分
総括
研究課題名
心血管疾患のハイリスク患者スクリーニングのための新たな診断システムの構築とその臨床応用
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-034
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
北 徹(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 横出正之(京都大学 探索医療センター)
  • 松澤佑次(住友病院)
  • 齋藤康(千葉大学大学院医学研究院 細胞治療学)
  • 松崎益徳(山口大学医学部 循環病態内科学)
  • 佐々木淳(国際福祉大学)
  • 田中宏暁(福岡大学スポーツ科学部)
  • 上島弘嗣(滋賀医科大学 福祉保健医学)
  • 稲垣暢也(京都大学大学院医学研究科 糖尿病栄養内科)
  • 鄭忠和(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学)
  • 鳥羽研二(杏林大学 高齢医学)
  • 宮崎滋(東京逓信病院)
  • 宮崎俊一(近畿大学医学部 循環器内科)
  • 田中喜代次(筑波大学 人間総合科学研究科)
  • 大藏倫博(筑波大学 人間総合科学研究科)
  • 秋下雅弘(東京大学大学院医学系研究科 加齢医学)
  • 船橋徹(大阪大学大学院医学研究科 分子制御内科学)
  • 和田高士(慈恵医科大学 新橋健診センター)
  • 犀川哲典(大分大学 循環器内科)
  • 金井恵理(京都府立医科大学大学院医学研究科 循環器病態制御学)
  • 林達也(京都大学人間・環境学研究科)
  • 田中誠(京都大学 地域ネットワーク医療部)
  • 久米典昭(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)
  • 堀内久徳(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)
  • 荒井秀典(京都大学大学院医学研究科 加齢医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
45,562,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
心血管疾患のハイリスクな病態としてメタボリックシンドローム(MetS)を中心にその病態解析、診断基準に関する検討、及びその治療方法の確立を目的として研究を行う。
研究方法
MetS患者の頻度を分担研究者がもつコホートにおいて調査することにより、MetS発症に関与する因子を抽出する。またMetS患者におけるアディポネクチン、高感度CRP、可溶型LOX-1、small dense LDLなどの心血管疾患関連因子の測定を行い、正常者との比較検討を行う。またその対策として運動・食事療法による介入により、脂質データ、血糖値、血圧が改善し、どの程度合併症の進行が抑制できるかを検討する。また、健診システムを用いて、現在MetSの診断基準のなかで必須項目となっているウエスト周囲径に将来代わりうる内臓肥満の診断項目としてインピーダンス法による内臓肥満の評価を行うことにより、インピーダンス法が内臓肥満の指標として使用しうるかどうかにつき検討を行う。
結果と考察
我が国のMetSの頻度に関して男性において12から14%、女性では2から3%という結果となった。女性の頻度は著しく男性に比べ、低いことが明らかになったが、閉経後に女性のMetSが増加することは明らかであり、また70歳代における心血管イベントは男女ほぼ同程度であり、今後ハイリスク患者のスクリーニングに関しては特に女性の閉経後にどのように対応すべきかが重要な課題になると考えられる。今回の研究においては女性の腹囲、HDLコレステロール値の基準に関して検討を加え、女性のHDLコレステロール値のカットオフ値を50mg/dlへ変更すべきかどうかにつき今後検討を要する。また、高齢者におけるメタボリックシンドロームの診断意義は大きいと考えられるが、本研究により高齢者においても、男女ともに内臓脂肪の蓄積が危険因子の重積と関連することが明らかとなった。
内臓肥満評価法としての腹部インピーダンス法が、CTによる内臓脂肪と相関することを明らかにした。さらにはMetS患者に対して運動実践のみに比べ,運動実践に食事改善を加えた介入がメタボリックシンドローム構成因子や関連項目に対して,より好ましい影響を及ぼすことが明らかとなった。
結論
今回我々は日本人におけるMetSの頻度を明らかにするとともに現在必須の診断項目となっている腹囲に代わる新たな診断マーカーの開発を進め、ハイリスク患者のスクリーニングに向けた指針を作成する。さらにはMetS患者に対してどの程度の運動・食事療法を行えばよいかという基準を明らかにし、日本人MetS治療法に関して基本指針を提供する。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-12-14
更新日
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