文献情報
文献番号
200622008A
報告書区分
総括
研究課題名
切除不能膵がんに対する治療法の確立に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-一般-030
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
奥坂 拓志(国立がんセンター中央病院内科)
研究分担者(所属機関)
- 古瀬 純司(国立がんセンター東病院肝胆膵内科)
- 山口 武人(千葉大学大学院 医学研究院 腫瘍内科学)
- 田中 克明(公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター)
- 大川 伸一(神奈川県立がんセンター 消化器内科肝胆膵)
- 朴 成和(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)
- 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部)
- 舩越 顕博(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 消化器内科部)
- 中森 正二(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター外科)
- 糸井 隆夫(東京医科大学 消化器内科)
- 井岡 達也(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター 検診部消化器検診科)
- 佐藤 俊哉(京都大学大学院医学研究科社会健康医学専攻・健康解析学講座 医療統計)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
23,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
切除不能膵がんの予後の改善を目指し、進行膵がん例に対する標準的な抗がん剤である塩酸ゲムシタビンと新規抗がん剤であるS-1の併用療法の有用性を、現在の標準療法である塩酸ゲムシタビン単独療法とのランダム化比較試験にて検証する。また、ランダム化比較試験に先立ち、S-1+塩酸ゲムシタビンの有効性と安全性を確認するため、第Ⅱ相試験を実施し検証する。
研究方法
本研究課題は2004年6月14日に採択され、第Ⅰ相試験の成績に基づき、「遠隔転移を有する膵がん患者を対象とした塩酸ゲムシタビンとS-1の併用療法の第Ⅱ相試験」の研究実施計画書を作成した。目標症例数55例、目標症例集積期間1年として、各施設の倫理審査委員会の承認をうけた。2004年10月12日より患者の登録を開始、2005年7月5日に登録を完了、2006年7月に追跡期間が終了したため、最終解析を実施した。
結果と考察
治療を受けた54例を対象に解析を行った。治療コース数の中央値は7コース(1-24+コース)、治療期間の中央値は5.1ヶ月(0.5-17.1+ヶ月)であった。減量が必要であった30例の主な理由は、骨髄抑制、皮疹、嘔気、倦怠感、口内炎であった。52例で治療が中止されており、中止理由は30例が腫瘍の増悪、22例が有害反応のためであった。
抗腫瘍効果の判定は54例で可能であり、PRが24例、SDが26例、PDが2例、NEが2例、奏効割合は44.4%(95%信頼区間30.9-58.6%)であった。主なGrade 3以上の毒性は、好中球減少80%、白血球減少59%、血小板減少22%、食欲不振17%、ヘモグロビン減少15%であり、治療関連死は認めなかった。Progression free survivalの中央値は5.9ヶ月、生存期間中央値10.1ヶ月、1年生存率は33.0%であった。
抗腫瘍効果の判定は54例で可能であり、PRが24例、SDが26例、PDが2例、NEが2例、奏効割合は44.4%(95%信頼区間30.9-58.6%)であった。主なGrade 3以上の毒性は、好中球減少80%、白血球減少59%、血小板減少22%、食欲不振17%、ヘモグロビン減少15%であり、治療関連死は認めなかった。Progression free survivalの中央値は5.9ヶ月、生存期間中央値10.1ヶ月、1年生存率は33.0%であった。
結論
本研究での第Ⅱ相試験では、高い抗腫瘍効果と安全性が示され、本併用療法は新しい標準療法となることが大いに期待された。現在、本併用療法の有用性を検証するために第Ⅲ相試験が計画されており、まもなく開始される予定である。
公開日・更新日
公開日
2007-04-05
更新日
-