文献情報
文献番号
200622007A
報告書区分
総括
研究課題名
膵がんに対する補助化学療法に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小菅 智男(国立がんセンター中央病院・外科)
研究分担者(所属機関)
- 山本 順司(癌研有明病院消化器外科)
- 中尾 昭公(名古屋大学大学院医学系研究科,病態制御外科学)
- 松山 裕(東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻,医療統計学)
- 上野 秀樹(国立がんセンター中央病院,消化器内科)
- 江川 新一(東北大学大学院医学系研究科,消化器外科)
- 羽鳥 隆(東京女子医科大学病院,消化器外科)
- 土井 隆一郎(京都大学大学院医学研究科腫瘍外科学,消化器外科)
- 門田 守人(大阪大学大学院医学系研究科,消化器外科学)
- 島田 光生(徳島大学大学院,臓器病態外科学)
- 田中 雅夫(九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科学,消化器外科)
- 金光 敬一郎(熊本大学医学部第一外科,消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
膵癌は治療の困難な疾患であり、切除された例でも遠隔成績は不良である。膵癌による死亡数は年々増加しており、有効な治療法を確立することは国民的な課題である。これまで、切除可能症例に対しては、手術療法に化学療法や放射線療法などを加えた集学的治療が試みられてきた。しかし、補助療法に関する無作為化比較試験の報告は少なく、その結果は一定していない。したがって、現時点では、膵癌の切除例に対して標準とするべき補助療法は確立していない。
一方、切除不能な膵癌に対する化学療法では、塩酸ゲムシタビンが注目を集め、米国では1996年に進行膵癌に対する適応が承認され、本邦でも2001年4月から膵癌に対する適応が認められた。
ゲムシタビンは効果ばかりでなく副作用の面でもこれまで標準的に用いられてきたフルオロウラシルよりも優れており、侵襲の大きな膵癌切除手術後に併用する補助化学療法剤として有望な薬剤と考えられた。そこで、本剤を用いた術後補助化学療法の有用性を評価するための臨床試験を計画した。
一方、切除不能な膵癌に対する化学療法では、塩酸ゲムシタビンが注目を集め、米国では1996年に進行膵癌に対する適応が承認され、本邦でも2001年4月から膵癌に対する適応が認められた。
ゲムシタビンは効果ばかりでなく副作用の面でもこれまで標準的に用いられてきたフルオロウラシルよりも優れており、侵襲の大きな膵癌切除手術後に併用する補助化学療法剤として有望な薬剤と考えられた。そこで、本剤を用いた術後補助化学療法の有用性を評価するための臨床試験を計画した。
研究方法
肉眼的治癒切除が行われた浸潤性膵管癌症例を対象として、補助化学療法の有無による治療成績の比較を行う。試験の方法は、無作為化比較試験とする。治療成績に影響を及ぼす可能性が高い、施設・腫瘍の進行度・手術の根治度の3要素について偏りが生じないよう、これらを前層別因子として動的割付けによる無作為化を行う。主要評価項目は、生存期間および無再発期間とし、補助化学療法による有害事象を副次的評価項目とする。補助化学療法としては、ゲムシタビン1000mg/m2を1週間に一度ずつ3週連続で経静脈的に投与し、1週休止するのを1コースとし、合計で3コース行う。
結果と考察
本研究への参加が可能であった全国の主要な膵癌治療医療機関10施設、臨床統計家、症例登録センター、モニタリング委員会から構成される研究組織を整え、平成14年6月から症例の登録を開始した。平成17年3月31日までに119例が登録され目標症例数を上回ったため、新規症例の登録を打ち切った。平成18年12月まで追跡データの収集を行った。データの確定作業を完了し、臨床統計学的な最終解析の段階まで到達した。
結論
研究は順調に進展し、臨床統計学的な解析の結果を待つばかりとなった。膵癌の術後補助化学療法に関してはこれまでエビデンスが乏しかったため、本試験の結果は臨床的に重要な意味を持つと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2007-04-09
更新日
-