局所限局小細胞肺がんの集学的治療に関する研究

文献情報

文献番号
200622004A
報告書区分
総括
研究課題名
局所限局小細胞肺がんの集学的治療に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-一般-026
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田村 友秀(国立がんセンター中央病院 総合病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 西條 長宏(国立がんセンター東病院)
  • 西脇 裕(国立がんセンター東病院)
  • 森 清志(栃木県立がんセンター)
  • 渡辺 古志郎(横浜市立市民病院)
  • 野田 和正(神奈川県立がんセンター)
  • 横山 晶(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 樋田 豊明(愛知県がんセンター中央病院)
  • 根来 俊一(兵庫県成人病センター)
  • 今村 文生(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター)
  • 松井 薫(独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
  • 中川 和彦(近畿大学医学部 内科学教室腫瘍内科部門)
  • 河原 正明(独立行政法人国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター)
  • 木浦 勝行(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
限局期小細胞肺がん(LD-SCLC)に対して、エトポシド+シスプラチン(EP)療法1コースと加速多分割胸部放射線療法(AH-TRT)の同時併用後に、イリノテカン+シスプラチン(IP)療法3コースを追加する治療法の有用性を、従来の標準的治療エトポシド+シスプラチン(EP)療法3コースの治療法を対照とした第III相比較試験で検証する。
研究方法
[研究形式]37施設共同の第III相無作為化比較試験。エンドポイントは生存期間。[対象症例]LD-SCLC初回治療例で、70才以下、PS 0-1、主要臓器機能が保持された症例。[無作為化割付け]中央登録・無作為化割付け方式。調整因子は施設とPS。[治療内容]EP療法1コースとAH-TRT(45Gy/30fr/3wks)を同時併用後、割付けに従いEP療法またはIP療法3コースを実施する。[解析方法]最終解析は症例集積終了5年後。中間解析2回、安全性モニタリング年2回。[予定症例数]270例、集積期間3年(後に4年に延長)。[倫理面の配慮]施設IRB承認、被験者本人の自由意思による文書同意、個人情報厳守、効果安全性委員会による第三者的監視を必須とする。
結果と考察
本研究は、平成13年に厚生労働省「21世紀型医療推進事業」として、平成14年9月より症例登録を開始し、平成16年度からは本研究課題として研究を継続した。平成18年度においては、10月に281例の症例集積を完了することができた。最終的な二次登録数は258例となった。平成19年3月のモニタリングで、主たる毒性は白血球減少、好中球減少、食欲不振、発熱、感染など予測されたものであった。重篤な有害事象として、肺臓炎、脳梗塞、心筋梗塞などが報告されているが、全体として安全性も許容範囲と判断された。治療成績も全例の生存期間中央値35か月、2年生存率61%と良好であった。本試験の追跡期間は5年であり、平成23年に最終解析を予定している。新たな標準的治療が確立されることを強く期待している。
結論
限局期小細胞肺がんの予後改善を目指した「EP療法とAH-TRT同時併用後のEP療法とIP療法の第III相比較試験」は、予定から1年遅れたものの、ほぼ順調に症例集積を完了した。定期モニタリングにおいて、毒性は許容範囲と判断され、全体の生存期間も良好であった。最終解析は平成23年に予定している。

公開日・更新日

公開日
2007-04-05
更新日
-

文献情報

文献番号
200622004B
報告書区分
総合
研究課題名
局所限局小細胞肺がんの集学的治療に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-一般-026
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田村 友秀(国立がんセンター中央病院 総合病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 西條 長宏(国立がんセンター東病院)
  • 西脇 裕(国立がんセンター東病院)
  • 森 清志(栃木県立がんセンター)
  • 渡辺 古志郎(横浜市立市民病院)
  • 野田 和正(神奈川県立がんセンター)
  • 横山 晶(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 樋田 豊明(愛知県がんセンター中央病院)
  • 根来 俊一(兵庫県立成人病センター)
  • 今村 文夫(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター)
  • 松井 薫(独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
  • 中川 和彦(近畿大学医学部 内科学教室腫瘍内科部門)
  • 河原 正明(独立行政法人国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター)
  • 木浦 勝行(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
限局期小細胞肺がん(LD-SCLC)に対して、エトポシド+シスプラチン(EP)療法1コースと加速多分割胸部放射線療法(AH-TRT)の同時併用後に、イリノテカン+シスプラチン(IP)療法3コースを追加する治療法の有用性を、従来の標準的治療エトポシド+シスプラチン(EP)療法3コースの治療法を対照とした第III相比較試験で検証する。
研究方法
[研究形式]37施設共同の第III相無作為化比較試験。エンドポイントは生存期間。[対象症例]LD-SCLC初回治療例で、70才以下、PS 0-1、主要臓器機能が保持された症例。[無作為化割付け]データセンターでの中央登録・無作為化割付け方式をとる。調整因子は施設とPS。[治療内容]EP療法1コースとAH-TRT(45Gy/30fr/3wks)を同時併用後、割付けに従いEP療法あるいはIP療法3コースを実施する。[解析方法]最終解析は症例集積終了5年後。中間解析2回、安全性モニタリング年2回。[予定症例数]270例、集積期間3年。[倫理面の配慮]施設IRB承認、被験者本人の自由意思による文書同意、個人情報厳守、効果安全性委員会などによる第三者的監視を必須とした。
結果と考察
平成13年に厚生労働省「21世紀型医療推進事業」へ申請、平成14年9月より症例登録を開始した。平成16年度からは本研究課題にて試験を継続した。症例集積期間を1年延長し、平成18年10月に281例の症例集積を完了した。平成19年3月の定期モニタリングでは、主たる毒性は白血球減少、好中球減少、食欲不振、発熱、感染など予測されたものであった。重篤な有害事象として、肺臓炎、脳梗塞、心筋梗塞などが報告されているが、全体として安全性も許容範囲と判断された。また、治療成績も全例の生存期間中央値35か月、2年生存率61%と良好であった。本試験の追跡期間は5年であり、平成23年に最終解析を予定している。新たな標準的治療が確立されることを強く期待している。
結論
限局期小細胞肺がんの予後改善を目指した「EP療法とAH-TRT同時併用後のEP療法とIP療法の第III相比較試験」は、予定から1年遅れたものの、ほぼ順調に症例集積を完了した。定期モニタリングにおいて、毒性は許容範囲と判断され、全体の生存期間も良好であった。最終解析は平成23年に予定している。

公開日・更新日

公開日
2007-04-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-12-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200622004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
我々は、進展期小細胞肺がんに対するシスプラチン+イリノテカン(IP)療法の有用性を第III相試験で検証し、世界的評価を得ている。このIP療法を限局期小細胞肺がんの化学放射線療法に組み込むことを狙った本研究は、新たな治療確立のための最重要課題であるとともに独創的な研究である。本研究は全国の主要施設が一丸となって実施し、ほぼ予定どおりに症例集積を完了することができた。最終解析は、平成23年に予定している。
臨床的観点からの成果
本研究で評価対象とした、エトポシド+シスプラチン療法と加速多分割胸部放射線療法の同時併用後のIP療法は、全国の肺がん診療の主要37施設で実施され、高い腫瘍縮小効果と安全性が確認された。参加施設の診療レベルの向上、すなわち日本の肺がん診療のレベルアップへの貢献は大きいといえる。本研究では、限局期小細胞肺がんの3年生存率を30%から34%に向上させることを狙っている。研究結果は、平成23年に明らかとなる。
ガイドライン等の開発
現在の小細胞肺がんの治療体系は、我々の実施してきた一連の第III相試験の成果に基づくところが大きい。本研究は、どのような最終結果であっても重要なエビデンスとしてガイドラインに組み込まれると思われる。
その他行政的観点からの成果
小細胞肺がんは肺がんの10数%を占め、その半数は限局期である。本試験で見込む3年生存率45%への向上は、治癒率を10-15%向上させることに相当する。これは国民福祉への多大な貢献であると同時に、再発後の化学療法、放射線療法、支持療法とこのための入院などの医療費を削減する経済的効果も期待される。また、本研究参加施設を中心とした地域の研究会や本研究紹介パンフレットの配布は、肺がん診療の均てん化に大きく貢献したと考える。
その他のインパクト
日本の小細胞肺がん臨床研究は世界のトップにあり、日本の主要施設が一丸となって実施した一連の第III相試験の結果は、小細胞肺がんの標準的治療の樹立に大きく寄与してきた。本研究は世界的に注目されており、その成果は、我が国の肺がん診療レベルの高さを改めて世界に示すとともに、医療の進歩のための国際協調の中で極めて大きな貢献となると考える。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-09-24
更新日
-