軽度認知機能障害の簡易スクリーニング法および予防介入効果の評価法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200619079A
報告書区分
総括
研究課題名
軽度認知機能障害の簡易スクリーニング法および予防介入効果の評価法の開発に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-021
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
浦上 克哉(鳥取大学医学部生体制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 仁(鳥取大学総合メディア基盤センター)
  • 谷口美也子(鳥取大学医学部生体制御学)
  • 山崎學(慈光会病院)
  • 千葉潜(青南病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年認知症の早期発見、予防介入の重要性が認識され、いろいろな地域で試みられている。しかし、その方法は確立されていない。そこで、我々は問題点を解決できる方法を開発した。それは、スクリーニングにタッチパネル式コンピューターを用いる方法で、1次スクリーニング(1次)は5分以内で簡単に行え、且つ精度が極めて高いものである(タッチパネル式)。2次検査(2次)は認知症の治療評価法として確立されているADASを導入したもの(TDAS)である。これらを用いた方法と従来から行われている方法を比較検討した。
研究方法
青森県五所川原市、群馬県高崎市においては、一次として脳の健康度チェック、タッチパネル式、2次としてMMSE、TDASを行い有用性を比較した。アンケートも実施した。一次は、脳の健康度チェックで5項目以上、タッチパネル式で13点以下を2次対象者とした。2次はMMSE24点以下、TDAS7点以上を陽性とし、要精検を専門医療機関へ紹介した。福岡県大牟田市では、タッチパネル式とTDASにより検診を行い、ハイリスク者に予防教室への参加を促した。教室は運動や知的活動を促進するもので、週1回3ヶ月間行った。
結果と考察
五所川原市では、基本検診受診者302名中154名(51%)が1次を受け、2次として21名(13.6%)がMMSEを、32名(20.8%)がTDASを受けた。MMSE陽性者7名、TDAS陽性者6名。うち6名が精査を受け、5名が認知症、1名が精神発達遅滞と診断(的中率85%)。高崎市では、対象者73名中1次として脳の健康度チェックを73名、タッチパネル式を66名が受けた。2次として、MMSEは16名が対象となり、うち5名が陽性。TDASは66名中11名が対象、10名が実施し5名が陽性。うち3名がかかりつけ医に相談、1名が専門医へ紹介となった。大牟田市では、145名の対象者にタッチパネル式を実施し、13点以下が50名。2次は46名に実施し、6点以下10名、7-13点14名、14点以上22名。このうち41名が予防教室に参加した。アンケート結果で、タッチパネル式は「楽しかった」、「簡単」、「近代的方法で良い」など大変好評であった。TDASには「やや難しい」というコメントもあったが、「良い」と「やや良い」が80%以上を占めていた。
結論
我々の開発したタッチパネル式の有効性は確認できたと思われる。検診は被験者に負担無く気軽に参加してもらえることが望ましく、アンケート結果からこの方法が概ね期待に答えられていることが分った。

公開日・更新日

公開日
2007-07-19
更新日
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