口腔機能の向上の実施体制と評価に関する研究

文献情報

文献番号
200619078A
報告書区分
総括
研究課題名
口腔機能の向上の実施体制と評価に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-020
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大原 里子(東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科総合診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 植田耕一郎(日本大学歯学部摂食機能療法学講座・摂食機能療法学)
  • 小坂健(東北大学大学院歯学研究科・国際歯科保健学)
  • 北原稔(神奈川県茅ヶ崎保健福祉事務所東京医科歯科大学歯学部・歯科医療政策非常勤講師 )
  • 俣木志朗(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・歯科医療行動科学)
  • 佐々木好幸(東京医科歯科大学歯学部附属口腔保健教育研究センター)
  • 平田創一郎(東京歯科大学・社会歯科学)
  • 大山篤(東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科総合診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,108,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新予防給付及び地域支援事業新規メニューである「口腔機能の向上」事業の円滑かつ効率的な実施を支援することを目的とし、調査研究を行った
研究方法
1.全国1840市区町村を対象に口腔機能の向上の実施体制に関する調査を調査票により行った。
2.歯科衛生士を、地域包括支援センターに派遣し、「口腔機能の向上」に関する相談支援を通じて活動現場を把握し、実施上の具体的な問題点を抽出した。
3.厚生労働省の示した口腔機能向上加算(様式例)に準拠した入力ソフトを開発した。
4.口腔ケアについて呼吸器感染症と栄養改善について焦点を当て、その有効性についてPubMed及びメディカル・オンライン・ライブラリーにより国内外の文献を収集し検討を行った。
結果と考察
市町村での実施体制に関する調査では、口腔機能加算届出事業所の割合、地域支援事業、予防給付、介護給付の実績はいずれも低いものであった。また、口腔機能の向上の円滑な実施の促進要因や阻害要因が明らかになった。今後はこれらの阻害因子を解消していくことが口腔機能の向上の円滑な実施のためには必要となる。特に実施担当者の育成は急務である。
地域包括支援センターに対する調査では口腔機能の向上への対応が困難な状況や、利用者も自覚に乏しい実態などの現状が明らかとなった。今後の改善策として、歯科からの適切な情報提供の重要性と、本研究の口腔機能向上相談支援員のような支援の有効性も確認された。
厚生労働省の示した口腔機能向上加算(様式例)に準拠した、紙媒体よりも入力の簡便さ、データの管理・集計に優れた入力ソフトを開発した。
口腔機能の向上に関する科学的なエビデンスの収集を目的にして、PubMedを中心に文献的な検討を行った。高齢者の嚥下性肺炎の予防についてはいくつかのRCTにより検証されている。また、栄養改善については、咀嚼力低下と低栄養については数多くの研究があり、口腔ケアの栄養改善効果についても今後検討を続けていく必要がある。
結論
現在の「口腔機能の向上」の低い実施状況を改善するためには、市町村、地域包括支援センター、事業所等に対する歯科からの適切な情報提供、歯科衛生士会や歯科医師会の協力、実施担当者の育成が重要であり、歯科の積極的な行動が必要であると考えられる。また、科学的根拠を集積し、継続的に高齢者や関係者に情報発信することも重要であると思われる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-19
更新日
-