大規模コホートの観察研究に基づく生活機能低下スクリーニング質問表の開発

文献情報

文献番号
200619076A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模コホートの観察研究に基づく生活機能低下スクリーニング質問表の開発
課題番号
H18-長寿-一般-018
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高田 和子(独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 喜代次(国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 權 珍嬉(財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団東京都老人総合研究所)
  • 小長谷 陽子(認知症介護研究・研修センター大府センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
23,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
郵送留置法、電話などで簡易に自立度低下や要介護のリスクの高い高齢者を抽出し、早期に介護予防事業への参加を呼びかけるための質問表を作成し、その評価を行うことを目的とした。本年度は、(1)自立度低下・要介護リスク項目の抽出、(2)質問紙案の作成、(3)認知機能検査Telephone Interview for Cognitive Status(TICS)の日本語版(TICS-J)の開発を行った。
研究方法
質問表の開発においては、分担研究者の既存のコホートデータ及びすでにベースライン調査の行われているコホートに対して追跡調査を行い、自立度低下・要介護のリスクとなりうる項目を抽出した。対象としたコホートは①愛知県に隣接する町に在住する65歳以上の全住民を対象行った郵送留置法による調査の追跡調査、②静岡県総合健康センターとの共同で実施された高齢者実態調査のうち平成11年と14年のデータ、③会津美里町の2000~2005年の高齢者用体力測定の受診者、④東京都板橋区在住の70歳以上の高齢者を対象に2002年から実施した包括的健診の2002年の参加者である。
結果と考察
自立度低下・要介護のリスクとして栄養面では、体重減少、たんぱく質を含む食品の摂取、食欲や食事を楽しめる態度が、体力面では下肢筋力、歩行あるいは移動能力、上肢の筋力が、また気力として将来への夢や希望、気力を感じること、無力だと感じないこと、新しいことに取り組める気持ちなどが関連すると考えられた。
それらの結果をもとにディスカッションを行い、栄養・体力・気力のそれぞれ5項目ずつ計15項目からなる質問表案を作成した。
TICS-Jは、日本語翻訳と逆翻訳を行い、意味の相同性を確認した。国立長寿医療センター「物忘れ外来」に通院中のアルツハイマー病の患者と60歳以上の健常高齢者を対象に、Mini-Mental State Examination (MMSE)とTICS-Jを行なった。TICS-Jは再現性、感度、特異度とも優良で、検査時間は健常群で10分以内、アルツハイマー病患者でも12分以内であり、実用性があると考えられた。
結論
郵送留置法あるいは電話で実施可能な簡易な質問紙で、早期の自立度低下・要介護のリスクについて検討し、15項目からなる質問表案の作成とTICSの日本語版の開発を行った。次年度以降、それぞれの有用性について、さらに検証をすすめる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-07
更新日
-