高齢者の閉じこもりにおける住環境・家族など社会環境要因への介入方法の開発

文献情報

文献番号
200619073A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の閉じこもりにおける住環境・家族など社会環境要因への介入方法の開発
課題番号
H18-長寿-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 美芽(首都大学東京 健康福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 藺牟田 洋美(首都大学東京 健康福祉学部)
  • 安村 誠司(福島県立医科大学 医学部)
  • 繁田 雅弘(首都大学東京 健康福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,631,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
閉じこもりは高齢者の寝たきりを引き起こす原因の一つである。閉じこもりをもたらす3要因、身体的、心理的、社会環境要因のうち、社会環境要因はほとんど解明されていない。本研究は、住環境・家屋構造を主とした物理的要因、及び、家族関係を主とした人的要因を中心に、閉じこもりをもたらす社会環境要因の解明を目的とする。また、地域支援事業における閉じこもり予防に有用な社会環境要因面からの予防支援プログラム開発を行う。
研究方法
東京都荒川区(高齢者人口39,405人、高齢化率22.1%、平成18年6月現在)において、二段階の予備的調査を実施した。一次調査として、65歳以上高齢者から1万人を単純無作為抽出し、郵送法によるアンケート調査を実施(回収率:45.2%)した。二次調査として、閉じこもり95名、非閉じこもり95名を対象に訪問調査を実施した。非閉じこもり対象者は、閉じこもり対象者95名の性別・年齢、生活体力得点にマッチさせて抽出した。訪問調査では、ヒアリングにより家屋構造、居住における習慣、自宅周囲の環境等の物理的環境項目と、家屋関係、ソーシャル・ネットワーク等の人的要因に関連する項目、身体的項目、心理的項目、社会的役割に関する項目を収集した。
結果と考察
一次郵送調査により、外出頻度(週1回以上の外出)によって分類し、閉じこもり289票、非閉じこもり3303票(閉じこもり出現率:8.0%)を得た。社会環境要因関連項目を比較した結果、外出に関しては、閉じこもりは外出先の種類が少ない、外出先までの距離が遠いと感じる、その反面、公共交通機関を移動に用いることは少ないことが示された。物理的要因に関連する項目では、段差などの移動を妨げる物理的障壁については閉じこもりと非閉じこもりに有意差はみられなかった。なお、閉じこもりは、昼夜過ごす部屋は和室であることが多く、椅子を使用せずに直接床に座って生活を送る傾向が示され、また、部屋での過ごし方等の居住の習慣に関連する項目が抽出された。人的要因に関連する項目では、閉じこもりは家族と家計が一緒で、家族間の会話が少ない傾向にあり、ソーシャル・ネットワークに関しては、外出援助のネットワークが狭く、友人との電話での交流が少ないことが示された。
結論
閉じこもりに関連する人的環境要因に関連する項目が抽出され、身体的、心理的要因と同様に人的要因においても若干劣っていることが示された。物理的要因としては、家屋構造、周辺環境の他に、室内のしつらい(家具や調度類の使い方)、居住の習慣に関する項結論目を抽出した。

公開日・更新日

公開日
2007-06-19
更新日
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