生活習慣・背景要因・遺伝要因による総合的骨粗鬆症リスク診断システムの開発

文献情報

文献番号
200619049A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣・背景要因・遺伝要因による総合的骨粗鬆症リスク診断システムの開発
課題番号
H17-長寿-一般-039
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 富士子(国立長寿医療センター研究所 疫学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 下方 浩史(国立長寿医療センター研究所 疫学研究部 )
  • 山田 芳司(三重大生命科学研究支援センター)
  • 新野 直明(桜美林大学院 国際学研究科)
  • 中村 美詠子(国立長寿医療センター研究所 疫学研究部)
  • 大藏 倫博(筑波大学院 人間総合科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
23,892,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は地域在住中高年者約2300人の骨粗鬆症についての詳細なデータベースを用い、候補遺伝子多型、運動・栄養等の生活習慣や体型と骨密度との関連を検討し、特に生活習慣と遺伝子多型との交互作用に着目した総合的骨粗鬆症リスク診断システムを開発することを目的とする。平成18年度は(1)新規測定候補遺伝子多型と骨密度との関連解析、(2)骨粗鬆症関連遺伝子多型、生活習慣ならびにその交互作用を用いた縦断解析による閉経女性の大腿骨頸部骨粗鬆症リスク推定式の構築、を行った。
研究方法
1)骨密度関連候補遺伝子多型の解析には「国立長寿医療センター研究所・老化に関する長期縦断疫学研究」の第1次調査参加者2267人(40-79歳男女)の8部位の骨密度と22種の新規測定候補遺伝子多型の測定結果を用いた。(2)閉経女性大腿骨骨粗鬆症リスク推定式の構築には、同研究の第1次調査に参加した閉経女性826人のうち骨粗鬆症の治療を受けていない813人を対象とし、大腿骨頸部骨密度がYAM値70%未満である場合を「骨粗鬆症あり」とし、老化老年病関連候補遺伝子多型(172種)、運動関連要因、体格・形態学的要因、栄養関連要因、その他の背景要因の主効果ならびに遺伝的要因と後天的要因との交互作用との関係を、縦断データを用いて検討した。
結果と考察
(1)6種の新規候補遺伝子多型において骨密度との関連を見いだした。(2)閉経女性の大腿骨骨密度を指標とした骨粗鬆症リスク推定式を5種の遺伝子多型の主効果、握力、BMI、カルシウム摂取量、閉経年齢とこれらに関連する遺伝子多型の交互作用で構築した。
興味深いことに閉経女性大腿骨骨粗鬆症に主効果を持つことが判明した遺伝子多型と、それとはまったく独立して解析を進めた、握力・BMI・閉経年齢と交互作用を示す遺伝子多型とが一致していた。このことは解析の確からしさを示唆するとともに、低筋力、痩せ、早期閉経が存在する場合、遺伝的に不利な遺伝子多型を有するものではリスクがより大きくなる可能性を示唆するものである。
結論
 地域在住者中高年者約2300人の調査結果から骨密度と候補遺伝子多型との関連、および運動・体格・栄養関連要因と遺伝子多型との交互作用が骨密度に及ぼす影響を縦断的に検討し、閉経女性大腿骨骨粗鬆症のリスク推定式を構築した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-07
更新日
-