骨粗鬆症と骨折に対する予防対策の経済効果に関する研究

文献情報

文献番号
200619047A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症と骨折に対する予防対策の経済効果に関する研究
課題番号
H17-長寿-一般-037
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
濃沼 信夫(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、適切な運動習慣、食生活の改善等による骨粗鬆症関連骨折に対する予防効果をQOLと医療経済の両面から明らかにし、選択すべき予防対策および医療費削減効果を算定し、高齢者の健康づくりや介護予防に関する政策決定や臨床判断の基礎資料をうることを目的とする。
研究方法
骨粗鬆症による骨折群と非骨折群とを、性、年齢でペアマッチして比較した。すなわち、骨粗鬆症関連の骨折の既往がない3地域の55歳以上の地域住民と、東北および中国地方の中核病院76施設に入院中の55歳以上の骨粗鬆症による骨折患者とを対象に食生活等に関する横断調査を実施した。調査項目は20歳、40歳、現在の食生活習慣に関する約90項目である。QOLはEuro QOL、VASを使用した。また、骨粗鬆症関連骨折で入院中の患者のレセプトを用いて、入院および外来における医療費の推計および、EQ-5Dの効用値を用いて費用効用分析を行った。
結果と考察
回答が得られた骨折群361名中193名、非骨折群3,603名中1,902名の女性を抽出し、年齢調整を行って食生活や生活習慣を比較した。両群で有意差のある項目は、体重、BMI、閉経年齢、閉経後年齢、脳卒中の既往、最近の食品では穀類、乳類、豆類、40歳頃では肉類、魚介類、20歳頃では肉類、油脂類などである。わが国の骨粗鬆症関連の骨折患者数は約56,500人、医療費は入院が年間1,276億円、外来が退院後5年間で277億円、合計1,553億円と推計される。大腿部頸部骨折の治療に対する費用効用は52-89万円/QALYs、脊椎を含む胸骨および骨盤の骨折は37-64万円/QALYsと妥当な範囲内である。骨折部位によっては介護費用等が伴うことが予測され、骨粗鬆症関連骨折の予防対策を推進することの意義がうかがえる。
結論
骨折群と、非骨折群について年齢調整を行い、食生活や生活習慣の比較を行ったところ、多岐にわたる食品および食品群が骨粗鬆症関連骨折を予防する可能性が示唆された。骨粗鬆症関連骨折に関わる医療費は1,553億円、大腿部頸部骨折の治療に対する費用効用は52-89万円/QALYsである。予防対策は骨折予防と同時に生活上のQOLを高めることが期待され、便益のみならず効用の面でも予防対策の有用性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200619047B
報告書区分
総合
研究課題名
骨粗鬆症と骨折に対する予防対策の経済効果に関する研究
課題番号
H17-長寿-一般-037
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
濃沼 信夫(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨粗鬆症は高年者の骨折の大きな原因であり、骨折に伴う長期療養、他の疾患の併発、ADLの低下、寝たきり、生き甲斐の喪失などにより、高年者のQOLを大きく損なうとともに、社会的な支出を増大させる恐れのある疾患である。そこで、本研究は、食生活、運動、予防薬服用等による骨粗鬆症の骨折を予防する効果をQOLと経済の両面から明らかにすることを目的とする。
研究方法
骨粗鬆症による骨折群と非骨折群とを、性、年齢でペアマッチして比較した。すなわち、骨粗鬆症関連の骨折の既往がない3地域の55歳以上の地域住民と、東北および中国地方の中核病院76施設に入院中の55歳以上の骨粗鬆症による骨折患者とを対象に自記式調査した。また、レセプトを用いて骨粗鬆症関連骨折の入院・外来医療費の推計を、EQ-5Dの効用値を用いて費用効用分析を行った。解析にはSPSS for windows version 14.0 Jを用い、カイ二乗検定、Mann-Whitney U検定、二項logistic回帰分析、Wilcoxonの符号付き順位検定とオッズ比の算出を行った。
結果と考察
骨粗鬆症に関連する骨折患者群(361名、回収率100%)と、骨粗鬆症がない地域住民群(3,603名、同66.5%)との食生活の違いを比較したところ、両群で有意差のある項目は、体重、閉経年齢、閉経後年数、脳卒中の既往、骨粗鬆症の薬、血圧の薬などである。食品群では肉類、野菜類、乳類、嗜好飲料類、食品では牛乳、納豆、パン、肉類、ごま油、海草、白米などである。わが国の骨粗鬆症関連の骨折患者数は約56,500人、医療費は入院が年間1,276億円、外来が退院後5年間で277億円、合計1,553億円と推計される。大腿部頸部骨折の治療に対する費用効用は52-89万円/QALYsである。
結論
骨粗鬆症に関連する骨折で入院する患者(骨折群)と、骨粗鬆症がない地域住民(非骨折群)について年齢調整を行い、食生活や生活習慣の比較を行ったところ、多岐にわたる食品および食品群が骨粗鬆症関連骨折を予防する可能性が示唆された。骨粗鬆症関連骨折に関わる医療費は1,553億円、大腿部頸部骨折の治療に対する費用効用は52-89万円/QALYsである。予防対策は骨折予防と同時に生活上のQOLを高めることが期待され、便益のみならず効用の面でも予防対策の有用性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200619047C