骨粗鬆症性椎体骨折の治療成績不良をもたらす因子の解明と効果的かつ効率的な治療法の確立-多施設共同前向き研究-

文献情報

文献番号
200619028A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症性椎体骨折の治療成績不良をもたらす因子の解明と効果的かつ効率的な治療法の確立-多施設共同前向き研究-
課題番号
H17-長寿-一般-017
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中村 博亮(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 辻尾 唯雄(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 寺井 秀富(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 高岡 邦夫(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨粗鬆症の有病者数は日本国内で1000万人を超えるといわれており、その中で椎体骨折が起こる頻度は約50%と報告されている現在、椎体骨折は寝たきりの原因の上位を占め、超高齢者社会を迎えるにあたって椎体圧迫骨折患者の寝たきりを防止することは非常に重要な問題である。
研究方法
(1)大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学教室の関連施設27施設において、65歳以上の新鮮椎体骨折患者を連続サンプリング登録した。(2)アンケート項目:項目は大別すると①生活習慣に関するもの、②健康状態に関するもの、③精神状態に関するものに大別できる。
(3) 骨密度測定(4) 初期治療およびその後の経過観察(5) 6ヵ月後の調査項目
単純X線、疼痛部位を中心としたMRI撮影を施行。同時にVAS score、生活習慣に関するアンケート、健康状態に関するアンケート、痴呆度に対する調査を施行した。
(6)アウトカムの評価:受傷後6ヶ月時点における死亡率、極度なADLの低下、疼痛の残存、偽関節の発生について評価し、骨粗鬆症性椎体骨折における予後不良因子についての抽出を試みた。
結果と考察
2007年3月末時点で、当研究への登録症例数は375例で、6ヶ月の経過観察を終了したものは182例であった。6ヶ月時点での単純X線像で椎体内にCleft像が認められるものを偽関節例と定義すると、偽関節へ移行する比率は13.4%であった。偽関節へ移行する症例の登録時の画像所見は、MRIのT1強調矢状断像で低輝度性変化が椎体内に広範にみられかつT2強調像矢状断像で低輝度性変化が広範に見られる症例、T1強調像の輝度変化に関わらずT2強調画像で高輝度性変化が限局している症例であった。6ヶ月の時点で、骨癒合例と偽関節例との間に、VAS値の有意差はみられなかった。アンケート項目上では、疼痛発生から初期治療開始の遷延、初期治療時のコルセット非装着が疼痛残存、ADLの低下に関与していた。
結論
今回の研究では生活環境や精神状態、骨塩定量などを施行しており、500症例の経過観察が終了すれば、種々の予後不良因子が解明できると考えている。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
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