中高年健康増進のためのITによる地域連携型運動処方システムの構築

文献情報

文献番号
200619027A
報告書区分
総括
研究課題名
中高年健康増進のためのITによる地域連携型運動処方システムの構築
課題番号
H17-長寿-一般-016
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
能勢 博(信州大学大学院医学研究科・スポーツ医科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 京一(信州大学大学院・加齢生物学分野)
  • 三木 哲郎(愛媛大学大学院・加齢制御内科学)
  • 福嶋 義光(信州大学大学院・社会予防医学)
  • 山崎 敏明(キッセイコムテック株式会社・メディカルシステム事業部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
17,445,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
松本市、信州大学、地元企業が、中高年の健康スポーツ教室、「松本市熟年体育大学」の過去10年間の実績を踏まえ、ITシステムを用いて個別運動処方を全国的に展開し、運動処方反応性遺伝子を視野に入れた、運動処方効果に関する優れたデータベースを構築しつつ、生活習慣病予防、介護予防、医療費削減のための運動処方を確立することを目的とする。
研究方法
(1)携帯型運動量連続測定装置(熟大メイト)を量産するとともに、ITインフラを開発し、それらを製品化した(キッセイコムテック社製)。(2)長野県内外10市町村、3病院、2老人ホーム、2大学の1,226名の参加者を対象に6-18ヶ月間、「インターバル速歩」を用いた遠隔型個別運動処方を実施し、生活習慣病予防、介護予防の効果を検証した。(3)これらの研究と並行して、参加者の一部の協力を得、以下のインターバル速歩トレーニング効果判定に関する研究を実施した。すなわち、同トレーニングの、骨密度への影響、ダイエット食品摂取との併用効果、要介護者における効果、膝関節症患者における効果、若年者(大学生)における効果、をそれぞれ検証した。さらに、水中インターバル速歩の効果、夏季トレーニング時の熱中症予防のための水分補給効果、坂道対応の「熟大メイト」の開発、「熟大メイト」への平衡能測定機能の搭載、個人の初期属性別に効果を予測するプログラムの開発、運動処方反応性遺伝子の探索、を行った。
結果と考察
インターバル速歩トレーニングによって、特に生活習慣病指標が高い上位15%の参加者で指標値が10%低下した。さらに、介護予防の指標である体力が低い下位15%の参加者で体力値が20%向上した。さらに年間医療費が4.6万円削減された。また、傾斜地での使用可能な熟大メイトの開発や、水中インターバル速歩トレーニングの効果が明らかになることで、同トレーニング方法の現場での適用範囲が拡大した。さらに、夏季の適切な水分補給によって安全に戸外で運動できるようになった。また、運動処方効果に関する遺伝子を探索するための研究組織が稼動して、運動処方効果の個人差にいくつかの候補遺伝子SNPsが関与することが明らかとなった。
結論
生活習慣病予防、介護予防のためのインターバル速歩トレーニング効果に関する科学的証拠を得た。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-