薬物代謝に関与する発現タンパク質の超高感度検出と解析

文献情報

文献番号
200612004A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物代謝に関与する発現タンパク質の超高感度検出と解析
課題番号
H17-トキシコ-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
甲斐 雅亮(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 椛島 力(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 トキシコゲノミクス研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
14,430,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)類の活性の違いは、DNAの塩基配列の違いに基づくタンパク質の一次構造の差以外にも、発現後のタンパク質の二次的な構造変化も関与している。従って、薬に対する反応の個人差を調べるには、CYP自体の個人差を直接解析できる新手法も必要である。本研究では、化学発光性高分子を超高感度検出用プローブとして適応し、プロテインチップ上で極微量の各種CYP類を一斉に検査できる新技術の開発研究を行っている。
研究方法
プロテインチップ検出法:ルミノール及びビオチンを多数結合させた発光性デキストラン高分子プローブを合成し、アビジンによってプローブの連鎖複合体を形成させた。これを用いて、安価なPVDF膜にCYP類もしくはそれらを認識する抗体類を吸着させたプロテインアレイを作成し、CYPの化学発光画像検出を試みた。アプタマー核酸の創製:25merの全塩基配列を有する鋳型DNAを用いて、PCR増幅後、一本鎖のDNA(4の25乗種類)混合物を調製した。これらをCYP3A4と結合反応させたのち、結合したDNAの塩基配列とCYP3A4に対する結合能を調べた。
結果と考察
シャーレ中に、一次抗体、二次抗体、発光性プローブ及びアビジンを加え、ブロッキング剤としてBSA及びデキストランを共存させて1時間反応させることによって、膜上のCYP3A4が定量的に検出できた。また、CYP3A4を、膜に吸着させた抗体アレイに結合させ、ビオチン化抗体とビオチン化発光性プローブをアビジンを介して連鎖連結させて検出できる網羅的検査法を開発した。また、アプタマー核酸として、CYP3A4と結合する9種類の一本鎖及び二本鎖59mer DNAを創製した結果、二本鎖DNAの方が強く結合することが分かった。
結論
化学発光性の高分子プローブを用いて、多検体中の特定CYPを一枚の膜アレイ上で一斉に高感度検出できる簡便な方法を開発し、さらに抗体アレイ膜によって各種CYPを網羅的に検出できるサンドイッチアッセイ系も可能にした。しかし、この網羅的検出法の実用化には、各種CYPを認識できるモノクローナル抗体並びにそのビオチン化ポリクローナル抗体が必要である。抗体の代替として、各種CYPを特異的に認識できるアプタマー核酸を開発できれば、それらを試験管内で再現性良く大量生産することができ、かつビオチン化などの化学修飾も抗体の場合よりも容易であると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-04-06
更新日
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