MRIと核医学手法の正確な重ね合わせ技術に基づく癌の新しい分子イメージング診断法

文献情報

文献番号
200609023A
報告書区分
総括
研究課題名
MRIと核医学手法の正確な重ね合わせ技術に基づく癌の新しい分子イメージング診断法
課題番号
H17-ナノ-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(国立循環器病センター研究所先進医工学センター放射線医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 博司(国立循環器病センター研究所先進医工学センター 先進診断機器開発室)
  • 林 拓也(国立循環器病センター研究所先進医工学センター放射線医学部)
  • 渡部 浩司(国立循環器病センター研究所先進医工学センター放射線医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
26,520,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
消化器系を原発とする3mm以下の癌の早期発見を実現するために、PETやSPECTにおけるRI診断薬剤の開発し、それを検証する高分解能のイメージングシステムを構築し、高分解能のMRIの情報と有機的に融合する。これにより、粘膜上皮における解像度と感度を飛躍的に向上させ、血管新生や分子的ながんの集積の原理を明らかにし、非侵襲のイメージング技術の有機的融合による、癌の悪性度を診断する新しい指標を確立する。
研究方法
Poly(ADP-ribose) Polymerase (PARP)活性を計測するために、PARP阻害薬である6-(4-[11C]Methoxy-phenyl)-3,4-dihydro-2H-[1,4]diazepino-[6,7,1-hi]indol-1-one ([11C]MDDI)の合成方法を検討する。担癌ラットに対し、[11C]MDDIを用いて高解像度のPETを行い、MRIの高分解能解剖画像とステレオ赤外線カメラによる重ね合わせを行う。
結果と考察
[11C]MDDIの合成に成功し、放射化学的収率38.3 ±1.7 %、 放射化学的純度92%以上、比放射能55 ± 2GBq/μmol(EOS)を達成した。開発された[11C]MDDIを健常ラットに投与し、体内集積評価を行った結果、顕著な集積が肝臓以外にみられないためこと、さらに脳内のBlood Brain Barrierを通過することを確認し、早期がん検出のための薬剤候補として期待できることを確認した。担癌ラットにおいてMRI解剖画像が、赤外線ステレオカメラにより、PET機能画像と重なることを確認した。MRIにおいては、最大8チャンネルの頚部受信専用コイルとナビゲーターエコー法、バンドスキャン法、バリアブルフリップアングル法を組み合わせることにより、0.6mmの空間分解能を達成した。
結論
PARP活性をPETイメージングにより評価できる実験基盤を整備し、パイロットスタディとして健常ラットにおける体内集積、脳における薬物動態を観察した。さらにC6グリオーマのラット頚部集積を確認し、[11C]MDDIが早期がん検出のための候補薬剤として有望であることを示した。頚部における高分解能MRIの撮像技術を整備し、赤外線ステレオカメラによるPET-MRIの重ね合わせ精度を検証し、担癌ラットにおける動物モデルにおいて重ね合わせが精度よく行えることを確認した。

公開日・更新日

公開日
2007-05-24
更新日
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